ダンジョン攻略は、予備知識で決まる。――8
15体のエイシュゴーストを従魔にし、俺たちは広間に戻ってきた。
「さて。『生ける印』は大分集めたから、また暗号解読だね」
「『並べ、「解錠」せよ』ですから、定められた順番に並べるということではないでしょうか?」
「問題は、どんな順番に並べるかですね、クレイド先輩」
「『解錠』って部分がカギ括弧で強調されてるから、多分ここがヒントだよね」
4人が「「「「うーん……」」」」と考えるが、なかなか答えは出ない。
ここは少し手を貸すか。
「エイシュゴーストの石片には古代文字が刻まれている。上層階へ進む条件に密接に関わっているから、古代文字が重要なヒントになるんじゃないか?」
俺は『不思議なバッグ』から研究レポートを取り出し、ページをめくる。
「古代文字は、一文字一文字がアルファベットと対応しているみたいだな」
「「「「アルファベット……」」」」
4人が再び考えるなか、
「そうか!」
エリーゼ先輩が声を上げた。
「『並べ、「解錠」せよ』とは、エイシュゴーストをアルファベットに見立て、『解錠』と綴れという意味じゃないだろうか?」
「なるほど! となると、『Unlock』ですね!」
「それです、レイシーさん! 早速並べてみましょう!」
「ロッド、その研究レポート、貸して!」
ケイトが俺の手から研究レポートをひったくり、4人で読む。
俺はそんな4人を微笑ましく思いながら眺めていた。
研究レポートを確認し、俺たちはエイシュゴーストを呼び出す。
『『『『『『モ!』』』』』』
エイシュゴーストたちに指示を出し、『Unlock』の順番に並べると、奥にある金属製の扉が、ゴゴゴゴ……、と地響きを立てて開いていった。
開いた扉の先には、2階層へ続く階段がある。
「「「「「ビンゴ!」」」」」
俺たちは顔を見合わせて、ハイタッチした。
「お手柄ですね、エリーゼさん」
エリーゼ先輩が「いえ」と、ミスティ先輩に首を振る。
「ロッドくんは、わたしより先に答えに気づいていましたよ。そのうえでわたしたちにヒントを出し、成長を促したのでしょう」
「ロッドならやりかねないねー」
エリーゼ先輩が微笑を、ケイトがニヤニヤ笑いを俺に向ける。
どうやら俺の思惑はバレていたようだ。
俺は苦笑を返した。




