成長の過程では、休息も時々必要。――12
『QUUUUUURARARARA……!!』
5分後。ついにシールドスキュラのHPが0になった。
シールドスキュラの断末魔が響き、その体が光の粒子となって散っていく。
「やった――っ!」
「あとはハルバードスキュラだけです!」
「ええ! ケロとクラクラに加勢するわよ!」
3人の指示で、リーリー、ピート、ルル、ガーガー、キー、モルモル、チッチーが、ケロとクラクラのもとに駆け寄る。
HPが半分を切っているが、ケロとクラクラはハルバードスキュラの攻撃に耐えきった。2匹は役目を果たしたんだ。
「キーちゃん、ウェポンスイッチ!」
『キキッ!』
シールドスキュラの引きつけを終えたキーが、左前足の盾を引っ込め、右前足の剣を構える。ウェポンスイッチによるステータス入れ替え。これでキーのステータスは盾役のものから火力のものに変わった。
3人がそれぞれの従魔に攻撃の指示を送る。
「リーフラッシュです、ルル!」
「キーちゃん、『グランドスラッシュ』! ガーちゃんはライトニングフラッシュ!」
「リーフラッシュよ、モルモル!」
『キュイッ!』
『キキッ!』
『クワァッ!』
『ミュッ!』
ルルとモルモルの周りに大量の木の葉が生じ、ガーガーの両翼が帯電しはじめ、キーが右前足の剣を八相に構える。それぞれ、木属性魔法攻撃、雷属性魔法攻撃、物理直接攻撃の準備だ。
レイシーとフローラは、続けてピートとチッチーに指示を飛ばした。
「「バーストチャージ!」」
『ワウッ!』
『ガアッ!』
ピートとチッチーが力強く鳴き、地面を蹴って赤い流星と化す。
リーリーのギフトダンスが2回用いられていたため、3人の従魔のステータスは通常の倍以上になっている。その状態でのバーストチャージ。もちろん威力は申し分ない。
ピートとチッチーがハルバードスキュラの腹部に強烈なタックルを見舞った。
『QUUUUUURURURURU!!』
ハルバードスキュラが目を剥いて大きく仰け反った。
渾身の一撃によって1本目のHPバーが一気に消失し、さらに削る。残るHPは1本と3/4だ。
『QUURURU……!』
ハルバードスキュラはピートを睨み付け、矛を上段に構えてアークスラッシュの準備に入る。
大ダメージを与えたことでヘイト値を稼いでしまい、ハルバードスキュラのターゲットがピートに変更されたんだ。
ピート=フレイムレトリーバーのVITは決して高くない。ギフトダンスの恩恵を受けているとは言え、STRに優れたハルバードスキュラの攻撃を受ければただではすまないだろう。
「タウントよ、クラクラ!」
『ブククッ!!』
が、慌てず騒がずフローラがフォローする。
ヘイト値を稼ぐタウントをクラクラに使わせ、ハルバードスキュラのターゲットをピートから移させた。
『リィ!』
そこで、あらかじめ準備していたリーリーの『ミスティックエール』が発動。賛美歌に似た音色が流れ、ピートの体を煌めきが包む。
ミスティックエールは、『味方モンスター1体を対象とし、スキルひとつのクールタイムをリセットする』魔法スキルだ。その効果により、ピートのバーストチャージが使用可能になった。
「バーストチャージ!」
『ワウッ!』
即座、指示。
ピートの体が再び赤熱し、ハルバードスキュラの土手っ腹に突き刺さる。
『QUUUUUURURURURU!!』
先ほどよりも大音量の絶叫が上がった。
それもそのはず。バーストチャージの自傷ダメージでHPが1/2以下になっていたため、ピートの固有アビリティ『奮闘』が発動。ピートのステータスはさらに上昇していたのだから。
ハルバードスキュラのHPが、ギュイン! と勢いよく削れ、2本目のHPバーが消滅した。勝利は目前だ。




