メイド服+ツンデレ=最強
藍曰く、「男なんて外見と話し方をそいつの好みに合わせてやればすぐに堕ちる只の動物」問題は好みに合わせるための竜宮寺さんの演技力だ。
「じゃあまずは髪形を変えてみようか」
「な、なんだ? なぜ髪形を変えるんだ!?」
竜宮寺さんはあからさまに嫌そうな顔をする。今はただストレートに腰まで伸ばしているだけだから、もしかしたら髪形を作るのが嫌いなのかも知れない。
「可愛くなりたいんでしょ? だったら言う通りにしないとねぇ?」
「くっ……よろしく頼む」
この一言を言うと彼女は否応なしに従うしかない。僕は彼女の後ろに回り込みブラシとヘアゴムを両手に持つ。
「竜宮寺さんの髪、凄く柔らかくてサラサラするね」
ヘアブラシを彼女の髪に通した瞬間、今まで味わったことの無い感触が手に伝わってくる。藍の髪を梳かすことはたまにあるけど、それとはまた違う感触だ。これを例えるなら……絹? それも上質なものだ。柔らかさと強さを兼ねそろえている。その匂いもまた爽やかで、森の中で森林浴をしている様な感覚が、優しく僕を包み込む。あぁこれこそ至高の髪。クンカクンカ。
「うむ、だからヘアゴムで止めようとしても落ちてしまうのだよ――って、君はなぜ匂いを嗅いでいるのだ?」
「いや、これはその……チェックだよ!」
「匂いまで可愛さを左右するのか!? うむ、やはり奥深いな、KJ道!」
「け、KJ道?」
「可愛い女子になるための道。略してKJ道!!」
「……うん、そっか」
センスの無さに愕然とする。でもニヤリと笑う彼女を見ると、もはや突っ込む気にもなれなかった。
「よし、できたよ!」
鏡を取り出して竜宮寺さんにも見えるようにする。
「う、うむこれはまた……あからさまと言うかなんというか、恥ずかしいな」
左右に作られた二つの尻尾。俗称ツインテールを触りながら竜宮寺さんは赤面する。いつものキャラがキャラだけに恥ずかしいのだろう。しかしこの恥ずかしがる姿がまた……可愛らしい。この姿をみればお見合い相手もたまらないってものだろう。
「竜宮寺さん、昨日言っておいた服は持ってきた?」
「あ、あぁ精一杯可愛らしい服を選んだつもりだ」
竜宮寺さんがバッグの中からある服を取り出した。そして僕はその服に目を奪われ、釘づけになった。
「め、メメメイド服!?」
メイド服!? 竜宮寺さんのことだから暴走族の特攻服でも持ってきてしまうかもと心配してたのに……。
「家の者に相談したらこれがいいと言って聞かなくてな」
本人は納得が行っていないようだけど、これは竜宮寺さんの家族さん、グッジョブです! なんで家にメイド服があるのか疑問ではあるけどまぁそこは置いておこう。気にしたら負けだ。
「じゃあこの髪形と服に合う性格を教えるね!」
「うむ、髪形で性格まで指定されるのか、なんと険しき道なんだ。KJ道!」
竜宮寺さんは斜め上を仰ぎ見る。彼女にだけ見えるKJ道の神様でもいるのだろうか。
「この髪形と服に合う性格! すなわちそれは……ツンデレ!!」
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