大好き
茜さんは表情をこれでもかと言うくらい曇らせて、この場に居たくないことをアピールしている。彼女がここにいるのは僕が花音さんに頼んだからだ。
そもそもこのパーティ自体も僕が源次さんに謝りたいと言ったら花音さんが企画してくれた物なのだけど、どうしてここまでしてくれたのかは分からなかった。むしろ僕が何かしようと思っていたのに。
茜さんの横には花音さんが座っている。
僕と柏木さんに気がついた花音さんは手招きをして僕を呼んだ。
「ど、どうしたの花音さん?」
「どうしたもこうしたも無いだろう! 君が茜君を呼んでくれって言うからこうして招待したと言うのに! 君がウロウロしていてどうする。父さんにはもう話が済んだのだろう?」
「招待した!? あれが!? 突然縄で縛り上げられた時にはこのまま海外に売られるのかもって所まで想像したわよ!」
茜さんが声を荒らげる。不機嫌なのは連れてくる時に柏木さんが特技を使って茜さんを半ば強引に捕まえたせいだった。
いやもちろんまだ僕の事を嫌いだと言う気持ちはあるんだろうけど、それ以上に今は柏木さんが彼女を縛って無理矢理連れてきた事に腹を立てているみたいだ。
「まぁまぁ、茜さん。柏木さんも謝ってたからさ」
「気安く話しかけないでよ、この女装野郎」
「貴様! 夕貴を馬鹿にすると私が許さんぞ?」
花音さんが血管が二本ほど切れそうなくらい青筋を立てて怒っている。刀を持っていたら間違いなく抜刀しているだろう。
しかしそのおかげか茜さんは口を閉じて僕の方に体を向けた。
「茜さん、君にはちゃんと謝りたいんだ」
「謝るだけならここじゃなくていいんじゃない?」
「ハハ、そうなんだけどさ……なんて言うか僕が大好きなこの場所に茜さんを呼びたかったんだ」
「……」
「だ、大好き!? 夕貴、それは私の事か? 私が大好きか!?」
「もちろんだよ」
僕の言葉に反応したのは茜さんではなく花音さんだった、なぜ? まぁ当然一番大好きな友達だよ。
「そ、そうか。アッハッハッハ! 今日は宴だぁああああ!」
なぜか急にテンションの上がった花音さんは皿に沢山の肉を乗せて踊っていた。どうしたんだろう。
まだ完結ではないですが評価、お気に入りをお願いします(´;ω;`)
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