自主的な努力こそが、成長の鍵。――１２
ついにやってきた試験当日。
放課後。俺、レイシー、ケイト、エリーゼ先輩、ミスティ先輩の５人は、ダルト樹海を奥へ進んでいた。
樹木が生い茂ったダルト樹海は、陽の光がわずかしか届かないため薄暗い。足下は、張り巡らされた木の根っこでデコボコしている。
歩くこと３０分。
俺たちの視界に、円形の広場が映った。
ここだけは頭上が開けており明るい。
広場の中央には、全身を苔で覆われた、５メートルはあろうかという巨大なクマが仁王立ちしている。
モスベア：５５レベル
モスベアは木属性。ＳＴＲ、ＶＩＴ、ＭＮＤ、ＨＰが高く、ＤＥＸ、ＩＮＴが低いモンスターだ。
固有アビリティは、『水属性・光属性の攻撃を受けると、ＶＩＴ・ＭＮＤが２０％上昇する』効果を発揮する『苔の体毛』。
ロードモンスターということで、ＨＰバーは３本あった。
「あれがモスベア……」
「わたしたちの相手ですね……」
ケイトとレイシーが、ゴクリと唾を飲む。
モスベアの威容に気圧されたように見えたふたりだが、直ぐに表情を引き締め、それぞれの従魔を呼び出した。
「行きましょう！ リーリー！ ピート！」
『リィ！』
『ワウッ！』
「おいで！ ガーちゃん！ ケロちゃん！」
『クワァッ！』
『ゲロッ！』
ふたりの目には、闘志がみなぎっている。
それぞれの従魔も、さらにレベルアップしていた。
リーリー：６２レベル
ピート：４９レベル
ガーガー：５０レベル
ケロ：４８レベル
ふたりの従魔を敵とみなしたのか、ギロリとモスベアが睨みつける。
『ＬＷＷＯＯＯＯＯＯＨＨ!!』
モスベアの咆哮が大気を揺さぶり、恐れをなしたかのように、周りの木々から鳥たちが飛び立つ。
それでもふたりの闘志は萎えない。眉を上げた凜々しい表情で、モスベアを見据えていた。
ふたりのやる気を嬉しく思いながら、俺は告げる。
「さあ、試験スタートだ！」
