ダンジョン攻略は、予備知識で決まる。――4
「あたしたちも負けてられないよ、ガーちゃん! フリージングウインド!」
『クワァッ!』
ケイトもレイシーに続いた。
『50%の確率で相手のDEXを10%下げる』追加効果を持つ、氷属性魔法攻撃フリージングウインドを指示し、ガーガーの周囲を白い冷気が取り巻く。
『ゲロォッ!』
チャージタイムが終了し、ケロがウォータージェットを発動させた。
ガパァッ、と開けられたケロの口から、間欠泉のような勢いで水流が発射される。
「弱点属性攻撃を食らえ!」
『モ!?』
ケイトが拳を突き上げ、エイシュゴーストが水流にのみ込まれた。
『古代の紋章』の効果で、このエイシュゴーストは火属性。ケイトの言うとおり水属性に弱く、2倍のダメージを食らってしまう。
だが、
『モ!』
それでもなお、エイシュゴーストからは活力が見て取れた。
「そ、そんな! 弱点属性なのに!?」
「ケイトさん、見てください!」
目を白黒させるケイトに、レイシーがメニュー画面を見せる。
ケイトがギョッとした。
「まだ3/4も残ってるの!?」
そこに表示されているエイシュゴーストのHPバーは、半分にすら達していなかった。
ふたりが驚くのも無理はない。エイシュゴーストの防御性能は、ブラックスライムには劣るが、相当なものなんだから。
おそらく、これまでふたりが相手してきたなかで、最硬の相手だろう。
「狼狽えているヒマはないぜ?」
独り言のように俺は呟く。
直後、エイシュゴーストがヴァーティゴを発動させた。
『モ!』
ケロの周りの景色が歪んでいく。
「させない! ジャンピングストンプ!」
『ゲロッ!』
ケロが『目眩』状態になる前に、ケイトが対策を講じた。
ケロが大跳躍してヴァーティゴを回避。続いてエイシュゴーストを踏みつけ、ダメージを与える。
なんとかピンチは脱した。
『リィ!』
そこでリーリーのソリッドフォームが発動し、VITとMNDが上昇する。
「ギフトダンスです!」
『リィ!』
そしていよいよ、『自身のステータス上昇効果を味方にも与える』ギフトダンスで、味方の強化にかかった。
『モ……!』
対してエイシュゴーストは、抱えていた石片を掲げる。
『与えたダメージの1/3分HPを回復する』効果を持つ、闇属性の魔法攻撃スキル『エナジードレイン』の準備モーション。チャージタイムは6秒だ。
防御性能の高いエイシュゴーストに、HP吸収効果を持つスキルは相性ピッタリ。このままでは、せっかく削ったHPを回復されてしまう。
「そっちがその気なら、こっちもHP吸収だよ! ケロちゃん、ドレインソニア!」
『ゲロッ!』
ケロが長い舌を床に突き刺した。
同じくHP吸収効果を持つドレインソニアでやり返すつもりだ。




