作品は完結させてからが勝負です
皆様がこの「小説家になろう」に来た理由は何ですか?
気に入ったアニメや漫画の原作が読めるから。
面白くて書籍を買った(読んだ)作品の連載版が読めるから。
ライトノベルやエッセイ等、多彩な文芸作品が無料で読めるから。
好きな文章を書いて誰かに読んで貰えるし、もしかしてプロ作家になれるかも知れないから。
……等々、様々な理由がありますよね。
私はほぼ100%、自分の作品を書きたいという理由でこの「小説家になろう」に来ました。
自分の初投稿作品、「バンドー」(←はい宣伝)の第1話を投稿するまで、他の作者様の作品は1文字たりとも読みませんでしたし、小説の書き方と投稿の仕方以外のマニュアルすら一切読みませんでした。
そんな私でしたので、読者様からの評価や作品としての出来はともかく、作品を書くという事に不安や恐れは全くありませんでしたね。
さて、今回は「作品を完結させる事」に焦点を当てましょう。
まずは結論から述べさせて貰いますが、私個人は、「作品は完結させてからが勝負」という価値観を持っております。
この「小説家になろう」に於いては、作品が未完のまま放置される事を「エタる」という言い方で表現される事が多く、この問題は多くの作者様が頭を抱える問題らしいですね。
「らしいです」と言わせて貰った背景には、私自身が「エタる」という事に馴染みが無いからなんですよ。
つい先日も、連載作品「ねこキューブ、たぬキューブ。」(←また宣伝)を完結させ、低ポイント作品なりの「完結ブースト」(作品が完結した時に、完結作品から手をつける読者様が多数読みに来て下さる現象)を味わう事が出来ましたね。
私は「小説家になろう」に来てからの半年で18作品を手掛けました。
短編が多いとは言え、まずまず精力的なペースだと思います。書く事が大好きですからね。
その中で完結していない作品は、初投稿作品であり、唯我独尊フォーマットで読者様無視の連載を続けている「バンドー」と、連載が始まったばかりの本作「唯我独尊なろう道〜他人の意見は真面目に聞いた上で切り捨てます〜」だけになります。
以上の事を踏まえて私自身は、多くの作者様が何故作品を完結させられないのかが理解出来ません。
勿論、理解出来るケースはあります。
仕事や学校、家庭の事情で、執筆活動どころではなくなってしまうケースですね。
実際私も、父親の入院騒動や闘病による死去の前後数日間は執筆活動どころではなくなりましたし、より責任のある仕事に回されたら、暫く執筆が出来なくなるのではないかと言う不安はあります。
しかしながら、最低限のプロットがあり、休日に投稿用ストックも準備する様な盤石な体制を敷く作者様がエタってしまう現実が多い事には首を傾げざるを得ません。
何か執筆以外の事に気を取られているのでしょうか?
Web小説の世界では、スマホでもサクサク読める文体と文字数で毎日投稿を続ける事が成功への道であると言われています。
この「成功」の定義の捉え方は様々ですが、多くの読者様の目に触れて貰い、評価やブックマークでポイントを積んでランキングに載り、より多くの読者様とポイントを獲得して書籍化、つまりプロ作家になるという事になるのでしょう。
唯我独尊を自認する私も、設定と1話あたりの文字数が多過ぎるワガママ伝説の確立に挑む「バンドー」を除けば、出来るだけ間隔を空けずに3000文字程度の投稿を心掛けてはいます。
とは言っても、サクサク読める文体を採用するかどうかは作品の性質と作者様の判断に任せるのが当然でしょう。
例えゲスなキャラであっても、人間の死や追放、婚約破棄、復讐、寝取られ……こうした内容をサクサク読める文体にする事は、作者様が相当な葛藤に蹴りを着けない限り、完結への道筋を示せないと思うのですよね。
それはつまり、作品の完結後に読者様に残される爽快感に値する何かが、作品を完結させた作者様に残るのかという問い掛けでもあります。
達成感と完結ブーストだけでは埋める事の出来ないもやもやが作者様に残る事、それは即ち完結への障害となりますよね。
また、どんなに作者様が読者様の為に努力されていても、1話、2話と読み進めて好みの作品で無ければ、読者様が離れるのは当然です。
そこでPVやブックマークの変動に一喜一憂する事も、完結への障害です。
極論が許されるならば、作者様は実数とは限らない数万人規模の読者様との戦いを想定する暇があったら、自分の信念に従って作品を完結させてしまうべきだと思うのですよね。
私は上で述べた様に、「作品は完結させてからが勝負」という価値観を持っていますから、作品を完結させるまでは、効果的な文体や1回分の投稿パートの書き出しが決まらずに悩む以外のストレスは何もありません。
大まかなプロットは決めていますが、頭に浮かんだアイディアは一切メモを取らずに頭の中だけで熟成します。
そうすると、大地に根を張っていない貧弱なアイディアは日々の仕事や生活で忘れてしまい、少々の事では揺るがない図太いアイディアだけが頭の中に蓄積された状態になりますので、即戦力の武器がいつでも使えるんですよ。
プロットも細かくは決めておりませんので、最終回に向かう中で過去最高のアイディアが浮かんだ場合、迷わず捩じ込む事も出来るのです。
完結出来ないどころか、完結が近づくに従って最高の幸せを感じられます。
エタっている暇なんてありませんよ。
ここで私の作品について、完結させてからの勝負の一例をご紹介させて下さい。
私の作品で、童話のジャンルで投稿させていただいた、「老人バーチャルYouTuber 紺野明美」(←3度宣伝)という短編小説があります。
この作品は今年の2月に初投稿し、2月12日の日間ランキングで最高位3位を記録したのをピークにランキングから姿を消し、それからはPVゼロの日も珍しくない、完全に役目を終えた作品でした。
その時点でのポイントは僅か52ポイント。
童話ジャンルだからこそ可能だったランキング上位入りでしたね。
しかし、私はこの作品を気に入っており、もっと多くの読者様に呼んで欲しいと考えていました。
そこで普段交流のある作者様の活動報告で、さりげなく名前を出させていただいた所、偶然その活動報告を読まれた別の作家様が作品を読んで評価していただいた事がきっかけとなり、日間ランキングに復帰します。
そのランキングを見た別の作者様が更なるポイントでブーストを後押しし、丁度1ヶ月後の3月12日に日間ランキング3位に復帰しました。
そしてここから更に、1ヶ月前の事を知らない新しい読者様の力で日間ランキング2位を獲得する事が出来たのです。
現在は再びその役目を終え(笑)、ランキング外となりましたが、現時点での獲得ポイントは102ポイントとなりました。
何だ、それっぽっちか。と考える方もおられるとは思います。
しかし、作品を完結させてからの勝負でポイント2倍、PVは2.5倍となり、もっと多くの読者様に読んで欲しいという私の願いは叶えられました。
現在、日本ではコロナウイルス対策で若年層が外出出来ず、この「小説家になろう」にも新たな世代の読者様が増えています。
私の様な底辺作家の作品が新しい読者様にアピールするには、やはり安心して読める完結作品しかないと思います。
外出出来る様になったら「小説家になろう」から去る読者様がおられるかも知れませんから。
書籍化やプロ作家を目指して一直線に進む事は、「小説家になろう」ユーザーとしては素晴らしい姿勢です。
しかし、現実は書籍化やプロ作家を目指す作者様であれはある程一直線ではありませんよね。
脇見し過ぎだと思うんですよ。
まずは自らの作品を完結させる事だけに集中する経験を味わって欲しいと訴え、本エッセイを終了させていただきたいと思います。
……え?完結させてからの勝負って、知り合い頼みだけなのかって?
皆様、本エッセイの中で、私の作品の名前が何回出てきたと思うんですか?
そういう事なんです(笑)!!
それではまた次回!




