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第47話 昇格と指名依頼


あれから数分後、


俺の目の前でギルドマスターらしい大男が頭を下げていた。


「いやーすまんかった!ギルドマスターとして本当にお主がオークキングを倒せる実力があるか試させてもらった!申し訳ないことをした!」


まぁこうやって素直に謝ってくるのは評価できる。

しかし、


「いえいえ俺も気にしていませんよ。で?本音は?」


俺がそう質問するとギルドマスターはニヤっと笑みを浮かべ、


「そりゃお前さんがオークキングを倒せるほどの男なら一回拳を交えてみたいと思ってのう!!どうだ?今度俺と戦ってみないか!?」


するとメルさんが、


「グレンさん。ユーマ君はこのギルド始まって以来の逸材なんですよ。もしこんなところで無駄な怪我なんてしたらどうするつもりなんですか。もう年なんだから少しは自重してください」


メルさんそう言われてギルドマスターはほんの少しだけへこんだようだった。

しかしすぐに笑顔を浮かべ、


「そんな事言われてもよお、目の前に強いやつがいるとついつい手が出ちまうんだよ!」


この人、よくこんな性格でギルドマスターになれたな。


「すみませんメルさん。自分はあまり気にしていないのでそこまでにしておいてあげてください」


「ユーマ君がそう言うなら。わかったわ」


「ありがとうございます。さてギルドマスターさん。俺に話があって呼んだんですよね?」


「ああ、そうだったそうだった!お主が思った以上に強者で忘れてたわ!」


本当にこの人がギルドマスターで大丈夫なのだろうか……


「まぁその話をする前にとりあえず自己紹介だ!俺の名前はグレン。灼熱のグレンなんて呼ばれている!よろしく頼むぞ」


おお、二つ名持ち。てことはこの人は少なくともランクB以上か。


「俺の名前はユーマ。まぁ最近は首狩りのユーマなんて呼ばれてます。よろしくお願いしますグレンさん」


そういい俺とグレンさんは握手を交わす。

おい、グレンさん少し手強く握りすぎだろ!

少しイラっときたのでこちらもそれなりに力を入れる。


「ぐぬ、やはりお前さんやるのう!わしに力で勝るやつなどここ最近見たことなかったぞ!」


「そいつは光栄ですね」


そう言いお互いの手を放す。

さて、話が始まる前にちょいと鑑定させてもらうか。

{鑑定}



グレンlevel54

力112

体力72

素早さ82

幸運103

{スキル}

剣術level5

狂化level3

火魔法level3

気配察知level3

気配隠蔽level3

{称号}

バーサーカー


なるほど、こりゃ強いわ。

この人ならオークキングとも渡り合えそうだ。

まぁ体力が少し低いのは年のせいなのかね。あと狂化のスキルが気になるな。


「さて、自己紹介も済んだことだし話を始めようか。まずはオークキングを倒し街を救ってくれた事にギルド代表として感謝を。」


そう言いグレンさんとメルさんは俺に頭を下げる。


「いえいえ、当然のことをしたまでですよ。まぁ本音を言うと依頼のついでに倒しただけですから」


俺がそういうとグレンさんは頭を上げ顔は笑っていた。


「は!オークキングを倒したのはついでときたか!やはりお前さんは面白い!」


グレンさんは少し笑った後、


「さて、次はお前さんのランクの話だ」


お、きたきた!それを待ってたんだ。

さて、俺のランクはどうなりますかねぇ!


「本来ならオークキングはAランクの魔物だ。ならそれを倒したお前さんはAランクに昇格でもおかしくないんだが」


だが?


「いきなりお前さんをAランクに上げると他の街のギルドの偉いやつらがうるさくてな!すまんが今回はBランクで我慢してもらうことになる。本当にすまん」


うむ、さすがにいきなりAランクは無理か。

いやしかし、Bランクでも十分だ。


「いえ俺なら気にしてませんよ。Bランクでも十分うれしいです」


「そうか、助かる。今度お前さんが今回のような成果を上げたら必ずAランクに上がるようにする!俺の名前にかけてな!」


「ありがとうございます」


とりあえずこれで俺はBランクだ。

冒険者になって三日で早くもグレースさんと並んでしまったな。


「ではメル、ユーマはBランクに昇格ということで手続きを頼む」


「了解しましたギルドマスター」


そう言ってメルさんは一人部屋から退出していった。


「じゃあ俺もこれで」


俺がそう言いかけて立とうとした瞬間、


「すまんがもう少しだけ話に付き合ってもらってもいいか?」


なんだろうか。


「構わないですけど、ほかになにか用がありましたでしょうか?」


「ああ、今回の件でお前さんの実力はわかった。その上で受けてほしい依頼があるんだ。まぁ指名依頼ってやつだな」


「別に構いませんが、内容を聞いても?」


「ありがたい。さて、依頼の内容だが、お前さん最近街で噂になっている切り裂き魔の事聞いたことあるか?」


切り裂き魔か。


「はい、今朝から何度か。」


「よし、じゃあその切り裂き魔なんだがな、その男はおそらく過去にギルドに所属していたやつのようなんだ」


ほう、元ギルドメンバーか。


「それで俺にそいつを捕まえてほしいってことですか?」


「簡単に言うとそうなる。」


「で、その依頼をわざわざ俺に指名依頼で受けさせた理由はなんでしょうか?」


「ああその男、名前はバキルというんだが、元Bランクでな。並の者では捕らえるのも困難なんだ。本来ならグレースに依頼するとこだが、あやつはいま武器を持っておらん。そこでお前さんの出番ってわけだ」


「なるほど、わかりました。その依頼受けさせてもらいます。」


「ありがたい!」


「それと最後に質問を一つ。そのバキルという男、殺してもいいんでしょうか?」


大事なところだ。生かして捕らえようってなると難易度は段違いに上がる。


「ああ、殺してもかまわん。どうせ捕らえても死刑になるだけだからな」


なら安心だな。遠慮なくやれる。


「了解しました」


「頼むぞ!やつが出るときは多くが夜の人通りの少ない道だ」


「わかりました。では今度こそ失礼します」







そう言い残し俺は部屋から退出した。












今日は少し体調が悪いので短いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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