表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/219

自主的な努力こそが、成長の鍵。――1

「それでは、ウェルト空間の攻略会議をはじめましょう」


 翌日の放課後、俺、レイシー、ケイト、エリーゼ先輩、ミスティ先輩の5人は、食堂に集まっていた。


 ミスティ先輩の号令に、俺たちは(うなず)く。


(みな)さんもご(ぞん)じかと思いますが、ウェルト空間は、『入るたびに内部構造が変わる』、『上層階へ向かうために条件をクリアしなくてはならない』など、謎の多いダンジョンです」


 ミスティ先輩の言うとおり、ウェルト空間は、内部構造がランダムで変わる特殊なダンジョンだ。


 階層ごとに暗号が存在し、その暗号が示す条件をクリアしなければ上階層へ進めないという、謎解き要素も含まれている。


 設定では、最上階で眠る、空間を操るロードモンスター『ディメンジョンキマイラ』の影響で、内部構造が変化するとされている。


「しかも、進入から72時間が経過すると、強制的にダンジョンの外に転送されてしまいます。3階層より先に進んだ記録がないことを踏まえると、難関ダンジョンと言えるでしょう」


 レイシー、ケイト、エリーゼ先輩が、ゴクリと喉を鳴らす。


「大丈夫っすよ」


 緊張感に包まれるなか、俺はあっけらかんと言った。


「俺、ウェルト空間について大分(だいぶ)明るいですから」

「本当かい、ロッドくん!」


 エリーゼ先輩が身を乗り出す。


「ええ。以前、ウェルト空間に関する文献(ぶんけん)を読んだことがあるんす。暗号解読には自信がありますよ」

「そのような文献があるのですか!?」

希少(きしょう)な文献で、あまり知られていないけどな」


 目を丸くするレイシーに、俺は苦笑しながら答えた。


 ちなみに文献とは、もちろん攻略Wikiのことだ。


「マサラニアさんの博識(はくしき)ぶりには頭が下がる思いです」

「ロッドくんがいてくれれば、ウェルト空間は攻略したも同然ですね!」

「ああ。ロッドくんほど頼もしい味方はいないよ」


 ミスティ先輩、レイシー、エリーゼ先輩が、グッと拳を握る。


「嬉しい限りだね。わたしたちは、なんとしてもネイブルくんに勝たないといけないのだから」

「「同感です」」


 気のせいだろうか? 3人の背後に燃え(さか)る炎が見える。3人の顔付きも、どことなく獰猛(どうもう)だ。


「なあ、ケイト? あの3人、やたら気合(きあい)が入ってるみたいだけど、どうしたんだ?」

「ここで疑問が出るあたり、ロッドはかなり重傷だよね」

「なぜ俺はディスられているのか」

「そりゃあ、ディスりたくもなるよ。ロッドは女泣かせだよね、まったく」


 ケイトが「はー、やれやれ」と肩をすくめる。


 少しだけイラッときた俺は、半眼でケイトに()いた。


「そういうケイトにはわかるのかよ? レイシーたちがやる気満々(まんまん)な理由」

「もちろんわかるよ。だけどロッドには教えなーい」

「なんでだよ?」

「そのほうが面白いから。いやー、ロッドは愛されてるねー」


 ケイトがニヤニヤ笑いを俺に向ける。


 意味がわからん。


 深く溜息(ためいき)をつき、俺は頭をガシガシと掻いた。


「ウェルト空間の探索は5人パーティーで行うことになっていますが、メンバー選出はどうしましょう?」

「ロッドくん、わたし、クレイド先輩は確定ですね。実力的に、(はず)すことなど考えられません」


 ミスティ先輩の問いに、エリーゼ先輩が答える。


「わたしもお供します! ロッドくんとは何度かダンジョンに挑戦したことがあります! 足手まといにはなりません!」

「あたしもついていくよ。この4人から目を離すなんて真似、もったいなくてできないしね!」


 レイシーとケイトも、即座に手を挙げて志願した。


 これで5人。参加条件はクリアしている。


 しかし、俺は首を横に振った。


「レイシーとケイトはダメだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ