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「ポイントで作家を応援しましょう」の意味


 先日、この「小説家になろう」では、評価ポイントのリニューアルが行われました。


 この事については、既に作者様・読者様ともに十分理解されているでしょうし、リニューアルを考察するエッセイも数多く投稿されていますよね。


 このリニューアルは作者様・読者様の中でも賛否両論があると思われます。

 

 とは言え、作品中のどの部分からでもポイントが入れられる様になり、かつ、Amazonレビュー等でも馴染みがある5つ星システムであるが故、ポイントが入れやすくなった事については概ね好意的だったと捉えています。


 何より、ポイントの入れ直しが簡単なのが便利ですよね。

 

 アナログ人間の私は5つ星を前にして、左側から右側にひとつずつ順番に星を叩いてポイントを増やすシステムだと勘違いし、5ポイント評価を入れようとした作品が1ポイント評価送信となってしまい、「うわああぁ!ごめんなさいごめんなさい!」と、慌てて右端の星を叩いて5ポイント評価にした事を覚えています(笑)。


 勿論、シビアに作品を評価したい読者様にとっては、「この作者、ストーリーは凄いんだけど、文章下手だよな〜!」等というケースで、「文章評価1、ストーリー評価5」といったポイントを入れられなくなった事は残念でしょう。


 平均値を出せば「3つ星」でいいだろ、と考えられる作者様や読者様ばかりではないからこそ、文芸というものの面白さがあるのですからね。


 

 さて、いよいよ本題に入ります。


 今回のポイント評価リニューアルの最大の焦点である、「ポイントで作者を応援しましょう」という定義です。


 結論から言わせて貰えるならば、この定義でポイント評価は「その作品の内容」とは切り離せる様になりました。


 勿論これまでも、「好きな作者様の新作だから、まだ内容が明確じゃないプロローグの段階でも満点評価だよ!」という流れは普通にありましたよね。


 今回この定義を前面に押し出す事で、「評価ポイントが低くてもその作品に魅力が無いとは限らない」、「評価ポイントが高くても、その作品が他の作品より魅力があるとは限らない」という意思表示を運営側が見せてきた、と私は認識しています。


 現在の「小説家になろう」投稿作品に於ける、書籍化レベルの高ポイント作品の特徴を挙げさせて貰いますと、


①作品の内容と応援団のパワーがともに高い作品(これはあらゆる面で理想的)


②作品の内容的には疑問点もある(盗作疑惑やマンネリ疑惑でアンチが涌いたりもする)が、応援団のパワーで高ポイント評価を得ている作品


……の2タイプに分別出来ると思われます。


 ちなみに①のタイプには、「作品の内容が優れていて読者の応援もあるのに、何故書籍化されないの?」とレビューされる作品も含まれておりますよ。

 

 皆様もそうであるかも知れませんが、余程諸行無常を達観した作者様でもない限り、書籍化可能なレベルのポイントを獲得した作品は書籍化したいと思うはずです。


 しかしながら現実は、内容的にハイレベルな作品であればある程、書籍化出来る可能性は「運」に左右されているんですよね。

 

 出版社が発行出来る新作には限りがありますし、衰退の続く出版界もリスクを避ける傾向が顕著ですから。


 一方で②のタイプ、内容的には賛否両論を生みながらも、応援団のパワーが内容の評価を上回る作品は、かなり的確なタイミングで書籍化されます。


 ユニークユーザ数、ブックマーク数等で、応援団のパワーがこれだけあれば、〇〇部の売り上げは見込める……と出版社が推測し、アンチの攻撃等で作品の勢いが低下する前に出版しなくてはいけないという、極めてプロフェッショナルな判断が下されるからですね。


 この現状を見て、①のタイプの作品の作者様、①のタイプを応援している読者様の中には憤りを感じて②のタイプの作品のアンチになってしまったり、最悪作者様がモチベーションの低下で執筆活動を止めてしまったりする事があるかも知れません。


 でも、それは②の作品に関わっている作者様や読者様が悪い訳ではありませんよね。


 私もかつてエッセイで書きましたが、応援団として連載開始時点から高ポイントを投入する為に集まる読者様は、その作者様の作品から何らかの「日々の救い」を受けていますし、作者様は自分がプロ作家でいられる、唯一にして最大の功労者を裏切る訳にはいかないのです。

 

 応援団のパワーに支えられている作品の感想欄は、アンチの襲来により閉鎖されているものもありますが、大半の作品の感想欄はキャラクターの魅力や行動、ストーリー展開に関して等、作品に特化しています。


 時折作者様の心情を労ったり、身体を気遣ったりする感想も見受けられますが、「無理せず、たまには更新を休んでもいいんですよ」という感想は殆どありませんでしたね。


 彼等はプロフェッショナルな読者様なのです。


 出版社や作者様が周囲の批判を受けてもプロフェッショナルの情念を貫いている様に、読者様も全力応援の代償に「日々の救い」を求めるプロフェッショナルなのです。


 「唯我独尊」等と謳い、自らを軽いタッチで「底辺作家」等と定義する私も、実はいつの日か叶うかも知れない「書籍化の野望」は捨てていません。


 書籍化を目指す、更にプロ作家として生活したいと少しでも考えている人は、好き嫌いに関わらず、この「プロフェッショナル達の情念」から目を逸らしてはいけないと思うのです。


 

 さて、今回「小説家になろう」の運営側が、ポイント評価は応援団パワーという定義を打ち出した事の真意に関しては、私ひとりが勝手な推測をするべきではないと思っています。


 しかしながら、今回のエッセイの争点として敢えて言わせて貰うとすれば、以下の表現になりますね。


 「出版社の皆様、貴殿方の選んだ作品は内容で評価された作品では無いかも知れません。でも、その作品には作者様と読者様のプロフェッショナルな情念があります。商業的な結果を得られなくても、なろう作品、なろう作家、なろう読者を否定したり、見下したりするのは止めてください」



 私自身も作品を書き続けていますし、つい先日連載、「ねこキューブ、たぬキューブ。」が完結しました。(←はい宣伝)


 私の作品は低ポイントですし、互いに切磋琢磨するありがたい仲間はいますが、応援団レベルの読者様を望む程、多くの読者様を救ってもいません。


 しかし私が思うに、良い作品が出来るまでの過程に限っては、ポイントや読者様の数は関係ないと言えます。


 プロフェッショナルではない現在の私にとっては、「作品は完結してからが勝負」だと考えているのですが、それはまた近い内に書きたいと思いますね。


 それではまた次回!



 

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― 新着の感想 ―
[一言] >極めてプロフェッショナルな判断 吹き出してしまいましたが、確かにそうだと思います。 凄くリアルが描かれている気がいたします。
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