表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/82

49・見たことのある顔


「どっかで見た顔なんだよな。どこだっけなぁ? 小学生の頃のダチじゃなかったし、つい最近見かけた気がするけど、そうでないような……。テレビで見た? まさか有名人? いや、あんなヘボ顔だ、ありえん。あれは有名じゃない、無名人だ。エキストラで出演していて、たまたま覚えていたとか? うーん、ありえるような、そうでないような。つか俺、最近テレビつけてないわ。じゃあネットか? なんかの記事でみた顔なのかもしれん。いや、違うな。くそっ、分かるようで、わっかんねぇ!」

「おまえ、まだ考えてるのかよ。バッカじゃねぇの」

 一緒に歩いていた友人が呆れていた。

「気になるんだって。さっきの男、会ったことある奴なんだ。きっとあるんだ。でも、いつ、どこで会ったのか、思い出せないんだよ。それって、気味わるくない?」

 駅前で友人を待ち合わせていた時に、道を聞いてきた男がいた。

 その場所を教えている時に「どっかで見た顔だな?」と、妙な近親観が沸いたものだ。

 しかし彼の方は、そんな親しみはなかったようで、礼だけ言うとさっさと去って行った。

 彼が消えた後も気になって仕方ない。以前に会った事のある男のはずなのに、いくら思い出そうとしても分からない。

 それに、向こうは俺のことを知らなかった。

「気にしすぎだ。そろそろ忘れろよ」

「だって、ここまで出掛かってるんだぜ」

 自分の喉をちょんちょんつついた。

「あとちょっとで思い出せそうなんだ」

「デ・ジャウとか、そんなんじゃねぇの?」

「いやいや。どっかで見たんだよ」

「誰かに似てるとか、そんなんかねぇ」

「似てるかぁ。そうかも知れない。誰に似てたんだろ?」

 頭の中で、俺が今まで出会ってきた人の顔を次々に思い浮かべてみる。

 仕事先で会ってきた人々の顔、叔父叔母や従兄弟などの親戚の顔、学生時代の友人知人の顔、姉貴と義兄の結婚式に来ていた人々、などなど数多くの人の顔を脳内でリストアップするが、さっきの男と一致しなかった。

「近い顔はあるけど、そいつじゃないなぁ」

「まだやってんのか。おまえに付き合ってると苛々してくるわ」

「誰だったかなぁ」

「もう諦めろ。俺、トイレ行ってくるわ」

 友人が、トイレに向かって歩きだした。

「あ、待ってくれ」

「なんだ?」

「俺も行く」

 しょんべんを済ませて手洗いをする。

 洗い終えたら顔をあげた。

「ああああっ!」

 鏡に向かって、俺は叫んだ。

「どうした?」

「こいつだっ!」

 さっきの男に似た奴が、鏡に映っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ