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彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!   続編も始まったよ  作者: お冨
第七章 オスカー・ランドール伯爵

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伯爵領へ

 スマホの雨雲レーダーの情報で雲の切れ間を確認して、お墓参りしてきました。予報通り、帰りは土砂振り。車のワイパーをフル稼働しても視界が確保できないって、台風並みですよね。

 王都を囲む城壁。その東西南北にある城門は、王都の大通りとそれに続く街道の境界になっている。南門から続くのは、中央南部街道、略して南街道だ。

 東西南北に延びる街道とそこから枝分かれする主要街道は国の管轄で、行政用語では国道と呼ばれている。


 国道から枝分かれするのが地方道。大抵はその地方の寄り親を務める主要貴族の家名が付けられる。デイネルス侯爵領を通る地方道はデイネルス街道という具合だ。

 自家の名を冠している以上、家の名誉にかけて万全に整備するのが高位貴族の(たしな)みだそうな。

 地方道までが街道。そこから(さら)に枝分かれしていく道は、私道になる。


 道が途切れた先、国土の外周地域には未開の荒野が広がっている。地名すら無い無人地帯。領主不在の地は自動的に王領に区分される。

 そんな未開の地だが、他国と接している場所だけは、国の管理する街道が通っている。良い例が、トマーニケ帝国との国境地帯手前の平原の道。

 平時には大型馬車を(つら)ねた商隊が()()う、交易の大動脈だ。





 ツオーネ男爵領の背後に広がる山岳地帯の(ふち)を回り込むようにして、道は続く。かろうじて馬車が通れるだけの道幅はあるけど、石ころだらけで、整備されていないのがはっきり分かる。

 テイラムと近衛騎士の五人と一緒に進む先に、我がランドール伯爵家の領地が広がっている。その筈なんだが。


「なんだか、都落ちって言葉が浮かぶんだけど」

「あー、この先、元は未開地だったからねぇ。荒れてるのは仕方ないんじゃない。こっちには、他国に続く街道は無いし。良いじゃない、どこまで行っても国境無いんだからさ、領地を広げ放題だよ」

 テイラム、お前、お気楽に言ってくれるけどな。


「あのなぁ、簡単に開拓できるなら、国の周辺が未開地のまま残ってる訳ないだろ」

「えー、これから行くとこ、ちゃんと道がついてるし、村が二つ有るんだよ。未開地を卒業して開拓地にまで進化してますって。まあ、正式な地名が無い王領だったんだから、歴史は浅いだろうけどさ」


 村ねぇ。正確な場所さえ判然としない。道なりに進んだ先に()る筈だけど、規模も人口も不明。領主不在の開拓村で、今まで納税実績無し。

 俺、領主として受け入れてもらえるだろうか。なんか不安になってきた。




 昼前には山越えの道に入った。なだらかな上り坂がしばらく続き、突然、視界が開けた。

 見渡す限りの草原。所々に小さな森。散らばった水溜まりに見えるのは、池だろうか。

「なんか、随分、緑が多いな。未開地って言うから、茶色い荒野かと思ってたけど」


 トマーニケ帝国方面の東の王領は、草もまばらな平野だった。行軍の邪魔にならないのは楽だったけど、水源が少なくて、水の補給に苦労したもんだ。街道の休憩所の井戸だけじゃ足りなかったんだよな。


 立ち止まって眺めていたら、近衛騎士の皆さんが横に並んできた。

「開けた平地で水も有る。農地として充分。今まで開拓されなかったのは、収穫物の輸送手段が無かったから。二つある村は、山地で発見された岩塩の採掘場。これが公表して良い情報です。天津箱舟関連の情報は、これからも秘匿していただきますので御了承下さい」


 思わず(むせ)てしまったけど、仕方ないだろう。ここで天津箱舟って、不意打ちだ。


「いきなりで申し訳ありません。この場には我々しかおりません。秘匿情報の開示をしたいのですが、御許可いただけますか」





 うわあ、知りたくない。知りたくないけど、聞かない訳にはいかないよな。

 俺はため息ついて、天を(あお)いだ。








 


 

 なんだか取り留めのない文章になってしまいました。うーむ、削りたくない部分を残すと話の流れが不自然になるけど、しょうがないですね。これがお冨の精一杯(笑)


 次回は、近衛騎士の皆さんの説明です。オスカー君、頭を抱えそうですが、大丈夫、丸投げ要員テイラム君がついてるよ(笑)


 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。励みになります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 何が出るかな?
[一言] え?船のレーダー解析とかなんかで 下手に手をですと碌な事にならん地下資源でも見つけたん?
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