成長の過程では、休息も時々必要。――11
ジャンピングストンプは、チャージタイム0秒、クールタイム1分の物理攻撃。『一旦、大ジャンプをしてから相手を踏み付ける』スキルだ。
大ジャンプしてから攻撃するため、タイミングを見極めれば相手の攻撃を回避し、カウンターを見舞うことができる。
『ゲロッ!』
『QUURURURU!!』
驚愕しているハルバードスキュラの顔面をケロが踏みつけた。大ダメージとは言えないが、回避と攻撃を同時に行えたのはデカい。
『QUURURU……!』
憤慨するように赤い体をさらに赤くさせて、ハルバードスキュラが矛を上段に構える。二連続物理攻撃『アークスラッシュ』の準備だ。
ハルバードスキュラの攻撃性能は高い。ケロ一体で受けきるのは難しいだろう。
しかし、ハルバードスキュラの相手をしているのはケロだけじゃない。クラクラもいる。
クラクラは味方を庇うガーディアンフォースを習得しているし、タウントでヘイトを稼ぐこともできる。いざとなれば、ケロに代わってハルバードスキュラの引きつけを担えるんだ。
ハルバードスキュラは、ケロとクラクラに任せて大丈夫だろう。
『ミュッ!』
モルモルがルートラッシュを発動させた。
大量の木の根っこが地面から生え、2体のスキュラの体に巻き付き、四方八方から打ち据える。
ダメージこそ大したものではないが、追加効果でスキュラたちのAGIが20%減少した。
『キュイッ!』
そこでルルのマナプレスが発動する。
このマナプレスこそ、レイシーがルルを活躍させるべく見出したスキルだ。
マナプレスは、『STRでなくINTに依存する』物理攻撃スキル。そう。魔法スキルではなく物理スキルだ。
物理攻撃であるため、固有アビリティ『軟弱の呪力』の恩恵を受けられる。『相手のVITとMNDを20%下げる』追加効果が付与されるんだ。
INT依存であるため、ルル=スクワールマギカの高いINTを活用でき、しかも相手の防御性能を下げる追加効果も乗る。ルルにとって、マナプレスほど有用な攻撃スキルはない。
自分ひとりでそのことに気づけたんだから、レイシーも成長したもんだ。
俺が感心するなか、ルルが杖を掲げた。
杖の先から青白い球体が浮かび上がり、シールドスキュラの頭上に向かう。
『キュイッ!』
ルルが杖を振り下ろすと、球体はその体積を増し、勢いよくシールドスキュラの脳天を叩いた。
『QUURARARA!?』
シールドスキュラの頭がへこむ。かなりのダメージを与え、しかも防御性能もダウンさせられた。素晴らしい仕事だ。
「たたみかけるわよ、モルモル! 『リーフラッシュ』!」
「ルルもリーフラッシュです!」
『ミュゥ……!』
『キュイ……!』
モルモルが両腕を広げ、ルルが杖をゆらゆらと揺らす。同時、大量の木の葉がモルモルとルルの周りに生じた。木属性の魔法攻撃『リーフラッシュ』の構え。チャージタイムは5秒、クールタイムは10秒だ。
『クワァッ!』
ガーガーも攻撃に加わる。
ガーガーの両翼が眩く輝き、無数の雷がシールドスキュラ目がけて放たれた。『30%の確率で相手のDEXを30%減少させる』追加効果を持つ、雷属性の魔法攻撃『ライトニングフラッシュ』。
雷光がシールドスキュラに襲いかかり――
『QUUUUUURARARARA!!』
絶叫がドーム内に響いた。
これまでにない苦しみ様。それもそのはず。水属性のシールドスキュラにとって、雷属性は弱点なのだから。
ルルの『軟弱の呪力』による防御性能ダウンも後押しして、シールドスキュラのHPは一気に減少。一本目のHPバーが消滅した。
「グッジョブです、ケイトさん!」
「うん! 順調順調!」
「油断は禁物よ! 確実に着実に行きましょう!」
「「「おお――っ!」」」
3人が拳を突き上げる。
3人とも俺の想像以上に成長しているな。まったくもって頼もしい限りだ。




