「小説家になろう」で気になった作品があれば、一行でもいいからその場で読め
今回は何を今更なテーマではありますが、「作者様こそ他人の作品を色々と読んで欲しい」という願望に関する考察です。
以前このエッセイで述べた様に、私がこの「小説家になろう」サイトにやって来た当時は、自分の作品を書いて投稿する事しか考えておらず、処女作品の第1話を投稿するまで、他の作者様の作品は1文字たりとも読みませんでした。
もっともそれは、自分の作品を書く事に夢中になり過ぎていただけの理由であり、他の作者様の作品に興味や関心が無かった訳ではありません。
第1話を投稿した後、同じ時間帯に投稿された他の作者様の作品を参考にしようとした時に、「わずか2〜3分の間にこんなに沢山の作品が投稿されているの?」と、「小説家になろう」サイトのスケールに驚いた事を覚えています。
その当時はまだランキングの見方すら知らなかった為、作品を投稿した「アクション」のジャンルの新着小説を読む事しか出来ませんでしたが、既にその時点で「溢れる情熱を詰め込み過ぎた1話あたり20000字超えの投稿」が間違っている事には気が付きました(笑)。
間違っている事には気が付きましたが、その処女作品は未だに投稿スタンスを改めず、1話あたり15000字レベルの投稿を続けています。THE・唯我独尊(笑)。
……さて、読み専の読者様は勿論、作者様兼読者様の皆様も、特に読みたい作品が決まっていない時は、ランキングより先に新着レビューに目を通すのではないでしょうか?
レビューは読者様のフィルターを通した長所や短所が挙げられているので、タイトルやあらすじだけでは判断出来ない、作品の雰囲気を掴む事が出来ますからね。
この新着レビューをチェックし続けている方はもう気付かれているかと思いますが、最近、レビューされる作品のジャンルが随分幅広くなっています!
少し前までであれば、新着レビューに掲載される作品もテンプレ的な作品や爆笑コメディー、糖分多目の恋愛もの等が主体でしたが、現在ではシリアスな作品や切ない作品も、かなりの割合でレビューされる様になっているんですよ!
この背景には、コロナウイルスによる外出自粛要請や学校の休校等により、これまで「小説家になろう」サイトとは縁の無かった、新世代の読者様が増えた事が挙げられると思います。
また、これまで「小説家になろう」サイトをやや見下していた硬派なライトノベルファンの皆様が、余りにも暇になり過ぎて(笑)「小説家になろう」を訪れているのかも知れませんね。
そして何より、ここ数ヶ月で激化した「ランキング、テンプレ的作品、作者様・読者様の質問題論争」と、「感想指南エッセイ、レビュー指南エッセイ」がユーザー様の意識を変革したと言えるでしょう。
勿論、この動きがランキング上位作品のトレンドや序列に影響を与える所までは行っておりませんが、それでも一時期に比べると、「小説家になろう」はテンプレ的作品とそのパクリ作品ばかり……等という印象は薄れているのではないでしょうか?
元来、「小説家になろう」サイトの検索機能はかなり優秀で、手間さえ惜しまなければかなり細かく自分好みの作品を探せる様になっています。
私がよく行う検索は、まずは自分の作品のメインキャラクターの名前を検索に入れ、自分とネーミングセンスの近い作品を検索。
ベトナム系のグェンさんや、ナイジェリア系のアクポムさんの検索は厳しいと思いますが(笑)、日本人やナーロッパ系の名前であれば、予想以上に同じ名前が沢山検索されて出てきますよ!
次に、その検索された作品の中から、自分の作品に近いポイントの作品を選び出し、好きなジャンルから読んでいくやり方です。
私には、ポイント=面白さという判断基準は一切ありませんので、むしろ自分の作品に近いポイントを持つ作品を読んで、似たような「残念部分」を見付けるのが最高に楽しいんですよね(笑)。
読者としてよりも、作家としての活動に力を入れておられる作者様は、なかなか他の作者様の作品を読む時間は取れないとは思います。
しかし一方では、読み専の読者様よりも作者様の方が、ランキングやランキング上位の作品に不満を持つ傾向が見受けられます。
これは作品の質にも問題があるとは思いますが、正直言って「何故自分の作品が評価されないのに、代わり映えしないテンプレ的作品や、そのパクリ作品が持て囃されるんだ!自分の作品の方がランキング上位に相応しい!」という、妬みにも似た感情から来ている部分が大きい様な気がしてなりません。
自分の目の前に「面白いかも知れない、自分の作品の参考になるかも知れない作品」が転がっているのに、それらを横目に自分の作品をランキングに入れる為に躍起になる、そんな毎日になってはいないでしょうか?
「小説家になろう」は、今や多くのユーザーが新しい傑作を発掘してアピールするサイトになりつつあります。
この傾向をいつまで保てるかは分かりませんが、今のこの流れをスルーしてしまうのは、余りに勿体ないと思うんですよね。
興味のある作品は取りあえずブックマークしておくから大丈夫だ、という作者様もおられるとは思いますが、そもそも数分かけて作品を少し読んでみれば、その作品がブックマークしておく価値のあるものかどうかは分かるはずです。
ポイントの割に感想欄がポジティブに賑わっている作品であれば、その作品は最初のインパクトは弱くても徐々に面白さを増している作品であると推測出来ますよね。
一方、ポイントやブックマークの数が凄いのに感想欄がネガティブになっていたり、感想欄そのものが閉じられている作品であれば、作品の内容や設定の矛盾が問題になっている作品であると推測されます。
ユーザー様にとって必要な作品は、一度その場で読んでみれば分かると思いますし、一度その場で読む事が、文体のレイアウト等も含めてビジュアルイメージとして記憶されるので、自分の作品の執筆に向き合った時もすぐにイメージが湧き、執筆体勢に入れるという利点もあると思うんですよね。
私個人も、余り気が乗らなかった他の作者様の作品をチラ見して引き込まれてしまい、その日は執筆出来なかった経験が何度もありましたが、読んだ作品からインスピレーションが充填された翌日、難なく2日分を書き上げる事が出来ました。
自らの作品の執筆に忙しい作者様こそ、目の前に気になった作品があるのであれば、一行でもいいのでその場で読んでみて、そのインスピレーションを自らの作品に活かして欲しいと思います。




