自主的な努力こそが、成長の鍵。――10
「お疲れ様。上手かったぞ、ケイト」
俺がケイトを労うと、レイシー、エリーゼ先輩、ミスティ先輩も、パチパチと拍手を贈る。
照れたように頬を上気させ、ケイトが「にししっ」と笑った。
そんななか、ガーガーとケロの体が輝く。
「おっ! ガーちゃんとケロちゃんもレベルアップだね!」
早速ケイトがメニュー画面を確認し、パアッと破顔した。
「スゴいスゴい! このレベリング法、スゴいくらいスゴいよ!」
興奮のあまり、ケイトの語彙力が死んでいる。
まあ、一気にこれだけレベルアップすれば、仕方ないか。
メニュー画面を眺め、俺は苦笑した。
ガーガー:37レベル
ケロ:33レベル
ガーガーが2レベル。ケロにいたっては3レベルも上がった。
この世界の住人には、なかなかできないけ経験だろう。
ふたりの実力は確認した。同時に、伸ばしたい部分や課題も見つかった。
それを踏まえ、ふたりにアドバイスを送らないとな。
俺は切り出す。
「さて。ふたりの戦いを見て、俺が感じたことを伝えたい」
ふたりは神妙な面持ちで頷いた。
「レイシーは基本を押さえているし、リーリーの扱いが完璧だった」
「ありがとうございます!」
「そのうえで、よりスキルアップするには、ピートの活用が鍵になる。ピートの特性を把握して、それを活かすスキル構成・試合運びを考えれば、レイシーはもっと上手くなれる」
レイシーが「はい!」と素直に返事する。
「ケイトは、従魔の役割分担をするべきだな」
「役割分担?」
「戦闘中、ケロからガーガーにターゲットが移って、危うい場面があっただろ? たとえばケロが盾役だったら、ああいう事態は防げた」
盾役は、ターゲットを自分に固定させたり、味方への攻撃を肩代わりしたりするポジションだ。
ケロがヘイト値を管理できていたら、ガーガーが狙われる危険はなかった。
「盾役+火力はひとつの選択肢。もちろん、火力+火力で短期決戦を狙うのもありだ。現状、ケロのスキル構成がどっちつかずになっているから、そこを改善するべきだな」
ケイトが「ふむふむ」と頷く。
「俺からのアドバイスは以上だ。ふたりとも伸び代は充分にある。課題をクリアすれば、より成長できるぞ」
「わかりました!」
「ありがとね、ロッド」
アドバイスを受けたレイシーとケイトが、意見交換をはじめる。
即座に行動に移す姿勢が好ましい。
俺も前世では、対戦を終えるたびに反省点を探し、試行錯誤してきたからな。ファイモン初心者だったころの自分を見ているようで、感慨深い。
「次からは、ふたりで協力してゴールデンビートルを倒してくれ。そのほうが速くレベルアップできるからな」
「「はい!」」
元気よく返事するふたりに、教師をするのもいいもんだなあ、としみじみ思った。




