風呂は覗くもの
――夕食後。
風呂に入り終わった藍が、リビングでテレビを見てた僕に声をかける。
「じゃあおにぃ、待ってるよ!」
ウインクをして自分の部屋に向かう藍。階段を駆け上がる音で上機嫌なのが分かるのは家族の証拠だろうか。風呂上がりで桃色に染まったほっぺたが可愛らしさを際立てていた。
「さて、藍が待ってるし先にお風呂入っちゃうよ?」
「はいは~い! ごゆっくり~!」
食器を洗っていた母さんに断ってから脱衣所に向かう。
制服の上着を最初に脱いで、次にスカートを脱ぐ。
脱衣所にある姿鏡を見るとブラウス一枚で何も穿いて無いように見える自分の姿。ここまで脱いでも男らしさが一切出てこないのは、神様が僕にしてくれた唯一の配慮かも知れない。
ブラウスのボタンを胸の高さまで外して鏡に向かって「だっちゅーの」のポーズ。うむ、我ながら色気が無い。ぺったんこにはぺったんこの需要があるとはいえ……僕は圧倒的に巨乳派だ。
理想を言うのならロリ巨乳こそ正義。異論は認めよう。
ブラウスを脱いでついに下着だけになる。スカートにトランクスを穿くのは無礼だという藍の主張により、僕は女物の下着を身に着けていた。まぁ最近は男性のブラジャーとかあるくらいだから変なことじゃない……よね?
さて、全てを脱ぎ棄てスッポンポン! 下半身の分身を見て思う。
「絶対これは女の子よりも男のが可愛いよな」
男子だったら絶対に考えることをひとしきり考えて風呂に入る。
ちなみにシャンプー、リンス、コンディショナーは藍が使っているものを共有している。これを使っていると、どこでも藍と同じ匂いがして安心するんだ。
シスコン? どんとこいです。
シャワーで泡を流し眼を開ける。
――ぞくり。
不意に誰かに見られてる様な視線を感じた。ドアの方を振り返る。たまに藍が覗いてる時があるんだ。でも、今日はいない。
気のせいか、視線を元に戻す。
しかしその途中で気になる物が目に入った。
「窓がちょっと開いてる?」
そう。窓がほんの少しだけ開いていたんだ。僕はどうしても気になって窓の隙間の死角に潜り込んで、一気に窓を開いた。
「いやぁああああああああ!!」
「ぬわぁあああああああ!?」
僕は驚きで悲鳴しか上げられなかった。相手も同じだったらしく、ドラ○エのパ○スよろしく奇声を上げた。
外にいたのは見知ったばかりのあの人だ。
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