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49.水着

 というわけで、僕とリアは水着専門店に来ていた。


「うわぁ~、可愛いのいっぱい! これも! こ、これも!」


 リアは店内に入ってからずっとこんな感じ。

 この店は男性用と女性用を共に売っていて、女性用エリアの水着は男には刺激は強い。

 女であるリアからすれば「可愛い」という感想になるらしいが、男である僕からすれば「エロい」の一言しか出てこない。

 だって、ビキニとか女性用下着と変わらないからな。

 ワンピースタイプの水着だけが、僕の目にも可愛さを感じさせてくれる。


 それより早くこの水着を買いに行くか。

 僕はもう手に持っている海パンとラッシュガードをレジへ。


「お客様、今日からGレイヤーですか?」

「あ、はい。そうなんです」


 濃い赤色のビキニを来た女性店員がそう話しかけてくる。

 視線が谷間にしかいかないのだが、何か視線を吸い込む磁石でも入れているのだろうか?


 ――でけぇ~!


「この街はいいですよ! 涼しくて新鮮な魚も食べられますし、女性はみんな私みたいに水着姿ですしね! ふふっ!」


 腕で胸を寄せながら、柔らかな笑みを浮かべる女性店員。

 この人、絶対に僕が胸を見ていたことを分かっていてやったな。

 ありがとうございます……じゃなくて悪い女だ。


「こちら四点で6万ポイントとなります」


 Iレイヤーと相変わらずの値段だ。

 海パン二着、ラッシュガード二着の計四着で6万ポイント。

 普通なら考えられないが、これは僕が招いた物価の高騰。

 しかし、一着1万5000ポイントとは恐ろしいな。

 まぁ普通に払えるから問題ないけど。


 あのゼロ教の商売で僕のGポイントは1億ポイントを超えている。

 だから、普通なら高いと思う値段でも、僕からすれば全く高くないのだ。

 と言っても、リアとサラにはこのことを言っていない。

 言えば必ず無駄遣いのオンパレードになること間違いないからな。


「あ、ここで着替えは出来ますか?」

「もちろん、そこの試着室でお着替えください」

「分かりました」


 僕はGポイントを払い、買ったものを持って試着室へ。

 それにしても、試着室とは一応外から見えないが布一枚しかないので「お客様どうですか?」とか言いながら、店員が開けてきそうで怖い。

 加えて、鏡に映る自分の裸が謎に恥ずかしさを感じさせる。

 というわけで、僕はパパっと着替えを済ませて試着室を後にした。


 僕が着替えを終えた一方、リアはまだ水着選びに悩み中。

 先ほどの赤ビキニ店員とは違うワンピース店員といつもの笑みを浮かべて、楽しそうに話し合っていた。


「あ、ゼロ。もう買ったのね」

「ああ、別に悩むことはないからな」

「だろうね。やっぱり……白と黒なんだ」

「そうだが、何か悪いか?」


 呆れた、いや、「見飽きた」と言った目でリアがそう言ってきたので、僕は「文句でもあるのか」みたいな目で見返す。

 すると、リアが「いや、別に」とだけ軽く言った。

 そんな会話を横で見ていたワンピース店員は苦笑いをしながらも、僕の水着姿を見て「こいつマジか」みたいな目をしていた。


 何? 僕の白黒スタイルは女性陣からしたら引かれる対象なの?

 シマウマとかパンダとか可愛いって言うくせに、僕が白黒だと引かれるの?

 おかしくない? おかしいよね? おかしいだろ!


 そんなことを思っていると、リアが僕に話しかけて来た。


「それより水着選びに迷ってるんだよね。ゼロはどれがいいと思う? あ、白黒以外で」


 白黒以外って言いやがった。どれだけ嫌なの?

 僕もペアルックみたいになるのは嫌だから別にいいけど。


「じゃあ、これは?」


 僕は上下真っ黒の紐を首の後ろで結び固定するホルターネックビキニというものを指差す。

 リアは大人ぽいし、ワンピースというよりかはビキニの方が似合うと思う。

 チョモランマ並みに胸は立派で、脚も細くて傷一つなくて綺麗だからな。

 それに白い肌と黒色のビキニのコントラストがとても良いと思うのだが。

 もしかして、これは完璧なチョイスなのでは?


「え……ゼロって、こういうのを私に着てほしかったの?」

「何で選んでもらって引いてるの?」


 本当に失礼極まりない。

 折角、リアのスタイルやルックスを見てわざわざ判断して選んだのに。

 ジト目で引いてくるとか酷くないですか?

 じゃあ、選ばさなければいいじゃないですか!

 僕は悲しいです。とても悲しいです。


「まぁいいわ」


 何がいいのか、全く分からない。

 てか、こっちは良くない。

 今すぐ謝れ!


「じゃあさ、私が試着するからその中から選んでよ!」

「文句言わない、引かない、その条件ならいいけど」

「分かった分かった。さっきのはからかっただけだから。じゃあ、ついてきて」


 そういうわけで、僕はリアの背中を追って試着室へ。


「ぜぇーったいに! 覗かないでね!」

「分かってるから」


 リアはそう言い、試着室のカーテンを閉める。

 しかし、女子の水着とかまともに選べる気がしない。

 色で選ぶ? 模様で選ぶ? それとも露出度?

 全く分からない。

 先ほど選らんだ水着もなんか不評だったし。

 てか、何で不評だったの?


 そんなことを考えているうちに一着目を着替え終わったようで、カーテンがバサッと開く。


「ど、どうかな?」


 少し頬を赤らめ、モジモジとしながらそう言うリア。

 選んでほしいと言っておきながら、恥ずかしそうに見せないでほしい。

 こっちまで恥ずかしくなるじゃないか。


 それよりもビキニ選びに集中しないとな。

 正直に言うと、今着ているビキニは似合っている。

 というかリアは元が良いので何を着ても似合う気がする。


 まぁとにかく今着ているビキニの感想を言うとだな。

 白を基調としたビキニで、肩の線はなくて布の生地が横に多い。

 そのおかげで……そのせいで、リアの上乳が苦しそうにはみ出ている。

 軽く跳ねたり、飛んだりでもしたら、ビキニがズレてポロリしそうだ。


 それが率直な感想だが、もちろんそんなことは言えないので、僕は適当に感想を口にする。


「色は良いと思うけど、ちょっと露出が多くないか?」

「そうかな? とにかく次行くね」


 それだけ言ってすぐにカーテンの中へ。

 ふぅー、刺激的だ。

 リアのあのナイスバディーを拝めるのはいいが、ちょっと緊張する。

 いつもあのナイスバディーの感触が手に当たったりするが、やはり改めてこのような形でじっくり見ると変な感じだ。


「これはどうかな?」


 次は薄い水色を基調としたビキニの王道である三角ビキニ。

 サイズは良い感じのようでしっかりと胸が隠れ、だが、もちろん自然と谷間が出来ている。

 三角ビキニということで、大人らしい色気をを感じさせながらも、薄い水色が清楚感を醸し出しているおかげで、色気と清楚感が相俟ってリアによく似合っている。

 本当にリアのために作られたビキニと言っても過言ではない。


「ちょ、ゼロ……見すぎじゃない? か、感想は?」

「あ、ああ。よく似合っているよ」


 耳の先まで真っ赤にしたリアの言葉が耳に入り、僕はハッとして感想を述べる。


 それにしても、僕は完全に見惚れていたようだ。

 危ない、危ない。

 ビキニとは本当に恐ろしい。

 意識をビキニに集中させるのはいいが、周りが見えなくなるまで集中しないように気を付ける必要があるな。


「そ、そう。じゃあ、まずはこれは決定ね!」


 ん? まずは?


「じゃあ、次の水着に着替えるから」


 満面の笑みでそう言い、またカーテンの中へ。

 おいおい、嘘だろ。

 嫌な予感がするんだが……。


 一時間後。

 嫌な予感は綺麗に的中した。

 アレから色違いのビキニや種類の違うビキニを見せられ、感想を求められ、結局十五着ほど着てお気に入りの三着を購入。


 一着目はあの薄い水色の三角ビキニ。

 二着目は黄色を基調とした花柄の肩紐がなく胸元にフリフリが付いているオフショルダービキニ。

 三着目は薄いピンク色と白色を基調とした紐を首の前で交差させて首の後ろで結び固定するクロスホルタービキニ。


 三点の購入で8万ポイント。

 女性用は凝ったデザインなので、値段がかなり高いらしい。

 で、言わなくても分かると思うが、僕がその8万を払うことになった。


「いやぁ~! 良い買い物したなぁ~!」

「買ったのは僕なんだが……」


 リアが体を伸ばしながら、満足気にそう言う。

 現在、リアは薄い水色の三角ビキニ姿。

 そんな風に伸びをされると胸に目がいって仕方がない。

 あまりそのビキニ姿で立派な胸を強調するような行動は控えてほしい。


「それより昼食にしない?」


 そう言えば、僕たちはイベント最終日の朝から何も食べていない。

 確かにお腹が減った。


「じゃあ、海鮮丼でも食べに行くか!」

「やったぁ~!」


 だから、飛び跳ねるな!

 ボヨンボヨンと揺れているから。

 本当に「ボールかよ」と言いたくなるぐらい弾んでいるから。


 まぁそんなツッコミは心の中だけに留め。

 僕たちは昼食を食べに、海鮮丼の店を探し始めるのであった。

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