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転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第六章:安藤さん家の四兄弟チャンネル始動

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謝罪配信

伊吹(いぶき)さん!」


 配信画面を終了し、伊吹が首を回していると、藍子(あいこ)がスマートフォンの画面を伊吹へ見せる。

 そこには女性の顔のみが映し出された、YourTunes(ユアチューンズ)の生配信が表示されていた。


「これは?」


玲夢(れむ)ちゃんの中の人です!」


「……うわぁ」


 伊吹が想像していたよりも反応が早く、そして伊吹が想像していたよりも過激な反応を見せていた。


『私、伊地藤(いちふじ)玲夢(れむ)はVividColorsヴィヴィッドカラーズの社長さんに、とても酷い事をしてしまいました』


 伊吹が先ほど生配信で語り掛けた相手、伊地藤玲夢。

 もしも彼女が自分の配信を見ているのならば、何かしら反応を見せるだろうと思っていた。


 電話が繋がらず、事務所へ行っても通してもらえない。

 でも、伊地藤玲夢には藍子に対して語り掛ける手段がある。

 YourTunesを通して語り掛ければ良いのだ。


 伊吹がやってみせた事で、その方法に気付いたのだろう。

 しかし、まさか顔出し配信をするとは伊吹にも想像出来なかったが。


『私は自分の顔が嫌いで、自信がなくて、だから元々顔出しをしないでゲーム画面だけを配信する形で活動していました。

 でも、私にVtuner(ブイチューナー)にならないかって、社長は誘ってくれたんです。

 あなたにはお話をする才能があるよって、なのに私は……』


 伊地藤玲夢はどういった経緯で独立する事になったのかは、社長に会って直接説明したいと訴えている。

 今はただ、話し合いの場を設けてほしいという呼びかけと、今までYourTunes上で批判していた社長に対する謝罪と、視聴者への事実の説明をしたいと話している。


『この配信を見てくれている視聴者の皆さん、私はこの配信を最後に、配信活動を引退します。

 VividColorsから高価な機材を奪ってしまった責任を取らなければなりません。

 私の機材は故障していますし、他の所属メンバーは機材を持ったまま他の事務所へ移籍して行ってしまいました。

 もう私には取り返す事が出来ません』


 顔だけの伊地藤玲夢が、涙ながらに謝罪している。同時接続者数は五千人と、落ちぶれる前の数字に戻っている。

 コメントには辛辣や内容や批判する内容もあるが、正直に謝罪した事を評価するコメントも一定数存在している。


『皆さん、今まで応援頂きましてありがとうございました。

 最後は自分のせいで大失敗してしまいましたが、ずっと楽しかったです。

 こんなバカな私にお付き合い頂きまして、ありがとうございました!』


「ねぇ、これってまさか……、自殺なんてしちゃったりしないよね? ね?」


「配信の画角的にスマホで配信してるんじゃないか?

 あーちゃんすぐに電話して!」


 伊吹は自分が藍子に相手にしないよう指示していた事、その上で生配信で呼びかけた事で、彼女を必要以上に追い詰めてしまったのではないかと焦る。


 藍子が配信を見ていたYourTunesアプリを閉じて、伊地藤玲夢に電話を掛ける。

 伊吹は自分のスマートフォンでYourTunesアプリを開き、伊地藤玲夢で検索してチャンネルを探し、タップして配信を表示させる。


「……はぁ?」


 そこに表示されたのは、全裸で土下座をしている伊地藤玲夢だった。

 伊吹のスマートフォンに全裸土下座が表示された直後、橘香(きっか)の手によって伊吹の両目が塞がれてしまった。


「あ、アカウント停止されたみたい。

 誰かが運営に通報したのかな?」


 燈子が伊吹の手からスマートフォンを受け取って、『このアカウントの動画は再生出来ません』という表示に切り替わっているのを確認する。


「現実での自殺ではなく、チャンネルの自殺だったか」


「人騒がせな」

「伊吹様に全裸姿をお見せするなど言語道断」


 美哉(みや)と橘香がぷりぷりと怒っているのを、智枝(ともえ)が不思議そうに見つめる。


「女の裸が汚いという意味ですか?」


「違う、伊吹様は女の裸を見るのがお好き」

「誘惑して許しを乞うつもりだった。とても悪辣」


 なるほど、だから下着を見せろと仰っていたのですね、とぶつぶつ呟いている智枝。


「繋がりました!

 もしもし玲夢ちゃん!?」


 こうして藍子と伊地藤玲夢との騒動に、一つの区切りが付いたのだった。

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