好きな人からされる『大事な話』
家に帰るといつも通り藍が玄関まで出迎えてくれる。それは嬉しいんだけど首を支えにしてぶら下がるのはやめてもらいたい。
「おにぃおかえり~! 今日も花音ちゃんに放課後の秘密の特訓してきたの?」
藍はいつの間にか竜宮寺さんのことを花音ちゃんと呼んでいた。本人が聞いたら体を掻いて嫌がりそうだけど、まぁ聞かれる心配は無いからいいか。
「うん、今日で終わりだと思ってたんだけど、明日泊りに来るように言われちゃったよ」
「え!? お泊り!? おにぃが女の子とお泊り? 最近は私とも一緒に寝てくれないのに、花音ちゃんとは一緒に寝るんだね……」
「一緒には寝ないよ。バレたら困るのは僕なんだから」
まぁ一緒に寝れるなら寝たいけどね。実際ロリ属性をものにした竜宮寺さんは僕の性癖にベストマッチだ。
「あ、そかそか。まだ男だってバレて無いんだっけ……おにぃも我慢するの大変でしょ? 女の子同士ってスキンシップ多いしね」
「それはまぁ……」
「おにぃ、私が慰めてあげても、いいんだよ?」
耳元で藍が囁く。まったく冗談だからって言っていいセリフと悪いセリフがある。もちろん今のはいいセリフだ。僕が実の兄じゃなかったら完璧に藍に心酔している。
「はいはい、それはまた今度お願いするよ」
「ちぇ~!」
しかし実の妹に本気で性欲が湧く訳も無く、適当に流しておく。
まぁでも藍の過剰なスキンシップのおかげで女体に対する免疫がついているのは間違いなかった。
「ユウキ~帰ってきたならお母さんと一緒にお風呂に入る~?」
そしてこの母親も。
「ずるい! じゃあ私も入る!」
「あらあらやきもちさんねぇ、じゃあ今夜は久々に親子三人で裸のお付き合いでもしましょうか」
二人はノリ気の様だけど、僕としては冗談じゃない。
しかし誤魔化さないとこの二人は本当に実行する。
「藍、それよりも二人きりでしたい話があるんだ。僕の部屋に来てくれないか?」
「おにぃが、私と二人きりで……。いつもは私の部屋なのにおにぃの部屋……ということは……はぅあ」
藍の顔が赤くなり今にも頭から蒸気が出そうだ。
「あらあら、私は仲間外れなのね、プンプン」
そう言いながらも母さんは台所に戻っていった。プンプンって、自分で言うのはどうかと思うよ。
「ねぇねぇ、おにぃ、それは私達にとって大事な話?」
「あぁもちろん。二人の将来に関わると言っても過言じゃないね」
「二人の……将来……。私お風呂で体を清めて参ります!」
「うん、とりあえずは夕食を食べてからね」
「うん!」
なぜ体を清めるのかは分からないけど、これで一緒にお風呂に入るのは回避できた。いやまぁ一緒に入りたいんだけど、そうするといつも以上に体を擦りつけてくるから入りにくいんだ。発展途上の色々が気になるし。
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