自主的な努力こそが、成長の鍵。――15
『ゲロッ!』
リーリーが踊るなか、ケロがドレインソニアを発動させる。
ケロの舌が刺さっていた地面から、棘の鞭が無数に生え、モスベアに絡みつく。
『LWO!?』
モスベアに絡みついた棘がドクドクと脈動し、ケロの体が淡い緑の光に包まれた。HP吸収エフェクトだ。
ドレインソニアの効果で、ケロのHPが7/8まで回復する。
『クワァッ!』
ケロに続き、ガーガーも攻撃に加わった。
ガーガーが翼をはためかせ、周りの冷気をモスベアに向ける。
『LWW……!』
フリージングウインドに襲われたモスベアが、ガクガクッと震えた。追加効果発動の証だ。これでモスベアのDEXが減少した。
『LWWOOOOHH!』
モスベアの反撃。
右腕を振りかぶり、モスベアがケロに迫る。
モスベアの右腕が唸りを上げて振り下ろされ、
「ジャンピングストンプ!」
『ゲロッ!』
絶妙なタイミングでケイトの指示が飛んだ。
モスベアのスマッシュクローをケロがジャンプして躱し、落下の勢いをつけて踏み付ける。
回避と攻撃を両立するジャンピングストンプは、盾役にピッタリのスキルだ。
ドレインソニアも回復と攻撃を両立するため、盾役と相性がいい。
その両方が、ケロのスキル構成には組み込まれている。
よく練られたスキル構成だ。ケイトもレイシーと同じく、メキメキ上達しているな。
モスベアの1本目のHPバーは、速くも1/2を切った。
対し、リーリー、ピート、ガーガーは無傷。ケロのHPも7/8残っている。
完全に優勢だ、ふたりともやるじゃないか!
『LWWWW……!』
モスベアも、自分が劣勢にあることに気付いたのだろう。前足を地面につき、爪を地面に食い込ませた。
先ほどケロが使ったドレインソニアの構え。失ったHPを回復するつもりなのだろう。
「回復されるなら、それ以上に攻める!」
ケイトが凜然と言い放った。
「『サイクロンショット』!」
『クワァッ!』
ガーガーが羽ばたき、大気が唸りだす。
チャージタイム5秒の風属性魔法攻撃『サイクロンショット』の準備モーションだ。
木属性のモスベアは、火属性と風属性に弱い。
レベル的にはレイシーとケイトが不利だが、ピートとガーガーで攻めていけば勝機はある。
ケイトが言ったように、攻めの姿勢が大切だ。
『ワウッ!』
その火属性攻撃が炸裂する。
ピートの口腔に湛えられていた紅蓮の炎が、砲弾となってモスベアに放たれた。
フレイムキャノンの発動だ。
『LWOOOOOOHH!!』
紅蓮の砲弾を見舞われて、モスベアが苦悶に叫ぶ。
流石に弱点属性攻撃は堪ったものじゃないらしい。HPバーも、残り1/4まで削られていた。
「どんどん行きますよ! シャープファングです!」
『ワウッ!』
続け様、クールタイムが明け、使用可能になったシャープファングを、再びレイシーが指示する。
『リィ!』
レイシー、ケイトが攻勢を強めるなか、リーリーが羽を素早くはためかせた。
『加速』の発動。『恵みの指輪』の効果も相まって、リーリーのAGIが15%上昇する。
『ガウッ!』
加えてシャープファングが発動。
立て続けの攻撃で、レイシーとケイトがモスベアを追い込んでいく。
完全にふたりのペースだ。
そのうえで、ついにリーリーのギフトダンスが発動した。
『リィ!』
リーリーが両手を高々と掲げ、ピート、ガーガー、ケロの体が緑色の光に包まれる。
リーリーが自分にかけたステータス上昇効果――STR:35%、INT:35%、VIT:35%、MND:35%、AGI:15%――が、3体にも反映された。
「バーストチャージです、ピート!」
『ワウッ!』
強化されたピートがバーストチャージを叩き込み、
「ガーちゃん、行っけぇ――っ!」
『クワァッ!』
ガーガーのサイクロンショットがモスベアを襲う。
『LWWOOOOOOOOHH!!』
2体の猛攻で、モスベアの1本目のHPバーが消滅。
また、バーストチャージの反動でHPが1/2になったことで、ピートの『奮闘』が発動。『霊銀の腕輪』+『ギフトダンス』+『奮闘』で、ピートの攻撃性能は約1・63倍になった。
もはや、モスベアが覆せる流れではない。
3分後、モスベアは光の粒子となって消えた。




