第64話 帰宅
「はぁ……疲れたぁ」
俺はサイクロプスの首を斬り落とすと同時に地面に腰を下ろす。
戦いが終わって一気に気が抜けたのだろう。
「しかし、強かったな。まさか魔力上乗せの攻撃を2回急所に当てても死なないなんてな。驚異的な耐久力だった」
しかも一撃目は完璧に無警戒の状態での一撃なのにだ。
よく倒せたなと自分でも思ってしまう。
それから数分、やっと心が落ち着いてきた。
「さて、とりあえずサイクロプスの死体をアイテムボックスの中にしまっておくか。」
そう思いサイクロプスの頭と胴体をアイテムボックスにしまう。
ギルドに着いたらこいつどうしようかな。
おそらくだが、売ったらかなりの金額になることだろう。
体がでかいので盾にするという手もあるが、まぁさすがに勿体ないか。
盾が必要なときはオークを狩りにいけばいい話だからな。
「よし、こいつは売ることにしよう」
お金はいくらあっても困る事はないからな。
そうだ、サリーになにか買ってあげるのも悪くないな。
俺の事かなり心配していてくれたからなぁ。本当にいい子だ。
最初は単にマリアさんの知り合いだと言うことで守っていたが、最近はサリーだから守りたいと思うようになってきた。これは本格的にサリーの事好きになっちゃったのかもしれないな。冷静に考えると年の差離れすぎなような気もするけど、まぁ異世界だからいいよな!
「やばいやばい、こんな事ばかり考えていたら少し恥ずかしくなってきた」
少し深呼吸して心を落ち着かせて……
よし、少し落ち着いてきた。
「というか、俺はこんな森でなんでこんな事考えているのやら。さっさとフロックスに帰るとするか。色々考えるのはその後だな」
そう思い俺はその場から立ち上がり、出口へ向かい歩き出す。
帰り道はほとんど魔物と会うこともなく、すぐに森から出る事ができた。
「よし、無事森を出る事ができた」
では、早速走って帰るとしますかね!
おそらくサイクロプスを倒してlevelも上がっていることだろう。
どれだけ早くなっているか少しだけ楽しみだ!
「いくぞ!!」
そして俺は全速力で走り出した。
すると、
「うお! なんだこれ、ゴルド森林に来るときよりめっちゃ早くなっているような気がするぞ! 一体いくつlevel上がったんだよこれ」
俺がそんな独り言を言っている間にも、周りの景色はどんどん変わっていく。
はは、なんて速さだ。風が気持ちいいな!
その後ほんの数分で俺はフロックスに到着した。
本当にあっという間だったな。
そして俺が走ってくるのに気付いていた、いつもの門番さんが少しだけ驚きながら話しかけてくる。
「ユ、ユーマ様、怪我もなく元気そうで何よりでございます。その様子だとサイクロプスも無事倒すことができたので?」
「はい、無事サイクロプスは討伐しました。まぁ一撃くらっちゃいましたけどね。すぐ回復魔法で治せたのでなんとかなりました」
俺がサイクロプスを討伐したと言ったら門番さんは顔は笑顔になり、そして次に俺が一撃食らったと話をしたところ、心底驚いたような顔になった。
「まさか、サイクロプスの一撃は大木を容易くへし折り、家を軽く全壊させると聞いたことがあります。それを食らって生きているなんて、ユ、ユーマ様は頑丈なのですね……」
門番さんは最後の方若干引いていたような気もするが、気にしないでおこう。
「では自分はギルドへ向かいますね。またお会いしましょう」
そう門番さんに軽く手を振り、街の中に入っていく。
街は若干いつもより騒がしく感じた。
まぁ大侵攻が起きるかもしれなかったんだ。騒がしくもなるか。
まぁいいか、とりあえずギルドへ向かうとしよう。
そう思いギルドへ向け歩いていく。
そして数分後、ギルドへ着き扉を開け中に入っていく。
ギルドの中は俺が入る前は騒がしかったものの、俺が入っていくと急に静まり返る。なんでだろうと思いつつ、俺はメルさんに元へと歩いていく。
そして、
「戻りましたメルさん。無事サイクロプスを討伐することに成功しました。これがその証です」
そう言い俺はアイテムボックスから巨大なサイクロプスの頭を取り出す。
すると静まり返っていたギルドでいきなり、
「「「「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」」」」
溢れんばかりの歓声が響き渡った。
「すげえ! 本当にサイクロプスをやっちまいやがった」
「信じらんねぇ! やばすぎるぞ首狩り」
「こ、これで大侵攻はもう起きねえんだよな!」
「ああ、間違いねえよ! なんせ上位種全部首狩りが始末してくれたからな!」
そしてメルさんも珍しく興奮した様子で、
「凄いわユーマ君! 本当に凄い、凄すぎるわ」
メルさんさっきから興奮しすぎて、凄いしかいってないぞ。
「まぁ今回もそれなりに苦戦しちゃいましたけどね。一撃貰っちゃいましたし。まぁそれでもなんとか帰ってくることができましたよ」
俺がそう言うとメルさんはさすがに少し落ち着いてきたのか静かになってきた。
しかし今度はメルさんの目から少し涙が、
「ユーマ君、多分ユーマ君はこんな事いっても自分のためっていうだろうけど、私達フロックスに住んでいる人達はみんなユーマ君に感謝してるわ。本当にありがとう」
そう言ったメルさんの顔は涙で顔を濡らしながらも、笑顔だった。
やばいな、ちょっと心にグっときたぞ。ちょっとだよ?
しかしここまで純粋にお礼を言われると少し恥ずかしくなってきたぞ!
少しだけ困っていると、
「アニキ! 無事で何よりっす」
そう言いマルブタ君が俺に近寄ってきた。
おお、丁度いいタイミングだマルブタ君、初めて君に感謝したよ。
「おお、マルブタじゃないか! お前も元気そうで俺もうれしいぞ!」
俺がそう言うとマルブタ君は少し困惑しながらも、
「おおぉ? アニキなんだかいつもより優しいっすね。まぁアニキが元気そうでよかったっす!」
俺のマルブタ君に対する好感度が少しだけ上がった。少しだよ。
「よし! マルブタ、俺はさすがに疲れているから帰るとするよ。メルさんも、今日は俺の事を心配してくれていたみたいでありがとうございました。」
俺がそういう言うと、
「そうね、今日はゆっくり休んだ方がいいわ。あとギルドマスターから話があると思うからまた明日ギルドに来てもらってもいいかしら?」
「今日じゃだめなんですか?」
「今日は領主様や魔法学園の校長さんと大侵攻についての対策会議に行ってるのよね。まぁもう必要なくなっちゃったけど」
「そうなんですか、わかりました。また明日ギルドに顔を出すことにします。じゃあこれで失礼しますね」
そう言い俺は出口に向けて歩き出す。
後ろから、
「アニキー! ゆっくり休んでくださいねー!」
そうマルブタの声が聞こえたので軽く手を振っておく。
そしてギルドから出て、
「あ、サイクロプスの素材売るの忘れてた。まぁ明日でいいかな」
そう思いジニアに向けて歩き出す。
はぁ、やっと帰れる。そう思うとジニアに向かう足も軽くなった。
そろそろいい時間なので、丁度夕食の時間かな。
そして数分後、ジニアの前に着き扉を開けると、
「おおお、ユーマやっと帰ってきやがったか! その様子だとサイクロプスは無事に倒せたみてえだな!」
最初にイグルから声がかかる、
「ああ、無事に倒すことができたよ」
「は! さすがユーマだぜ! まぁ俺は信じてたけどなぁ」
そして次に、
「お、ユーマ戻ってきたね。じゃあ夕食の準備急がなくちゃね!街の恩人を待たせるわけにはいかないからね」
そうしてサリアさんは俺のかえって来たのを見て、夕食の準備に取り掛かる。
そして最後にサリーが俺の元へと歩いてきて、
「ユーマさん」
サリーは、俺をいつもの太陽のような笑顔で迎えてくれる。
ああ、やっぱりサリーの笑顔はいいなぁ。
「ユーマさん、本当に無事でよかったです。それから」
サリーは俺に手を差し出し、
「お帰りなさいユーマさん」
俺はサリーの手を取り、
「ああ、ただいまサリー」
そしてサリーと一緒にジニアの中へと入っていく。
今日はどんな夕食がでるのか、そんな事を考えながら……
これで第二章は終了となります!
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これからもこの調子で頑張っていくのでよろしくお願いします!




