人生の光を創作に求める作者と、娯楽がいくらでもある読者の立場が対等である訳がない。作者は枝を伸ばす前に根を張らなければ
皆様今晩は!
前回投稿した本エッセイ『唯我独尊なろう道』第30話が、最近私の逆お気に入りユーザー様になって下さった方から評価され、日間エッセイランキングの中位に顔を出しました。
しかし、驚いたのはこの後で、これまでブックマークしておきながら評価を忘れていたというけしからん相互ユーザー様(笑)からのポイントが追加され、トップ10入りを果たします。
人目に付く位置までランキングを上がると、週末というタイミングの良さも手伝ってか、続々とPVが増えて行きます。
普段は1日平均が20PV程度だった本作が、僅か2日間で1000PV以上を積み重ね、その結果、何と172ポイントも評価を稼いでしまいました。ブレイクです!
本エッセイは既に380程ポイントを得ていて、トレンドに背を向けた俺様系エッセイ(笑)としては高評価されているなぁ……と、個人的には満足していました。
ですが、今回皆様のお力によりポイントが550を超え、しかも連載エッセイが30話目で日間ランキング第4位まで上昇するという快挙を成し遂げた、その瞬間を目の当たりにすると、「小説家なろう」の評価って、タイトルや内容よりもタイミングや運が複数重なる事で左右されるんだなと改めて感じましたね!
読まれない、評価されないと嘆くそこのあなた!
弱さを見せない安定したメンタルで我が道を貫き、時折やって来る幸運の為に自分らしい作品を書き続けている事が、結局一番の近道でしたよ!
さて、今回もサブタイトルが長いですね。
サブタイトルがやたら長いというやり方も、1話完結のエッセイであれば、取りあえず目次を見た読者がどのエピソードから読もうか、という選択の参考になるのかも知れません。
また、連載小説であっても、例えばチートハーレム的なファンタジー作品で、『第30話 ドキッ!美少女だらけのリゾート休日。目のやり場に困る肢体に囲まれる俺は、魔物とのバトル以上の苦戦を覚悟した……』みたいなサブタイトルのエピソードがあったら、絶対ここだけ最初に読んでみますよね!
だって、R18が書けない「なろう」に於ける、作者と読者の妄想のピークがここですからね。
逆にここが納得行く出来じゃなかったら、ブラウザバック一直線ですよ(笑)。
ですから、硬派な作品を書いている自覚のある作者は、下手に「なろう」受けを意識して安易なハーレムシーンなどを入れない様にする矜持も、時には必要だと言えますね!
今はいくらでも娯楽があるのです。
ちょっとエッチなシーンが見たいなんて時は、グラビアアイドルのイメージDVDや、アニメの水着回とか、いくらでも見る事が出来ます。
小説を書くという行為には、他の娯楽との違いを自分なりに理解して、結果としてコミカライズやアニメ化が不可能な作品を作る試行錯誤が、自身の個性を育む近道であると考えますね。
今回のテーマはまさに、「娯楽がいくらでもあり、その選択も自由な読者」に対して、作者の側があれこれ要求しても無意味だろう、という考察です。
近年のランキング作品に関して、作風の固定化が著しいとか、書籍化しても大した成果を上挙げられず、「小説家になろう」サイトそのものが下り坂になっている……という声はよく聞きますね。
私個人としても、そう感じる事は多々ありますよ。
しかしながら、娯楽がいくらでもある今の読者は、「なろう」が娯楽の中心ではありません。
小説を読むのが大好きで、自分には「なろう」が無いと困る。
だから最近の「なろう」には失望しているよ……という熱心なユーザー様も多いでしょうが、YouTube観ていたら容量使い過ぎちゃった、ゲームやり過ぎて金が無い、だから、毎月〇日から〇日までは無料で容量も軽い「なろう」週間だな……程度のユーザー様も沢山いますよ。
そんなユーザー様も含めた最大公約数で、コロナ禍の中で真面目に働いていても突然バイトをクビになる……みたいな日々の中で読まれている作品が、現在のランキングを作っているのです。
娯楽の選択肢がいくらでもある読者と比較すると、作者の立場は随分と弱いもの。
これだけは自信を持って言えますが、今、「なろう」で創作活動を頑張っておられる作者の皆様の中に、自分の人生に満足や納得をしている方は少ないですよね。
リアル世界ではうだつの上がらない人生だったり、言いたい事、やりたい事が出来ない不満を、自分の望む形の創作活動で浄化したい。
言わば、プロの小説家になるという夢や願望も含めて、人生に光を求めているのです。
私が「なろう」で創作活動を始めた時も体調不良から休職しており、元来行きたくもない職場から、更にクビを宣告される瀬戸際にいました。
嫌な仕事はやりたくないし、万にひとつでもプロになれる可能性があるなら、好きな小説くらい書いていないと不安で頭がおかしくなりそうだったんですよ。
書き方がワガママ過ぎて、ランキングからプロになれる可能性は2日で消滅しましたけど(笑)。
そんな私でしたが、現在は仕事が順調で、社会からは底辺と見下されるのかも知れませんが、はっきり毎日が楽しくなりました。
今の仕事を出来る限り続けて、創作活動は競争に加わらず、自分の好きな様に出来る事も楽しいです。
正直、もう少し読んで貰いたいなぁ……とか、このエッセイが550ポイントもあるのに、ブックマークが39しかなくて、いつまで経っても底辺作家扱いってどうなのよ?550ポイントあれば普通、ブックマーク100とまでは行かなくても、60くらいあるっしょ?(←北海道弁)とか思う事もありますよ(笑)。
とは言うものの、このエッセイが瞬間的なブレイクを果たせたのは、ランキングに合わせた様な創作活動をせず、読者にあれこれ要求する事もなく、自分らしくいた事が、ある日偶然が重なる事によって、近い意見を持つ沢山の読者に読まれたからだと思うんですよ。
作者の不満や孤独、恐怖というものは、結局の所、小説投稿サイトのランキングによる無言の格付けによる圧力と、書籍化、プロ作家への転向に抱く過剰な幻想から来るものです。
私は今回、2日で1000PV、170ポイントをブレイクと表現しましたが、これを読んで、そんな数字はブレイクの内に入らないと考える方も沢山おられるでしょう。
「自分の作品が読まれなくて悲しい」と嘆く作者が満足する具体的な数字というものを、私は聞いた事がありません。
多くの作者は、結局はランキング上位という実績と書籍化の実現、そして完結まで書籍が続刊されて、更にコミカライズやアニメ化までを実現する、自分が小説一本で生活出来るレベルの数字を望んでいるのだと思います。
これはそのまま、ランキングから書籍化を実現した作者にも当てはまりますよね。
リアル世界での仕事や私生活を充実させようとしながら、人生の記念としての書籍化からの兼業作家の立場を受け入れられる方がいます。
更に、書籍化が途中で打ち切られても、作品への愛情からその物語を綴り続けて、別の出版社からの再書籍化を実現した作者もいます。
そんな作者の方々を、私は心の底から尊敬します。投稿サイトの英雄です。
読者に視点を移しましょう。
情熱を傾ける分、読者への要求を認めて欲しい作者に対して、読者は無料で時間を潰せるから小説投稿サイトに来ている、という割合が高いと私は認識しています。
暇潰しで来ているんじゃ無いんですよ。
暇なんて無い人が多いんです。
学業や仕事、アルバイト、家事……。
いくらステイホームが増えて、使える時間が増えている様に見えたとしても、今の時代、リアル世界はいつも見えないプレッシャーに襲われていますからね。
暇なんて無い、でも5分だけ、何かやらないと悔しくて勿体無い……それがWeb小説の需要なんだと分かりました。
作者の立場で考えると、いくら多忙でも、創作をしている間だけ、作者は時間を忘れられます。
ここが作者と読者の違いですね。
更に、作者が感想や評価で得られる瞬間的な栄光さえ、読者には無縁です。
いくら自分の都合があったとしても、作者がストーリー展開やキャラクターの処遇以外で読者を裏切る様な真似をしたら、叩かれるのは当然だと思いますね。
勿論、行き過ぎた罵倒は論外ですが。
ランキング上位で書籍化もしている作者で、読者を裏切る様な事をしても人気のある方がいます。
何故なんだ……と嘆く方もいるでしょう。
私もそう考えた事はあります。
そういう作者はもう、自身の作品に小説としての価値を見出だしてはいないのです。
リアル世界で経験してきた仕事の辛さよりは、なろう小説を書く仕事の方が楽しいと信じて。
作者としての自分の限界を理解したら、小銭を稼いでパソコン周りを揃えて、ゲーム実況やラノベレビューのYouTuberに転向するプランがあるのかも知れませんね。
彼等の方が、小説投稿サイトの多数派読者の現状を理解しているんですよ。
作品の内容はともかく、時流を読む力はあるという事ですね。それもひとつの才能です。
作者と読者が対等の立場で、互いに「なろう」の発展に尽力出来れば、それは素晴らしい事でしょう。
でもそれは、誰かに頼んで実現出来る事ではありません。
そもそも、「なろう」読者の大半に、そんな意識や余裕は残されていません。
しかしながら幸運な事に、小説投稿サイトにはまだまだ「小説を読む事に時間と情熱を傾ける事が出来る人」がいます。
多数派ではありませんが、彼等は確実に存在し、何だかんだと言われていても絶対数の多い「なろう」には、彼等が多く顔を出しています。
あなたがもし、ランキングや書籍化を世渡りの手段にしたくない作者でありたいならば、そんな読者をひとりでも多く惹き付け、応援を一本化出来る様な作品を生み出して下さい。
ブレイクはいつ訪れるか分かりません。
成果を急がず、辛抱という意識すら忘れて、楽しく時間を忘れられる様な創作活動を続けて下さい。
不特定多数に色目を使って枝を伸ばすのは、大地に根をしっかり張ってからでも遅くはありません。




