努力するときは、目標設定が大事。――21
最後に行われたエリーゼ先輩とミスティ先輩の勝負は、僅差でミスティ先輩の勝利。一手違えば勝敗が変わっていた接戦だった。
セントリア従魔士学校最強の自分に食らいつくエリーゼ先輩に、ミスティ先輩は目を丸くしていた。
ミスティ先輩とエリーゼ先輩の実力はほとんど互角と言っていいだろう。四天王の一位と二位は、実質このふたりだ。
「さて。これで全員の課題がわかったな」
確認する俺に、5人がコクリと頷く。
「あたしは『『予想外の事態に耐性をつける』」
「わたしとケイトさんは――」
「『3体目の従魔を手に入れて育成する』だね」
「わたしは『狡猾さを身につける』」
「わたくしは『相手の裏の裏を読む』ですね」
「ああ。そして俺は、『「怒り」対策をする』」
ミスティ先輩との勝負。作戦を読み切り裏を掻くことで俺は戦況を覆したが、そもそも『怒り』対策ができていれば劣勢に陥ることはなかった。
俺のパーティーには欠点がある。
まあ、捉え方を変えれば伸び代があるってことだけどな。
「課題をクリアするために、レイシーとケイトはポルタイト近辺で従魔を探すといいだろうな」
「そうですね。ポルタイト付近には優秀なモンスターが生息していると聞きますし」
「レベルも高めでレベリングにちょうどいいね!」
「あたしはひたすらモンスターとの戦闘をするわ。この辺りのモンスターの情報は知らないから、対応力を身につけるにはよさそう」
「わたしとクレイド先輩はふたりで勝負を繰り返したらいいでしょうね」
「実力が拮抗していますから、裏を掻くことと読みが必要になりますからね」
各自、課題をクリアする方法を決め、再び頷く。
そんななか、レイシーが訊いてきた。
「ロッドくんはどうするんですか?」
「俺は『アシク林』に向かおうと思う」
『アシク林』とは、ポルタイトの西にある林だ。40~50レベルのモンスターが生息し、特に植物系が多い。
「どのような目的でしょうか?」
「もちろん、課題をクリアするためですよ」
コテン、と首を傾げるミスティ先輩に、俺は答えた。
「アシク林で、俺は新たな従魔を手に入れます」




