「小説家になろう」のサイト名には、「小説家でいられるのはアマチュアの間だけ」という意味も込められている
皆様こんにちは!
前回、私の作品『バンドー』を宣伝した効果か、PVが増加し、情熱だけで書き切っていた初期のエピソードの誤字報告が寄せられました!
ありがとうございます!
武闘大会終了後、少しお休みをいただいて初期エピソードの誤字修正や改行等を行い、焼け石に水ながらも(笑)読みやすさを意識したいと思います!
今回は、相互クラスタ等に触れながら、「小説家になろう」サイトで活動する作者様が目指しているものが「小説家」であるのか、「小説を道具とした営業職」であるのかについて考察したいと思います。
最近、なろうエッセイ界の話題に上がる事が増えた、「短編&短期連載ガチャ作者(リセマラ作者)問題」、「長すぎる&宣伝コミコミタイトル&作者名問題」について、私もエッセイで触れた事から背景を色々と調べてみた所、ほぼ確実にひとつの現実からこの傾向が普及していた事が分かりました。
その現実とは、リセマラで大きな成果が出せるのは書籍化経験のあるプロ作者様で、リセマラ傾向が強まったのは、自らの書籍化作品が出版社の都合で無慈悲な打ち切りに遭ってからだと言う事です。
「リセマラ作者」と一部のユーザー様から悪評が付いてしまった作者様の過去を遡ると、当然の事ではありますが、書籍化してプロ作者になるまでの過程では数多くの作品をしっかり完結させていますね。
また、そんな作者様をアマチュア時代から応援していた読者様は、その作者様の苦労や挫折をともに経験しながら支えてきました。
その結果、その読者様は所謂相互クラスタの枠を超越した「任意応援団」となり、作者様をプロであり続けさせる力となってランキングを制圧していると、私は考えるのです。
その「任意応援団」を維持する為に見せる、作者様の過剰な宣伝や評価クレクレ行動が、私も含めた一部ユーザーに良い印象を与えていない事は確かでしょうが、それで結果が出ているのであれば、それは努力の賜物として評価すべきでしょう。
その努力は、私達が理想として考える小説家としての努力ではありませんが、それだけという話です。
リセマラやタイトル問題が話題になる一方で、やはり読まれる為には、タイトルやあらすじから作者の非効率的なこだわりを排除しなければいけないという意見が支持されています。
また、成長の可能性が止まった作品や、作者のモチベーションが落ちた作品はエタってもやむを得ないという意見も一般的ですね。
私の場合、作品のアイディアが浮かぶとすぐにタイトルが決まり、そのタイトルを裏切らないプロットを展開させて行くやり方なので、「読まれていない」程度の理由でタイトルを変える事は出来ません。
内容をいちから書き換えないといけなくなるからです。
私はハイファンタジーの様な、努力次第で書籍化の近道を目指せる様なメジャージャンルは殆ど書きません。
しかし、マイナージャンルであれば、少ないポイントでも日間ランキングに載り、多くの読者様の目にとまる可能性が高まります。
作品を完成させてから、活動報告やエッセイ等を利用して宣伝して、それでPVが増えなければ、或いはそれで、マイナージャンルの日間ランキングに載る程度のポイントも集められない作品なのであれば、そのまま自分と少ない読者様の為のものにすれば良いと思っているんですよ。
少ない読者様の代表が想いを込めて下さったレビューをいただき、ランキングに復活した作品もありました。
しかし、もしその読者様が、もっと多くの読者様に私の作品を読んで貰う為に、タイトルを変えて欲しいと願っていたのであれば、レビューより先にその事を提案されると思うんですよね。
このタイトルの、この作品を推したいから、レビューを書いてくれたのだと信じています。
さて、私は先程、書籍化作者様の作品を後押しするのは、相互クラスタを超越した「任意応援団」だと述べました。
「相互クラスタ」という言葉は、所謂相互お気に入りユーザーのグループが大きくなり、中には作品を読みもしないで互いの作品にブックマークやポイントを入れ合っているんだろう……という、邪推や偏見から広まった言葉であると、私個人は認識しています。
しかしながら、「小説家になろう」サイトのユーザー様の多くは、相互お気に入りユーザー様を純粋に創作仲間、友達として交流しており、不正じみた作品のポイント操作には殆ど関わっていないのが現実であると思われますね。
私自身、新作投稿時に相互お気に入りユーザー様からのブックマークやポイントを期待したものの、誰からも入らなかった……読んでさえいねえ……なんて事がままあります(笑)。
お互い仕事の合間に連載とかしているんですから、当然ですよ!
しかし、相互お気に入りユーザー様の頼りになる所は、普段から私の作風やキャラクターを熟知している為、新境地の開拓やバッドエンドもの等、所謂「掴みの弱い作品」をしっかり読んで真価を理解してくれる所です。
相互お気に入りユーザー様が入れてくれたポイントが、少ないながらもマイナージャンルの日間ランキング入りを後押しし、作品が一般ユーザー様の目にとまり、結果として大ブレイクを果たした作品もありました。ありがたいお話ですよね。
中には「相互クラスタ」を極端に嫌い、人的繋がりからの複数ポイントを確認しただけでその作品や作者様を無視する様になる、潔癖な読者様もいらっしゃいます。
そういう読者様に対して私が出来る事は、いつの日かその読者様の気が変わった時に読んで貰える様な、自分に正直な作品を書き続ける事だけなのだと認識しています。タイトルも含めてですね。
でも、今一度考えて見て下さい。
相互お気に入りユーザー様の尽力のお陰で、自分のお気に入りのタイトルを泣く泣く変えたりする事無く日間ランキングに滑り込み、多くの読者様に読んで貰えるきっかけを得られるのは、最高だと思うんですよ。
自分のお気に入りのタイトルを譲る事無くPVが増えた……それでブックマークやポイントも増えたのであれば、タイトルを内容説明的な長いものになんてしなくていいんです。
PVが増えた……でもブックマークやポイントは増えない……という現実に直面したら、そもそもそれはタイトルやあらすじのせいではなく、内容や表現力に問題があると分かりますよね。
こういった現実を知って、時にはひとりで自分を高め、時には気の合う仲間達とお互いを高め合う努力こそが「小説家としての努力」であると私は考えていて、それはアマチュアの立場であるからこそ出来る事だと思うのです。
「小説家になろう」サイトの名前の由来は、当然、「このサイトからプロ小説家になりましょうよ」という部分にあると思いますし、「アマチュアの立場でも、多くの読者様に読んで貰えて、評価や感想が貰える、小説家気分が味わえますよ」という部分にもあると思うんですよ。
とは言え、とりわけライトノベルの世界は、一般的な演劇や映画、テレビドラマ等とは接点が殆ど無く、アニメや漫画とのメディアミックスを成功させないと、小説家として生活して行く事は至難の業です。
その中で出版社は、アニメ化やコミカライズで利益を拡大するきっかけを掴む道具としてライトノベルを刊行し、それが出来ない作品は最低限のノルマ部数を売り上げて貰う「自転車操業」のパーツの様に扱うプランを立てざるを得ない状況にあると思われますね。
つまり、小説を生業にしたいライトノベル作者に求められる事は、作品の質を上げて1年後にブレイクする為の執筆活動ではなく、3ヶ月単位の売り上げで出版社の見積りとの誤差を少なくする為の営業活動であると、私は考えています。
現在のライトノベル界では、書籍化作者としてプロデビューして、小説を生業にしたいと考えてしまった場合、余程の幸運が無い限り、「小説家」ではいられないという現実と戦い続けなければいけません。
「小説家になろう」サイトでのし上がる為に、今はランキングで勝てる作品を書いて、プロになったら自分の可能性を試したいんだ……という目標を持って執筆しておられる作者様は、最初から自分らしさで勝負する為に、公募に挑戦される事をおすすめしたいです。
現実の状況下に於いて、敢えてライトノベル作者として生活したいと考えている作者様は、アマチュアの立場の間に「小説家」である事を堪能し、「小説家」から卒業する覚悟を決めてから、プロを目指さなくてはいけないのだと思いますね。




