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第49話 怒り

あー疲れた。

あれから数時間オークを狩り続けた。

おそらくアイテムボックスの中にはオークの死体が50以上はあるだろう。

もちろんすべて首なしだ。

まさかオークがこんなにいるとはな。もっと奥にいけばまだまだいそうだ。


さて、オーク大量虐殺の成果は、これだ!


佐藤悠馬level79

HP550/550

Mp360/360

力240

体力240

素早さ160

幸運450

{スキル}

経験値20倍

スキル経験値20倍

鑑定level10

気配遮断level8

気配察知level2

短剣術level5

魔力操作level1

火魔法level3

水魔法level1

風魔法level1

回復魔法level3

毒抵抗level1

麻痺抵抗level1

料理level1

アイテムボックスlevel4

話術level2

{称号}

異世界転移者

引きこもり

ラビッツハンター

駆け出し魔法使い

駆け出し料理人

むっつりスケベ

首狩り


「ふむ、50匹以上倒してこれか。さすがにもうオークだと爆発的にlevelが上がるって事はなくなったな。まぁそれでも十分か。基本能力は順調に上がり続けている。スキルは、魔力操作が増えている。」


早速鑑定してみるか。

{魔力操作}

魔力を使うあらゆる行動で魔力の消費を抑えることができる。

魔力を使えば使うだけlevelが上がっていく。


これはいいな!魔力を使うあらゆる行動って事は、デーモンリッパーのあの一撃や、気配遮断などの消費も抑えてくれるのだろうか。そうだとしたらかなり便利なスキルだ!


まぁただ、まだlevel1だ。あまり大きな効果は見込めないだろう。

とりあえずはデーモンリッパーの魔力上乗せは当分使えないな。

使うたびに魔力が枯渇していたら戦いにならない。

まぁそのままでも十分使えるから問題ないな。ポイズンナイフだってある。


ま、当分はこの森でオークでも狩り続けるとしますかね。

少なくともlevel100にはしたいところだな。

幸いオークはまだまだいるようだ。


「ふふ、俺がこの森のオークを絶滅させてやるぞ!待ってろよ豚どもがあああああああああ」


おっと、ついテンションが上がってしまった。

そろそろ帰るとしますかね。切り裂き魔の件もある。


「正直俺の知り合いが襲われなければ切り裂き魔なんてどうだっていいんだけどな。まぁ依頼を受けてしまったからには頑張るか」


そうと決まればフロックスに帰るとしますか。

そう思い森の出口に向かい歩き始めた。

すると途中で、


「は?あれオークキングじゃね?」


なんと視線の少し先でオークキングがラビッツを食べていた。

おいおいグレースさん、上位種が現れる事って稀じゃねえのかよ。

二日続けて遭遇なんて……ラッキーじゃねえか!levelアップのチャンスだ!

都合のいいことにオークキングは食事中だ。

さてやりましょう。


「デーモンリッパー出して、気配遮断使って」


よし、準備終わり。処刑の時間だ。

オークキングの背後まで一気に走る。

当然オークキングは俺に気付いた様子はない。

さて、前回は首を落とすまで相当攻撃したが今回は、


「バイバイ」


たったの一撃でオークキングの首は綺麗に俺の足元に落ちた。


「前に苦労して倒したやつがこうも簡単に倒せると、成長したって実感できるよな」


お、levelも一気に3も上がっているようだ。

さすがオークキング!経験値効率いいねぇ。


「しっかしグレースさんの話が本当なら、これって異常事態だよなぁ。まぁ後でメルさんかグレンさんにでも報告しておくか」


そう思いこの場を後にする。



数分後、無事森から出ることができた。


「さて、フロックスに帰るとしますかー」


今から帰れば十分切り裂き魔がでる時間帯には間に合うだろう。

どうせならジニアで飯でも食ってから探すとするかな。

そんな事を考えながらフロックスに向けてのんびり走っていく。


それから数分で無事フロックスまで着くことができた。

しかし少し騒がしいな、どうしたのだろうか。門番さんに聞いてみよう。


「すみません、少し街が騒がしいようなのですが何かあったんでしょうか?」


「ああ、ユーマ様。実はですね、また切り裂き魔がでたんですよ」


ほう、切り裂き魔は夜に多いってグレンさんが言ってたから油断してたな。

もっと早く帰ってくるべきだったか。少し悔やむ。


「あの襲われた子、サリーちゃんだっけ。無事だといいけどね」



今……なんて言った……?



「すみません。もう一度襲われた方の名前をうかがっても?」


その時の俺は少しばかりおっかない顔をしていたのだろうか。

門番さんは少しびびりながら、


「あ、ああ。ジニアって宿屋のサリーちゃんだよ」


俺は次の瞬間には門を抜けジニアに全速力で走っていた。

くそ、こういうときにこの人の多さはうっとおしい!

ち、注目を浴びるが仕方ないな!

俺は建物の上に飛び乗り、屋根の上を走っていく。



「早く、早く、早く!」



俺は全速力でジニアまで走っていった。

人という障害物がないお陰だろうか。

俺は数十秒でジニアに着くことができた。


そのままの勢いでジニアの扉を開ける。


「サリー!無事か!?」


凄い勢いで入ってきた俺に視線があつまる。

その中の一人、サリアさんが俺に話かけてくる。


「ユーマじゃないか!すごい汗だが大丈夫かい?」


「そんな事よりサリーは無事なんですか!?切り裂きに襲われたって聞きました!」


「ああ、あの子なら今の所大丈夫だよ。襲われて逃げている所を偶然通りかかった人が見つけて、大声をあげてくれてね。それで犯人は逃げていったみたいだ。いまは奥で寝ているよ」


俺はそれを聞いた瞬間安心のあまり地面に座り込む。

よかった。サリーが生きていてくれて本当によかった。


「だけどちょうとばかり怪我をしちまってね。当分は料理はできないみたいさ」


怪我、だと?


「すみませんサリアさん。サリーの怪我を見せてもらってもいいですか?俺は回復魔法が使えるので治せるかもしれません」


「ほ、本当かい!?お願いだ見てやっておくれ。あの子すごい落ち込んでいたから。」


「任せてください。絶対に治しますよ!」


そうして俺とサリアさんは、サリーが寝ている部屋に向かう。

そして扉を開けて中に入っていくと、


「ユ、ユーマさん?」


どうやらサリーは起きていたようだ。


「サリー、切り裂き魔に襲われたって聞いた。すまん。俺がもっと早く切り裂き魔を捕まえてさえすればこんな事には……」


そうだ、俺が甘かった。夜によく出るとはいってもそれ以外の時間帯に出ないとは限らない。正直俺の知り合いが被害にあったわけではなかったので、この事件を俺は甘く見ていた。その結果がこれだ……


「そんな、ユーマさんのせいなんかじゃ絶対ないですよ!今回の件で悪い人は犯人の人だけですよ。それに私元気いっぱいですよ。怪我なんてすぐに直してみせます」


サリーは俺を励ましてくれているのか。

自分の方が怪我をして怖い思いもしただろうに。


「サリー、その怪我俺が治すよ。今から回復呪文を使ってもいいか?」


「け、怪我治るんですか!お願いします」


「任せろ。絶対治して見せる!{ヒール}」


俺の魔力のほぼすべてを使ってヒールを使う。

すると手の平から人一人丸ごと入れそうなほどの青い光で現れて、サリーを包み込む。


サリアさんはその光景を静かに見守っている。

ありがたい、サリアさんも俺を信用してくれているのだろう。

普通ならこんなのを見せられたら止めるはずだ。


数秒後、光は収まりサリーの姿がはっきり見えてきた。


「サリー、どうだ?怪我の具合は?」


俺がそう聞くとサリーは一瞬何が起こったか分からずに、

次の瞬間には自分の体をペタペタとさわりはじめ、


「ユーマさんすごいです!怪我完全に治ってます。腕と足の痛みもまったくないです!ありがとうございますユーマさん!」


そう言いサリーはなんと俺に抱き着いてきた。

無事回復魔法は成功したようだ。一安心だな。


「傷は治ったみたいだな、よかった」


「はい!これでユーマさんの夕食を今日も作ることができます!」


それを聞いたサリアさんは少し涙を流しながら笑っている。

サリアさんの笑い声を聞いていまの状況を見られていることに気付いたのだろうか。

サリーは恥ずかしそうにしながら俺から離れる。

サリーの顔は真っ赤になっていた。


「ユーマさん。すいません。つい興奮しちゃって……」


「いやまったく問題ないさ。むしろ俺としては大歓迎!」


俺がそういうとサリーは真っ赤な顔がさらに赤くなっていた。


「ふーまったく親の前でいちゃついてくれちゃって!いやぁ若いっていいわね!じゃあサリー、あんたはもう少し寝てなさい。夕食の準備は私がしておくから」


「そうだな。完全に治ったといっても少し休んでいたほうがいい」


そう言い残し俺とサリアさんは部屋からでていく。

出ていくときに布団から真っ赤な顔を半分だけだしてこっちを見ているのが非常にかわいらしかった。


部屋からでてサリアさんが、


「ユーマ、娘の怪我本当にありがとうね。」


そういい俺に向かって頭を下げてきた。


「いえいえ、サリアさんとサリーには世話になってますから。当然の事ですよ。サリアさんとサリーに何かあったら俺は全力で助けますよ」


俺がそういうとサリアさんは顔を上げ、


「ユーマは本当にいいやつだね。どうだい?いっそ私の息子にならないかい?」


「まぁ、それは今後次第ということで。では俺は少しだけ用事があるので街に出てきますね。」


そう言いサリアさんに背を向けて歩き出す。

するとサリアさんが、


「切り裂き魔を捕まえにいくのかい?」


ふぅ、勘のいい人だ。


「はい。サリーのような被害者をこれ以上出さないために、しっかり処分してきますよ」


「そうかい、気をつけなよ。あんたが怪我したらサリーが悲しむからね。もちろんあたしも。それと切り裂き魔だけど、サリーを助けてくれた人が言うには身長はあんまり大きくなくて、髪は坊主で顔に大きな傷のある男だそうだよ」


ありがたい情報だ。

事件にあったばかりのサリーに聞くわけにはいかないからな。


「ありがとうございます。では行ってきますね。なるべく早く帰るようにはしますが、おそらく夕飯には間に合わないので、サリーには先に寝ておくように言っておいてあげてください」


そう言い残しジニアから出ていく。


正直に言うと俺は街のために切り裂き魔を捕まえようとはあまり思っていない。

しかし、サリーを傷つけた報いは受けてもらう。絶対に。


「バキル、首洗って待ってろ……」











最後まで読んでいただきありがとうございます。

それから評価やブクマなどいつもありがとうございます。

お蔭さまでPVも300万を突破しました。

これからもこの調子で頑張っていきます!

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