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【第一部完】優しい領主と聖女ちゃん ~突然現れた聖女?に「偽物!」と、追い出されてしまいました~  作者: 群青こちか@愛しい婚約者が悪女だなんて~発売中
第四章 ラウラと優しい領主

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最悪の告白


------------------------------------------


森で育った田舎娘へ


あんたのおかげで回復できちゃった

本当にありがと♡

あいつの顔を見たくないから出てくわね


昨日はあんたの反応が可愛くて

色々からかっちゃったけど

もう二度と会うことはないから安心して

最後にちゃんとサインしておくわ


そうそう、あたしの大事な髪!

野蛮なあいつがどこかに隠してると思うの

あれはすっごく貴重なの! わかるでしょ?

好きに使ってもいいから、その代わりあたしを探そうなんて思わないでって伝えといて!

マジであいつのこと思い出すだけで頭がおかしくなりそう


でもあんたはあんなのがいいんでしょ?

身分差とか考えてたら馬鹿らしいわよ

早くやることやっちゃいなさいな♡


一日早いけど素敵な誕生日を!

お幸せに♡


ロクセラーナ 


------------------------------------------



ラウラの顔は真っ赤になっていた。

読み上げると言った手前、途中でやめるわけにもいかず、かといって読み飛ばすわけにもいかないと思い、結局全部声に出して読んでしまった。


繊細で美しい文字で書かれた内容が、こんなことだなんて……。

しかも署名の横には、露骨なキスマークまでついてる!


ラウラは横目でフィデリオを見た。

最初こそ軽く相槌を打っていたフィデリオも、途中からは無言のままだ。

いたたまれない空気に、ラウラはテーブルから顔を上げられずにいた。


「……以上です」

「うん……ありがとう」


気まずい沈黙が二人の間に流れる。

ラウラはテーブルを見つめたまま、フィデリオも何を言えばいいのか分からない様子で、時折咳払いをしている。

この最悪な空気の中、ラウラはロクセラーナの最初の一文が気になっていた。


私のおかげで回復ってどういうことだろう……。

ロクセラーナと話した内容は、彼女の過去や魔力に関すること。

あとは、フィデリオ様のことを冷やかされただけ……。


「あれ?」

「どうしたんだい?」


ラウラはすぐに答えることができず、口元に手を当てて考え込む。

頭の中には、ロクセラーナとの面会で感じた微妙な違和感が甦っていた。


最初にロクセラーナと会った時、彼女の髪は肩くらいで揺れていたはず……。


その姿が、どんどんぼやけていく。


ロクセラーナは恋愛話が好きだと言い、私の狼狽える姿を見て楽しんでいた。

その後も、彼女のほうからフィデリオ様の話題を振ってきた。


悪態をついて、表情をころころと変えていた小さな女の子。

にやにや笑うロクセラーナが、長い髪をはらった瞬間を思い出すした。


「あっ!」

「ラウラ?」


フィデリオは不安そうに、魔女の手紙とラウラの顔を交互に見つめている。

ラウラは両手を握りしめた。


そうだわ、私は何かおかしいと感じてたのに、はっきりと掴めてなかった。

まさか、そういうことなの?

ロクセラーナの声の調子や体の大きさが、まるで何かを吸収するかのように変化してた……。

もしかすると、私のフィデリオ様への想いや、嫉妬や不安といった感情が、彼女の魔力回復を助けたのかもしれない……。


今になって考えれば、ロクセラーナの言動はあまりにも不自然すぎた。

フィデリオ様のことを「あいつ」と呼び、嫌悪感を見せながら私に婚約の話を教えてきた。

彼女の姿や行動に、もっと注意を払うべきだった。

ああ、私ったらなんてことを……最悪だーーー。


ラウラは唇をぎゅっと結んだ。


ロクセラーナがいなくなったのは、間違いなく私のせい。

そのことをフィデリオ様に言わなくてはいけない……。

魔女に流されてしまった自分が、嫌になってしまう。


さっきの魔女からの手紙で、私の想いには気付いたはず。

ううん、もうずっと前から私の気持ちなんてバレていた……。

フィデリオ様は大人だからこそ、今まで何も言わずに普通に接してくれてた。

それなのに、こんな形で告白することになるなんて……。


ラウラは握りしめた手をゆるめ、小さく息を吐いた。


「フィデリオ様、ロクセラーナの魔力は私のせいで回復したんだと思います!」

「んっ? どういうことだい?」


薄明りの中、フィデリオは眉をわずかに寄せた。

お読みいただきありがとうございます

続きは明日20:20更新です✧

気になる!と思ってくださった方は

ブックマーク入れていただけると嬉しいです✧

よろしくお願いいたしますー(*˙˘˙*)

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