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第79話 スキル

  ……おっと、やばいやばい。

 少しだけ寝てしまっていたようだ。


 外を見てみると、すでに暗くなっていた。

 そろそろ夕食の時間か。行くとするか。


 そう思いベッドから起き上がり、

 部屋を出て、一階に向け歩いていく。

 そして階段を降り、食堂に入ると、


「おーい、ユーマこっちだ。早く来てくれー」


 いつも通り俺を呼ぶイグルの声がした。

 しかし、気のせいかもしれないが、いつもよりイグルの声が若干震えていたような気がするな。なんでだろうと思いつつも、イグルの座っているテーブルに向け歩いていく。すると、


「ユーマ、昨日ぶりじゃのう」


 そう、小さくて遠くからじゃ気づかなかったが、イグルの正面の席にはミナリスさんが座っていたのだ。なぜイグルと一緒にいたのかは知らんが、そりゃ声も震えるわな。なんせ昨日黒焦げにされたばかりなんだ。

 とりあえず俺はミナリスさんの隣の席に腰を下ろし、


「ミナリ、じゃないミリスさんこんばんは。今日はちゃんと夕食を食べるのですね。しかし、なぜイグルと?」


「うむ、どうやらお主はこの変態小僧と一緒に夕食を取ることが多いと聞いてのう。ここで待っておったというわけじゃよ」


 変態小僧? ああ、イグルの事ね。

 しかしイグルよ、お前昨日ミナリスさんと会ったばかりだよな。いきなり変態小僧なんて呼ばれ方するなんて、一体何やったんだよ。そう思いイグルに疑問の目を向けていると、


「いやいや! ミナリス様、変態小僧ってのはやめてくださいよ! ちょっと手を握っただけじゃないですか」


「ふむ、扉を開けいきなり手を握ってくる輩など変態小僧で十分と思ったのじゃがな。まぁええ、これからは小僧と呼んでやろう。それからここではわしの事はミリスと呼べ」


 まじかよイグル、こんな見た目は少女なミナリスさんに手を出そうとするなんて、見境のない変態だな。

 まぁ相手が悪すぎたわけだが。


「そ、そういやよユーマ! お前結局ゴールデンラビッツ倒す事できたのかよ?」


 ふむ、無理やり話題を変えようとしているな。

 だがそれにミナリスさんも乗ってきて、


「ほう、ユーマは今日ゴールデンラビッツを倒しに行ったのか。あやつはわしでも数えるほどしか倒したことのない魔物じゃ。で、結果はどうだったんじゃ?」


「無事倒すことは出来ましたよ。かなり時間はかかりましたけどね」


「おお、さすがユーマだぜ!」


「ふむ、たしかに大したもんじゃ。あやつをたった一日で倒すとはの。よほど運がいいとみえる。……それとも何か特別なスキルでも持っておるのかのう?」

 

 おそらく最後に呟いたその言葉はイグルには聞こえていないだろう。しかし、隣に座っている俺にははっきりと聞こえてきた。

 ミナリスさんはじっとこちらを見つめている。ふむ、こりゃ俺は特別なスキルを持ってるって気づかれてるなぁ。どこで気づいたのだろうか。気になるので後で聞いてみるとするかな。


 そんな事を話しているうちに、サリーが夕食を持ってこちらにやってきた。


「ユーマさんとイグルさんと、今日はミリスちゃんも一緒なんですね! 早速仲良くなってくれたみたいで嬉しいです! ではこちらが今日の夕食です。ゆっくり食べてくださいね」


 そう言い残しサリーは食堂に戻っていく。

 さて、夕食もきたことだし早速、


「ふむ、これはうまそうじゃな。早速頂くとしよう」

 

「そうですね。食べるとしましょう」


 その後俺たち三人はかなりの速度で夕食を食べ始める。俺とイグルはいつもの事だが、意外だったのがミナリスさんだ。見た目は少女なのに俺たちとほぼ変わらない速度で夕食を平らげていった。相変わらずアンバランスだな。


 そして夕食を三人とも食べ終えると、


「さてと、わしは部屋に戻るとする」


 そう言い残しミナリスさんは先に部屋に戻っていった。その後、俺とイグルも少しだけ話をして、別れた。

 そして俺は夕食の時の事を聞くために、ミナリスさんの部屋に向かい、


「ミナリスさん、少しよろしいでしょうか」


「ユーマか、入っていいぞ」


 了解を得たので部屋の中に入っていく。

 そして、


「ミナリスさん早速ですが聞かせてください。なぜ俺が特別なスキルを持っていると分かったのですか」


 そう俺が質問するとミナリスさんはニヤリ笑いながら、


「ふむ、やはり持っておるのじゃな」


 しまった、夕食の時はカマをかけただけか。

 さすが150年以上も生きているババアだ。油断も隙もあったもんじゃない。まぁ俺が単純すぎるというのも原因なのだが……

 俺は観念したように、


「はぁ、たしかに俺は少しばかり特別なスキルを持っていますよ」


「ふむ、やはりお主も持っておったか」


 俺も? もってことは他にも俺のような特別なスキルを持っている人がいたのだろうか。俺と同じような境遇の人物なんて、いや、一人だけいるじゃないか。


「クロダさん、ですか」


「そうじゃ。あやつもかなり特別なスキルを持っておった。たしか、未来予知といったかのう」


「未来予知、ですか」


「そうじゃ。あやつが言うには最大で数分先の未来まで何が起こるか分かるといっておった。まぁ似たようなスキルに直感というものがあるが、それの超強化版といったところかの」


「なるほど、それは便利そうですね」


 そして直感なんてスキルも初めて聞いたな。

 機会があれば、是非とも会得したスキルだ。


「さて、ではお主の持っているスキルの事も聞かせてくれるのかの?」


 残念だが、それは無理だな。


「すみませんミナリスさん。それはできません」


「まぁそうじゃろうな」


 あれ、思っていたよりあっさり引いてくれたな。

 俺がそう思っていると、


「なんじゃ、わしが無理やりにでも聞き出すと思ったのかの? さすがにそんな事はせんよ。基本的に自分の持つスキルの内容は余程信用している人物にしか教えないもんじゃ。わしとお主はまだ会って二日。そんな人物にほいほいスキルの内容をばらすようなら、逆に怒鳴り散らして居ったわ」


「そうですか。安心しました。ではもう夜も遅く、疑問もなくなったことなので、自分はこれで失礼しますね」


 最後にミナリスさんにこっそりスキルを使い、部屋を出ていく。

 そしてすぐ隣の自分の部屋へ入っていき、いつものようにベッドに横になる。


「はぁ、疲れたぁ」


 肉体的にはほとんど疲れはないが、

 精神的に一気に疲れたような気がするな。

 しかし、


「やっぱり、まだ無理だったかぁ」


 部屋を出るときこっそり鑑定したのだが、やはりまだミナリスさんのステータスを見る事はできなかった。

 

 まぁ仕方ないな。明日からもlevel上げ頑張るとしますかね。





読んでいただきありがとうございます。

これからもこの調子で頑張っていくのでよろしくお願いします。

最後にブクマや評価ポイントなどいつもありがとうございます。

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