表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!   続編も始まったよ  作者: お冨
第八章 変革の始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/119

連載一周年記念 天津箱舟の実力紹介 このネタのためにタムルク王国と戦争したらしいよ

 なんとか予定のネタまで持ってこれました。ただし、来賓を招いた戦勝式典だったはずなんですけど、どういう訳か国連設立になってしまいました(笑)

 設立か創立か、どちらが相応しい表現でしょうか。迷ったので両方使ってみました(笑)


 去年、十一月十四日に連載開始したので、本日十一月十三日で丸一年、明日で一周年です。皆様の支持のお陰でここまで来れました。ありがとうございました。

 晴れた空。デルスパニア王国の王都デルーアは、国際連携機構、略して国連の設立総会に沸き立っていた。

 トマーニケ帝国、タムルク王国、そして周辺各国。それらの国家元首が一堂に会するなど、史上初の快挙だ。それを可能にしたデルスパニア王国の国力を、誇りに思わない筈がない。

 きっかけは聖女様の受けた御神託だが、それを実現する強制力は、間違いなくデパ国の軍事力。そして交渉力だろう。



「赤信号、みんなで渡れば怖くない。バスに乗り遅れるなって焦っていれば、バスの行先確認がおろそかになっても仕方ないよねー」

 またテイラムが意味不明な呪文を唱えた。アカシンゴウとかバスとか、それも高位貴族の教養なのか。


「国王や皇帝本人が他国を訪問するなんて、前代未聞の珍事だよね。一国だけ仲間外れになっても良いのかなーって言ったら、どの国も頷いてくれたし。聖女様が示した御神託の内容も、参加した方がメリットありそうだし」


 そうなんだ。ミリアが言い出した国際連携機構憲章、ものすごく噛み砕いて言うと、今まで個別に結ばれてた国同士の条約を多国間で一括締結すると言うものだった。

 主な内容は、相互不可侵条約と通商条約。

 これ、参加しないと、デメリットが大きいよな。デルスパニア王国の軍事力を見せつけられたんだから、敵対する危険を避けられるなら避けたいよな。


 別に我が国は覇権主義じゃないし、タムルク王国との戦役も、売られた宣戦布告を買っただけなんだけど。ちょっと圧勝し過ぎたかも。

 どうにも周辺諸国の危機感を煽ったようで、変に警戒されているらしい。




 式典は粛々と進んで、今は各国元首がそろって王宮のバルコニーに姿を現したところだ。

 調印式は既に済んで、無事に国際連携機構は成立している。それを大々的に公表して周知するための儀式だな。何しろ初めての事なので前例が無くて、王族の婚姻式典をなぞっている。

 さすがにパレードは行わないけど、広大な王城広場を埋め尽くす大衆を前に顔見世は必要だろう。


 バルコニーの内側の一室では、俺たち以外にも各国の高級軍人が控えている。色々な礼装軍服の見本市みたいになっているけど、互いに牽制しあって緊張感が凄い。

 もし不埒者が押し入って来たら、寄ってたかって制圧されるだろう。それでなくても我が国の威信にかけて万全の警備体制が取られているんだ。万が一は有り得ない。


 おっと、ミリアが王太子殿下にエスコートされてきた。バルコニーへ進んで行く。外から大歓声が上がった。ここでミリアが挨拶する式次第だけど、下には聞こえないんじゃないかな。手を振るのが分かるくらいで。


「コンピューター、祝福を。壮大で明るいミュージックをお願いします」

 室内にミリアの声が届くと、辺りに重低音が響き渡った。そして始まる音の饗宴。

 あれだ、天上の音楽。聖女のお披露目パーティーで、ミリアが「星の戦争」と呼んでいた曲だ。




 うっわー、これ、まんま野外のロックコンサートよね。数万人の観客と、大音響のスピーカー。王都中に聞こえてるんじゃないかな。

 バルコニーで並んでいる来賓の皆様方、さすが国家元首、うろたえずに平静を装っているけど、緊張してるのが伝わって来るよ。


 うん、ハッタリだけどね、デルスパニア王国は普通じゃないからね、ちゃんと不可侵条約守ってね。恩恵もあるから。


「国際連携機構の創立を、神は寿(ことほ)がれます。その証として、運河を与えるとの(おお)せ。神の恩寵であること努々(ゆめゆめ)お忘れなきよう。政争の具に貶めようなどと愚を犯せば、……お判りですね」

 ちょーっと脅しておかないと、権益巡って世界大戦になりかねないからね。神様のモノだから、どこの国も独占なんてしちゃ駄目ですよ。交渉は、国連を通しましょうね。


 サッと手を挙げた。それを合図に、眩い光の筋が南の空を東西に走る。

 まるで飛行機雲だけど、この世界にはそんなもの存在しないから、誰も意味分かんないだろう。

 数拍置いて、今度は地平線の向こうが光った。そして雷に似た轟音が遠くから響く。




 ひきつった顔の小父さんたち。大丈夫、熱エネルギーで空気が膨張して雷鳴してるだけだから。元は宇宙船の航行の障害物を排除するバリアだから。星間物質や微細な小惑星を原子分解して素粒子に変換するだけだから。

 派手に光ったのは、大気圏内で使ったのと惑星表面に筋を付けたから。分解質量が馬鹿でかくなっただけだよ。

 雪崩れ込む水が津波になってるけど、落ち着くまでバリアで保護してるから(あふ)れたりしないよ。


 ちゃあんと惑星開発プログラムに従ってるからね。水玉みたいに惑星表面に散らばってる海と海をつないだから、水量は安定してるよ。運河として十分機能するから、有効活用してください。

 










 

 楽しんでいただけたでしょうか。

 ここまでで完結としたいところなんですけど、タイトルの公爵が残っているので、まだまだ続きます。お付き合いいただければ幸いです。


 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。皆様のお陰です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そりゃね、十五万の兵力を自在に動かせるだけの兵站能力見せつけられたら逆らう気なんて起きないでしょうよ。軍人ならばそれがどんな意味を持つか身に沁みて理解できるでしょうから。 それに加えて占領地域への大規…
[一言] ミリアちゃん「海と海繋げる運河でデモンストレーションしましょ〜」 当日バリバリバリ〜 ミリア「そういえば海で漁している人達に連絡したっけ?」 まあイベントやるから海に出るな的お触れはいってい…
[一言] 「オレノクニ、ケイヤクゼッタイマモル」 とある参加者は盛大に引きつった顔でそう語ったとか いや、こんなん逆らったら国ごと消すよ宣言みたいなもんですよこれ 軍事力ってレベルじゃないもん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ