第44話 夕食
……ふぅ、少し落ち着いたぞ。
で、この首狩りって物騒な称号はなんなんだ!
俺はそんな事して……るな……
結構してるというかこの世界に来てから戦いはほとんど首狙いだな……
もしかして俺って結構危ないやつなのか……
い、いや!急所を狙うのは戦いでは当然だ!
俺は正しい事をしているはず!
まぁそれは置いといて、この称号ちょいと鑑定してみるか。
久しぶりに{鑑定}
{首狩り}
多くの生物の首を刈り取った者に与えられる称号。
この称号を持つ限りその者は首に対しての攻撃成功率が増す。
ほうほう!
名前の割りにかなり使える効果じゃないかこれは!
要するにこの称号を持っているだけで、敵の首に攻撃が通りやすくなるってことだよな!首限定ってのがちょいときになるとこだが、まぁ俺はほぼ首しか狙わないから問題ないな!
「ふぅ、最初この称号を見たときは驚いたが、この効果は使えるな」
さて、ステータスの確認も済んだな。
そしたら夕食の時間までこのまま横になってるとしますかね。
数十分後、
「さてそろそろ夕食の時間かね。行くとするか」
そう思いベッドから体を起こし部屋を出て一階に向かう。
階段を下りていくとすでにかなり混んでいる状態であった。
ふむ、これは座るところがあるか怪しいところだな。
俺は座れる所があるか探していく。
しかしどうやらどのテーブルも満席のようだ。
困ったぞ。そう思い途方に暮れていると、
「お、あんた座る席ないのか?俺と相席で良ければこっち座らないかい?」
俺は声をかけてきた男に視線を移す。
ふむ、この男も冒険者って感じだな。
弓を持っているってことはハンターか何かかな?
それは置いといてせっかく相席を誘ってくれたのだ。
俺は当然、
「おお!席が空いてなくて困っていたんだ!よろしく頼む」
そう言いハンターらしき男の向かいに座る。
見た感じまだ若いな。20代前半辺りだろうか。
「いいってことよ。世の中助け合いってな」
「たしかにな!えーと、まずは俺からだな。俺の名前は」
俺がそう言いかけた瞬間、
「知ってるぜ。あんた首狩りだろ。あの時ギルドの中にいて首狩りのユーマを知らないってやつはいないと思うぜ」
お前あの時ギルドにいたのかよ!
ていうか首狩りのユーマってそこまで有名になってんのかよ!
ちくしょう!あの時無理やりにでも訂正させておくべきだったか。
「おいおい何ショック受けてんだよ。二つ名が作って事はそれだけで冒険者としては名誉なことなんだぜい」
二つ名?なんだそれは。
「すまん。俺って昨日冒険者になったばかりなんだけど、二つ名ってなんだ?」
「ああ、そういやユーマは昨日冒険者になったばっかだったな。まったく規格外だぜほんとによ。二つ名ってのはな、冒険者になって数年後、Bランクくらいになったら周りや自分でつけるもんなのさ」
へぇ、自分でもつけれるもんなのか。
けど自分で自分の二つ名を付けるってちょっと恥ずかしいな。
というか、
「じゃあグレースさんとかも二つ名ってあるのか?」
「ああもちろんあるぜ。グレースさんの二つ名は剛剣だ」
へぇ、じゃあ剛剣のグレースか。
中々かっこいいじゃないか!
「だからよぉユーマ。お前みたいに冒険者になって二日で二つ名がつくなんてのは、多分ギルド始まって以来の事だと思うぜ」
ふむ、光栄な事なんだよな。
けど首狩りって、、まぁ俺に合ってるといえば合ってるが……
「おっと話がそれちまったな。自己紹介の続きをしようか。俺の名前はイグル。一応冒険者歴2年くらいでいまCランクだ。得意な事は見てわかると思うが弓だな。改めてよろしくなユーマ」
「ああ、よろしくイグル」
さて、一応鑑定させてもらうとしますか。
{鑑定}
イグルlevel26
力36
体力32
素早さ34
幸運65
{スキル}
弓術level2
鷹の目level2
気配察知level1
{称号}スケベ
ほう、さすがCランクだけあって中々のステータスをしている。
スキルも弓術は見たことがない。
まぁおそらくは弓がうまくなるとかそんなところだろう。
一番の問題は、こいつ!スケベか!
だめだ!こいつがサリーに変なちょっかいださないように見ておかなければ!
「ど、、どうしたユーマ?なんか急に怖え顔になったんだが」
若干びびりながらイグルがそんな事を聞いてくる。
いや俺は怒ってないさ。まだな。
「いやなんでもないさイグル。」
「そ、、そうか?」
そんな話をしているとサリーが夕食をもってこちらに向かってきた。
「ユーマさんとイグルさんお待たせしました!こちらが今日の夕食になります!」
なんだ、サリーはイグルと知り合いなのか。
そんな事を考えているとイグルがサリーに、
「ありがとうサリーちゃん。今日も可愛いね。明日デートでもどうだい?」
こいつ、首落としたろか?
俺からの殺気にきづいたのだろうか。
イグルが顔が真っ青になっている。
一応言っておくと冗談だからな。本気じゃないよ。まだね。
「またその話ですかイグルさん。この前も断ったじゃないですかー」
「そそそそうだね!ごごごめんなさい調子にのってごめんなさい!!!!」
「そこまで必死に謝らなくてもいいですけど。じゃあユーマさん私行きますね。ゆっくり食べていってくださいね!!」
そう言い残しサリーは厨房の方に戻っていった。
サリーが去っていったので俺も殺気を解く。
すると青くなっていたイグルの顔も通常の色に戻っていく。
一応警告しておくとするか、
「イグル。サリーは俺の大事な人だ。半端な気持ちで手をだしたら首から上がなくなると思え。わかったか?」
「あ、ああわかったよ。」
うむ、わかってくれたようで何よりだ。
「ふぅ、しかしユーマよぉ!お前サリーちゃんとかなり親しげだったじゃねえか~。お前もしかしてサリーちゃんと付き合ってたりすんの?」
「いや、付き合ってるわけじゃないさ。サリーは俺の世話になった人の知り合いでな。それで守ろうってわけだ。」
「へぇ、じゃあユーマはサリーちゃんに対して恋愛感情はないってことか?」
「どうなんだろうな。たしかにサリーは可愛いと思うし、好きか嫌いかで言えば間違いなく好きなんだろうな。けどその好きが恋愛感情かどうかはまだわからん。実際あってまだ2日だからな」
「ふーんそうかい。まぁこの話はここまでにして飯食おうぜ!せっかくのうまい料理が冷めちまったら悪いからな」
「ああ、そうだな。いただくとしようか」
そう言いやっと俺たちは食事を始めた。
うむ、やはりうまいな。
数分後、
「はぁー食った食った!!やっぱりここの飯はそこらへんの店よりうめえや」
やはりジニアの飯はここらでもかなり美味しいらしい。
「じゃあユーマ、俺は先に部屋に戻ってるとするぜい」
「じゃあ俺も戻るとするかな。さすがに今日は少し疲れたから早めに休みたい」
「は!オークキング倒しといて少し疲れただけってお前はやっぱり大物だよ。じゃあなユーマ。おめえと話せて楽しかったぜい」
「ああ、俺もイグルと話せて楽しかったよ。じゃあまたな」
そう言い俺とイグルは別れた。
そして自分の泊まっている部屋まで戻ってきてベッドに寝転ぶ。
ふぅ、グレースさん以外の冒険者と話をするのは初めてだったが、陽気なやつだったな。あれでスケベでさえなければもっとよかっただろうに。いや、よく考えれば俺もムッツリスケベだったな。あまり人の事は言えない……
さて明日は昼からギルドか。
ギルドマスターね、どんな人なのか楽しみだな。
昼まではゆっくりベッドの中で過ごすとするか。
なんか懐かしい気分になるな!
そんな事を考えながら俺は眠りに落ちていった。
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