表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
211/219

成長の過程では、休息も時々必要。――5

 それから2時間後。水着に着替えた俺は、ポルタイト南部の海岸に立っていた。


 海岸は三日月状の入り江になっており、隠れスポットであるためか周りにひとの姿はない。


 砂浜は真新しいキャンバスのように白く、海は透き通ったターコイズブルー。この海岸の景色(グラフィック)はゲーム画面でも美しかったが、本物はやっぱり違う。見とれてしまうほどの絶景だ。


 ちなみに女性陣は着替え中。シートとパラソルを設置し終えた俺は、ドギマギしながら5人を待っていた。


「アバター着せ替え機能のラインナップにあったから、ファイモンの世界に水着があるのは知っていたが……女性キャラの水着姿を見るのははじめてだな」


 ゲームのファイモンでは水着の女性が登場することはなかった。それが不満だったのか、「主人公は水着になれるのに、どうして女性キャラは水着にならないんだ!」とゲーム会社にクレームをつけたプレイヤーがいたとの(うわさ)がある。


 水着姿の女性キャラはとてつもなく貴重(きちょう)。レイシーたちの水着を見られるプレイヤーは俺が(はつ)となるわけだ。正直、ゲーマーとしても男としても嬉しい。


「それはともかく、まさか俺が女の子と海水浴に来るなんて思わなかった。ちょっと緊張するな」


 鼓動と緊張を(しず)めるため、胸に手を当てて深呼吸する。


 前世で女性と無縁(むえん)の生活を送っていた俺に、女の子と海水浴に行くなんてイベントは当然ながら起きなかった。


 それが、いまは5人もの女の子(しかもいずれも美少女)と海に来るなんて……人生なにが起きるかわからないものだ。まあ、俺の人生は二度目なんだが。


「お待たせしました!」


 遠い目をしていると、背後からレイシーの声がかかった。落ち着いてきた鼓動が再び跳ね上がる。


 ドキドキしながら振り返ると――5人の天使がそこにいた。


 レイシーの水着は、トップにフリルがあしらわれた花柄のビキニ。


 エリーゼ先輩の水着は、群青色(ぐんじょういろ)の三角ビキニ。


 ミスティ先輩の水着は、ピンク色のタンキニ。


 フローラの水着は、白青ストライプ柄のチューブトップ。


 ケイトの水着は、オレンジのボーイレッグ。


 レイシーは穏やかな雰囲気と可愛らしい水着がマッチしているし、エリーゼ先輩はスノーホワイトの肌を惜しげもなくさらしている。


 タンキニが海風に揺れる様子は、可憐(かれん)なミスティ先輩をさらに魅力的に映し、華奢(きゃしゃ)体躯(たいく)に夏色のチューブトップをまとったフローラは、さながら海の妖精だ。


 元気っ()のケイトには、ショートパンツに似たボーイレッグがイメージピッタリ。


 とにもかくにも似合っている。海岸の景色に負けないくらい、5人の水着姿は美しかった。


「ロッド? 男なら『似合ってる』の一言くらい言ってあげるもんだよ?」


 (まばゆ)いばかりの美しさにただただ見とれていると、ケイトがからかい混じりの口調で注意してきた。


 俺はハッとして、気恥ずかしさに頬を掻き、視線を逸らしながら伝える。


「その……に、似合ってる。みんなキレイだし、可愛い」


 俺が褒めると、レイシー、エリーゼ先輩、ミスティ先輩、フローラがモジモジと身じろぎした。


 レイシーは頬を赤らめながらはにかみ、エリーゼ先輩は銀色の髪をクルクルと(いじ)り、ミスティ先輩はふにゃんとふやけたような笑みを浮かべ、フローラは照れを誤魔化(ごまか)すようにそっぽを向いている。


 そ、そんな可愛らしい仕草されたら、こっちまで赤くなるだろ!


 堪らず顔を火照(ほて)らせていると、ケイトが「ふー」と嘆息(たんそく)しながら苦笑した。


「ロッドって、百戦錬磨(ひゃくせんれんま)なのか初心(うぶ)なのかわかんないよねー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ