最終回 おわりに 〜「唯我独尊」で得た真実 〜
皆様今晩は!シサマという者です。
まずは約1年もの間、評価や感想を贈っていただきまして、誠ににありがとうございました!
この連載エッセイ、『唯我独尊なろう道!』も、遂に今回が最終回であり、タイトルにもある「唯我独尊」という言葉の真実を皆様に伝える事で、わざわざ余り読まれない小説と歌詞の世界に集中しようと考える(笑)、私の最後の挨拶とさせていただきます。
本エッセイのタイトルを考えるにあたり、一般的な「なろう作家様」とは価値観が少し違うものの、何の実績もない私を面白おかしく表現する言葉を探す事に。
そこで目を付けた「唯我独尊」という言葉を辞書で引き、続いてネットで検索すると、世間一般で知られている「この世で自分ほど偉い者はいない」とばかりに傲るという解釈は、実は曲解であると知りました。
元来「唯我独尊」は、お釈迦様の言葉から生まれた仏教用語とされているのですが、歴史資料である『修行本起経』の中に、こんな表現があるのです。
「天上天下唯我為尊 三界皆苦 吾当案之」
この表現を定説に沿って訳すと、「(欲・色・無色の)3つの迷界の衆生は皆苦しんでいる。
私はこの苦しみを安ずる為に生まれたのだから尊いのだ……」という内容になる様ですね。
まあ、既に傲ってますよ(笑)。
しかしながら、唯我独尊を貫く為には一般的な「なろう作家様」の苦しみを安ずる為の提案をしなければいけないのだな!と気合いが入ったのです!
資料にある「3つの冥界」の内、「欲」は即ち「さすが〇〇様!(←主人公)今更謝ってももう遅い」や俺TUEEEでありたい欲。
「色」は即ちハーレム願望の色。
「無色」はポイントやブックマーク、PV面の満たされない悩み。明日が見えない無色。
私はこの様に3つの冥界を定義し、それに伴う悩みや苦しみを安ずる為の極意を本エッセイに記して来たつもりです。
……そう、それはただ「自分自身と愛するキャラクター、そして何より作品を、それぞれに意地を見せ続けて誇れる形に仕上げろ」という事。
本当に、全34回それしか言ってません(笑)。
自分でも呆れます。またこの結論かよ!みたいな。
何故この極意しか無いのか?
それは、これら3つの冥界の正体が、なろう作者様の「承認欲求」との戦いでしかないからなんです。
私はつい先日、「小説家になろう」サイト内に渦巻くなろう作者様の承認欲求について、かなり辛辣に突っ込んだ詩を投稿しました。
最近、コロナ禍も含めた圧倒的閉塞感によるものなのか、普段穏やかで黙々と創作活動を行っている作者様、或いはランキング上位や書籍化という「勝利」を手にした作者様からも、愚痴や弱音、不安が頻繁に聞かれており、詩の内容はそこに触れています。
私はこの現象に、最初は首をかしげるばかりで、作者様の気持ちが全く理解出来ませんでした。
だって、その作者様達は私なんかよりずっと沢山のポイントやブックマークを稼いでいて、私よりずっと沢山の相互ユーザー様にも囲まれ、私とは別の次元で創作を大いに楽しんでいる様に見えていたからです。
そこで私は、ふと考えました。
自分はポイントもブックマークも少ないし、なろうの一般論からして「いなくても気付かない様な底辺作家」で、自分でもそれは理解しています。
では何故、こんなに創作活動を楽しんでいるのでしょう?
ドM?いや、違います(笑)。
私は自分の作品よりも早く、この「唯我独尊」のキャラクターとその価値観、そして創作の方法論が勝手に認められてしまっていたのです!
本エッセイを一見されただけの読者様は、私の事を「頑固で融通の利かない奴だな」と感じるのではないでしょうか?
しかし実際は、活動報告でハードロックやカップ焼きそば、エナジードリンク等、エッセイで提示した好物を好き勝手にレビューしたりもしており、頑固な創作論には正直付いて行きたくないと考えている相互ユーザー様(笑)も、その活動報告には楽しく絡んでくれています。
「この男はこういう男」
「絡みたい時に絡みに行けばいい」
「こっちは地道な作業に絶望しそうなのに、アイツは嬉々として1話20000文字の連載してやがる。誰が読むんだよ?しょうがねえ、チラ見してやるよ」
……つまり、作品よりも先に、私自身のキャラや価値観、創作方法論にポイントが入っているという現象。
この現象は、評価ポイントの割にブックマークが少なかったり(笑)、ちゃんと読んでくれている少数の読者様からしか感想が入らなかったりするという課題もありますが、作品をすっ飛ばして私自身にポイントが入っている為、承認欲求の満たされ具合が半端ないのです!
外から見れば哀れに見える底辺作家でも、当人の立場に立てば承認欲求がバッチリ満たされている「幸せな作家」なんですよね!
人間は欲深い生き物です。
人間の承認欲求は、自身の創作物や仕事の実績が評価されるだけでは満たされません。
自分自身が認められないと、出来るならば「神」レベルとまで崇め奉られないと、きっと100%は満たされません(笑)。
ですから、幸せな創作活動には、作品に全力を注いだ上で、ユーザーとのコール&レスポンス以上の人間性を正直に出す事が必要だと考えます。
しかし、それはランキングでの躍進や書籍化の目標に効果を発揮するとは限りませんので、そんな事をする必要がないと判断した方は、時には宣伝活動に作品以上の情熱を注ぐ事も必要になるのでしょうね。
ストレスによる歪みが噴出さえしなければ、それは高い意識として称賛されるべき事でしょう。
私は、自ら作り出した「唯我独尊」の姿勢のお陰で、成功とは無縁ですが最高に楽しい創作活動を続けています。
勿論、時間に追われたり、作品の出来に満足が行かなくて停滞してしまった事もありますが、連載を止めたいと思った事は一度もありません。
皆様に覚えていて欲しい事は、周囲に流されない「唯我独尊」の姿勢は、自分から意識して取り組まないといけないという事です。
日々の疲れや閉塞感から、年を重ねて無意識に現れてしまった「唯我独尊」の姿勢は、「小説家になろう」で活動するあなたを、「小説家にしかなれない」人間に変えてしまうのです。
それではまた!




