成長の過程では、休息も時々必要。――10
『リィ!』
『キュイッ!』
『クワァッ!』
『ブククッ!』
初手で自己強化スキルを指示された、リーリー、ルル、ガーガー、クラクラが動いた。
リーリーの体がオレンジ色のオーラに、ルル、ガーガーの体が純白のオーラに包まれ、クラクラの体がキラリと輝く。
エナジーアップ、イヴェンジェル、ソリッドフォームの発動。それぞれのステータスが上昇した。
「次はソリッドフォームです、リーリー! ルルは『マナプレス』!」
『リィ!』
『キュイッ!』
「ガーちゃんは『ライトニングフラッシュ』!」
『クワァッ!』
「クラクラは待機! 相手の出方を見るわ!」
『ブククッ!』
3人が続いての指示を出したところで、2体のスキュラの自己強化スキルが発動した。
『QUUUUUURURURURU!』
『QUUUUUURARARARA!』
ハルバードスキュラの筋肉が盛り上がり、シールドスキュラの体が輝く。
ビルドアップとソリッドフォームの発動。これでハルバードスキュラはSTRが、シールドスキュラはVITとMNDが上昇した。
『QUURURU……!』
『QUURARA……!』
自己強化スキルを発動させた2体のスキュラは、ついに攻撃態勢に入る。
ハルバードスキュラが、手にした矛を引き絞り、シールドスキュラの右腕に、鮮血のような、赤い陽炎がまとわりついた。『チャージピアス』と『ブラッドサッカー』の準備モーションだ。
チャージピアスもブラッドサッカーも直接物理攻撃スキル。チャージピアスは高威力で、ブラッドサッカーは『与えたダメージの1/2分、HPを回復する』追加効果を持つ。チャージタイムは、チャージピアスが3秒、ブラッドサッカーは5秒だ。
『キキッ!』
『ガウッ!』
負けじとキーとピートもスキルを発動させた。
キーはウェポンエンチャントでSTRとVITを上げ、ピートは大きく口を開けてシールドスキュラに噛みつく。
「さらに『スマッシュクロー』です!」
「キーちゃんは待機ね!」
『ワウッ!』
『キキッ!』
レイシーの次の手は攻撃、ケイトは待機だった。ピートは火力、キーは盾役なので、妥当な指示と言えるだろう。
『リィ!』
リーリーのソリッドフォームが発動。リーリーの体がキラリと輝き、VITとMNDが上昇する。
そこでついに、レイシーが十八番の一手を打った。
「ギフトダンスです、リーリー!」
『リィ!』
リーリーがクルクルと踊り出す。自身のステータス上昇効果を味方に与えるギフトダンス。
固有アビリティの『加速』が3回発動しており、装備品である『恵みの指輪』の効果も相まって、リーリーのステータスはSTR・INT・VIT・MNDが35%、AGIが約52%上昇している。それだけのステータス上昇効果が与えられるのだから、従魔たちはかなり戦いやすくなるだろう。
『ガアッ!』
続いてチッチーのエナジーアップが発動。STRとINTを上昇させたチッチーに、フローラが攻撃指示を出す。
「サイクロンショットよ!」
『ガアッ!』
ガーガーが羽ばたき、大気が唸りだす。風属性魔法攻撃、サイクロンショットの準備モーション。
『QUUUUUURURURURU!』
「負けてられるか!」と言うようにハルバードスキュラが雄叫びを上げ、引き絞っていた矛を突き出した。チャージピアスの発動だ。
矛先がケロに迫る。
即座にケイトが応手を打った。
「『ジャンピングストンプ』!」
『ゲロッ!』
ケロが後ろ脚の筋肉を膨張させる。
脚力を爆発させてケロが大跳躍した。寸前までケロがいた場所にチャージピアスが炸裂し、地面がえぐれて破片が散る。
『QUURURURU!?』
チャージピアスを躱されて、ハルバードスキュラが瞠目した。




