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ツンツンしている子に、悪い子はいない。――7

 二日後の午前。


 セントリアの外れに、セントリア従魔士学校と、エストワーズ従魔士学校の生徒が集まっていた。


 俺を含む、集まった生徒たちの前方には、石造りの巨大な門がある。ウェルト空間の入り口だ。


「ウェルト空間には希少(きしょう)なアイテムが存在する。また、内部構造のランダムな変化は、ほかに(るい)のない現象だ。アイテムの収集と、内部構造変化のメカニズム追求――以上が、この探索の目的だ」


 俺たちを引率(いんそつ)してきたリサ先生が、ウェルト空間探索の説明をする。


「制限時間は、強制的に外に転送されるまでの72時間。そのあいだに、きみたちにはできるだけ上層階まで進んでほしい。これまで到達できたのは3階層まで。そこから先の階層に、未確認のアイテムや、内部構造変化の秘密があるかもしれないからね」


 集まった生徒たちが頷いた。


 そんななか、エストワーズのパーティー内にいるフローラが、こちらを睨んできた。


「ロッドくん? ネイブルさん、あんなに殺伐(さつばつ)としていたでしょうか?」

「前はもっと余裕があったと思うのだが……」

「いまは戦闘時のモンスターのようです。敵意がありありと見てとれますね」

「もしかしてロッド、なんかやっちゃったんじゃない?」


 レイシーが首を(かし)げ、エリーゼ先輩が顎に指を当て、ミスティ先輩が頬に手を()え、ケイトがジト目で俺を見る。


 フローラが殺気立っている原因は、街案内をした日、「転校してほしい」という頼みを断ったからだろう。


 しかし、今更(いまさら)悔やんでも仕方がない。


「気にするのはやめましょう。俺たちは、ウェルト空間の探索に集中するだけです」

「そ、そうですね!」

「ああ。この勝負、負けるわけにはいかないからね」

「マサラニアさんは決して渡しません!」

「あたしも、ロッドがいなくなったら楽しみが減っちゃうしね」


 俺の言葉で、4人が気を引き締める。


「次! マサラニアくん、シルヴァンくん、アーディーくん、ガブリエルくん、クレイドくん!」

「「「「「はい!」」」」」


 前のパーティーがウェルト空間に入ってから10分経ち、リサ先生が俺たちを呼んだ。


 俺たちは返事をして、石造りの門へと向かう。


「準備はいいね?」


 リサ先生の問いに、俺たちは頷く。


 リサ先生が頷きを返し、


「では、出発してくれ!」


 俺たち5人は門をくぐった。

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