表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第五章:Vtunerデビュー直前

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/178

命名

清風明月(せいふうめいげつ)

花鳥風月(かちょうふうげつ)

雪月風花(せつげつふうか)

春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)

山紫水明(さんしすいめい)

鏡花水月(きょうかすいげつ)

流言飛語(りゅうげんひご)

酒池肉林(しゅちにくりん)

珠聯璧合(しゅれんへきごう)

恐悦至極(きょうえつしごく)

堅如盤石(けんにょばんじゃく)

仁狐怒兎(じんこどと)

風流(ふうりゅう)瀟洒(しょうしゃ)

天怒人怨(てんどじんえん)


「聞いた事ないのが増えて来たな……」


 現在、事務所にてデビューする男性Vtuner(ブイチューナー)の名前を考えている。

 伊吹が『男性に聞く百の質問』の中で提案した、一つのチャンネルで四人の男性キャラを使い分けて活動するという前提で話し合っており、名付けの取っ掛かりとして美哉(みや)橘香(きっか)が四字熟語を挙げていた。


「きよし、かぜ、あきら、つき、ですか。ちょっとしっくりは来ないかもですね」


藍子(あいこ)が先ほど挙げられた四字熟語を入力し終わり、腕を組みながら考える。

 弁護士と税理士との約束の時間にはまだ早い為、藍子も名付けに参加している。

 燈子も昨日描いたイラストを見比べてどれが良いか考えつつ、皆の話を聞いていた。

 大画面のテレビにケーブルを繋ぎ、ノートパソコンの画面を表示させている。


「そのまま使わずにもじって使うのはありかな。

 長男が一清でいっせい、次男が風次でふうじ、三男が……。

 数で合わせるのは無理か。四がそのまま入る名前が思い浮かばない」


「四つ子ならみんな横並びって事で数字を入れなくても良いんじゃない?

 春也(しゅんや)夏生(なつお)千秋(ちあき)冬真(とうま)とか」


「山の入る名前はちょっと思い付かないし、水も無理矢理合わせた感が出てダサくなるかもな」


 うんうんと唸りながら候補を挙げていく伊吹と藍子と燈子。

 美哉と橘香は四字熟語を挙げたのみで、名付け自体には参加せずに控えている。


「別に名前を何かになぞらえて揃えて付ける必要もないんだけどねぇ」


 そう燈子は言うが、VividColorsヴィヴィッドカラーズからVtuner(ブイチューナー)デビューした元一期生はしっかりと統一感のある名付けが行われている。


 伊地藤(いちふじ)玲夢(れむ)

 仁多賀(にたか)絵夢(えむ)

 美那須(みなす)来以夢(らいむ)


 こちらは姉妹の設定ではないので、名字が初夢で見たら縁起が良いとされる一富士二鷹三茄子を元に付けられ、名前は夢を入れる事とし、後は語感に漢字を当て込んである。


「元一期生の名付けは誰がしたんですか?」


「私がしました。一人でうんうん唸りながら。

 あぁ、楽しかったなぁ……」


 藍子は三人の名付けをした勢いのまま、まだデビューが決まっていないどころか、デビュー候補者も決まっていないキャラの名付けを行ってしまう。


 一ノ瀬(いちのせ)睦月(むつき)

 二階(にかい)如月(きさらぎ)

 三村(みむら)弥生(やよい)

 四方(しかた)卯月(うづき)

 五条(ごじょう)皐月(さつき)

 六平(むさか)水無月(みなづき)

 七海(ななみ)文月(ふみつき)

 八軒(はちけん)葉月(はづき)

 九野(くの)長月(ながつき)

 十文字(じゅうもんじ)神無月(かんなづき)

 郡士(ぐんじ)霜月(しもつき)

 石王丸(いしおうまる)極月(きづき)


 これだけの名付けを行った。行ってしまった為に十二人の所属YourTuner(ユアチューナー)を同時にデビューさせる方針を決め、十二人分の機材やアバターを用意しなければならず、出費が膨らんでしまった。

 その上、伊地藤玲夢にデビュー予定者を引き抜かれ、機材ごと奪われてしまった。


「あはははははっ」


「あーちゃん帰って来て!」


 口を開けて白目を剥いている藍子の肩を燈子が揺する。


(現ゆめきかく所属Vtunerは名前に統一感があるから、逆に統一感がない方が良いかも)


 名付けの方向性をガラッと変えて見せる事で、差別化を図っている事をアピールする。

 相手にしていない事を暗に伝える。


 伊吹は伊地藤玲夢をボコボコにしてやりたい、ぶっ潰してやりたいと思ってはいるが、直接名指しして批難したり、誹謗中傷をしたりして引き摺り下ろそうという意味ではない。

 自分の配信をクオリティの高い内容にし、如何に自分が低レベルな配信をしているか気付かせるような形を取るのが理想だと考えている。


 統一感がないように見える。いや、統一感はあるが伊吹しか知らないもので統一すれば名付けしやすい。


「ねぇ、四字熟語以外に名付けの理由になるものないの?

 お兄さんのお母様やおばあ様からあやかったり出来ない?」


 燈子が伊吹へと問い掛ける。


「あぁ、そういうのでもいいのか。

 僕の母は咲弥(さくや)で、祖母は心乃春(このは)です。

 字は……、藍子さん、ちょっと失礼して」


「えぇ、どうぞ」


 伊吹は藍子からノートパソコンを借り受け、キーボードで入力してテレビ画面に二人の名を表示させる。


「おばあ様のお名前がコノハさん、その娘さんがサクヤさんか。

 これって木花開耶姫(このはなのさくやひめ)に合わせて、おばあ様が娘さんのお名前を付けられたのかな?」


「……初めて気付いた」


 コノハナノサクヤヒメは、日本書紀や古事記に登場する日本神話の女神である。

 伊吹は自分の祖母と母親の名前にそんな共通点があったなど、今の今まで気付かなかった。


「ご自分のお名前が神様を由来としているのに、お兄さんは神様のお名前じゃないのねぇ」


「いえ、ご主人様のお名前は……」


 燈子の何気ない一言が、伊吹に閃きを与えた。

 美哉の声は伊吹の耳には入っていない。


 神様の名前。


(神様達の名前を由来にさせてもらおう!)


「ちょっと思い浮かんだ名前があるんですけど、口で言うんで漢字は藍子さんが決めてもらっていいですか?」


 ノートパソコンを藍子へ返し、名前を告げる。


「えいじ、


 あきら、


 おさむ、


 しょうたろう。


 この並びだとしょうたろうではなく、しょうたでも良いかも知れないな……。

 名字は……、安孫子だから安心の安と藤本の藤、えーっと、藤棚の藤で、安藤(あんどう)かな。」


「安心の安と、藤棚の藤っと」


 藍子は言われた通りに入力していく。


「お兄さん、それは何に由来する名前なの?」



「僕がいた並行世界の神様達の名前だよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
四字熟語にどっかで聞いたクラン名が増えてるぞwww どこぞの妃殿下がメイド姿でまぎれこんでたりしませんかwwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ