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2.暗躍せし闇堕ち聖女



「ねぇ、聞いたかい? また村が一つ消えたってさ」


「ああ、知ってるよ。謎の赤黒い『光』が村に降り注いだっていう、アレだろ。この町からも結構近い場所だったよな?」


「そうなのよぉ。最近は物騒なことが多いわよねぇ」


 聖女信仰が国内に広く浸透しているセイント王国。

 その国の中にある閑散とした小さな町では、ある噂が話題となっていた。


『光』


 それは、幸せの象徴とされていた聖女の恩恵。

『光』が降り注ぐ地域には、活力が宿り、その土地の繁栄が約束されていた。

 聖女が天に祈りを捧げ、その祈りをを神々が受け取り、神の加護を地上に分け与える。




 これまでは、『光』がそのような高貴なものとされていた。



 しかし、数年前から状況は一変した。




 聖女の恩恵とされていた『光』が、聖女の祈りがない地域に降り注ぐという不可解な現象が頻繁に起こり始めたのだ。

 それは異常なこと。

 加えて、本来は真っ白で神々しい『光』が、禍々しい赤黒い色合いの『光』として降り注ぐ。



 ──そして、その『光』に人々を幸せにする力はない。



 それどころか、逆に人々を苦しめる災厄として、大地を枯らし、生命を死滅させる。


 その『光』が一度降り注げば、その場所は、死の大地となる。

 正しく、人々に恐怖を与えるようなものだった。




「はぁ……本当に困ったものねぇ……あっ、ちょっとちょっと」


 噂話が大好きな四十路のおばさんは、私の肩を軽く叩く。

 横を通り過ぎようとしたら、急に叩かれた。

 無視するわけにもいかないので、私はチラリと視線を向けた。


「……なんでしょうか?」


「あら、べっぴんさん。……じゃなかった! お嬢さんね、そっちには行かない方がいいわよ」


「はぁ、何故ですか?」


 私は首を傾げた。

 この人は何が言いたいのか。

 私が困惑しているのを理解したのか、おばさんは、目を大きく見開く。


「お嬢さん、ひょっとして知らないのかい?」


「知らない? 何のことでしょうか?」


 私が聞き返すと、四十路のおばさんは、内緒話でもするかのように私の耳に顔を近付けてきた。


「なんでも、そっち方面にある村が一つ、『光』に焼かれたって話よ。それに、この道を進むと奴隷商の私有地があるみたいだし……」


 おばさんは、眉を顰めて呟く。


「正直、そっちに行くのは危険かもしれないわよ? 物騒な事件に巻き込まれたら大変だもの」


 ──ああ、そういう話。


 ……納得した。

 この人は、私に対して親切心で声をかけてくれたのだ。

 この先は危険だから、行くなと。

 何も知らない旅人だと思っているのだろう。



 

 ──けれども、余計なお世話だ。



 私はゆっくりと頭を下げた。


「教えてくれてありがとうございます。では、先を急いでおりますので……失礼します」


 そのまま足速にその場を去る。


「あ、ちょっと……! だから、そっちは危ない……のに、ねぇ……?」


 静止の声は聞こえていたが、立ち止まる理由にはならなかった。

 私は、白髪を揺らしながら、歩みを進める。



「おい、今の子は知り合いか?」


「……いいえ。そういえば、あまり見ないような顔だったねぇ」


「旅人ってことかぁ?」


「でもねぇ、あの子すっごい美人さんだったわよ? 綺麗で艶々の白髪だったし……瞳の色も、橙色の宝石みたいだったわ。だから、とてもただの旅人とは思えないのよね。──まるで、『聖女様』みたいな、そんな可憐さだったわぁ」


「ほーん。『聖女様』みたいな綺麗な子……かぁ。珍しいこともあるもんだなぁ?」


「本当よね〜」


 まだ後方で何かを話しているみたいだったが、その内容に興味はない。

 私には、こんなところで時間を潰す理由がないのだ。


 地面の土を踏み締める感覚が伝わってくる。

 視線の先には、私が目指す場所へと続く道があった。

 立ち止まってる暇なんてない。

 私には、先へと進む理由がある。


 


 ──この先に、私が制裁を下すに値する『上級国民』がいるのだから。







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