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91話 武装した子供達

前回の話の最後の部分が抜けいていました。

そちらの方は直してあるのでお読みください。すいません。

 自然と目が覚めた。窓からは外の光が差し込んでいる。今は何時くらいだろうか?そこまで日は登っていないからまだ朝なんだろうな。周りを見るがイザベラと中村の姿がない。


「あ、起きてるよ」

「ほんとだ。寝坊だよ」

「別に予定とかないだろ」

「いやいや、暗くなったら進めなくなるんだから。少しでも進むためには早起きしないと」

「それはおっしゃる通りです」

「荷物は積んでおいたからあとは出発するだけだよ」

「そうか。ありがと」


 部屋から出る。イザベラと中村がすでに荷物を積んだから安全性は確保されているだろうけど・一応周囲を管区人しながら進む。さすがにすべての部屋の安全までは確認できていないから……。

 ホテルから出ると、駐車場は昨日の夜と変わっていない。ゾンビも道路を挟んだ向かい側に2体ほどいるだけだ。こっちにも気が付いてないみたいだし、さっさと車に乗り込んでいくか。


 運転席に乗り込んでエンジンをかける。すると、カーナビが案内を始めた。あれ?設定してたっけ?


「勝手に設定しといた。一の実家の住所わかんないから県庁にしといた」


 カーナビは高速道路に乗るようにルート案内をしている。でも、このまま高速道路を走ると、子供たちの襲撃地点を通ることになる。


「カーナビ通りに進むか?子供たちの襲撃地点を通ることにけど」

「別にいいんじゃない?そのまま通り抜ければ大丈夫でしょ。本線の方がふさがれていたってことは言ってなかんったんでしょ」

「まぁ、そうだけど」

「じゃあ、高速道路使う。不安なら運転するから料金所手前で変わって」

「わかった。任せた」


 料金所手前で車を止めて運転を変わる。後部座席では中村が小銃をなんかいじっている。


「一応、襲撃受けたときのために……ね」

「俺も散弾銃を持っておいた方がいいか?」

「そうだね。下手くそなんだから、散弾銃の方がいいともうよ」

「言い方」

「だって本当の事なんだもん」


 イザベラが運転席に乗り込んですぐにギアをドライブに入れて発進した。料金所は夜のうちに通った時には気が付かなかったが、料金所の中にゾンビがいる。見た感じ職員ではなさそうだ。職員があんなチャラい恰好はしてないだろ。

 車は本線へと合流する。本線は路肩の方に数台車が止まっているだけで走るのに支障はないレベルだった。これも大阪の人たちがきれいに整備したんだろうな。


「次のジャンクションで北陸自動車道だよ」

「たしか襲われたのはこの先のパーキングだったよな」

「さっさと駆け抜けよう」

「わかってるって」


 イザベラが車の速度を上げた。パーキングエリアには寄らずにそのまま本線を走り向ける。メーターを助手席からのぞくと、速度は120キロほど出ていた。


「結局何も起きなかったね」

「何も起きないことが一番だ」


 そのまましばらく進むと、インターチェンジのところで大型トラックや乗用車が道を完全に隙間なく塞いでいる。これは降りるしかない。


「なんか嫌な感じだなぁ。前にもこんな感じで誘導されたよな」

「うん。あの時もひどい目にあったよね」

「あんた達も苦労してんだねぇ」

「他人事みたいに言うな。これは何かある。警戒しといたほうがよさそうだ」


 後部座席の中村が小銃を手に取った。

 料金所から出る。反対側の料金所は車で塞がれていて通れそうにない。車を見る限り事故とかで料金所を負債汚泥るわけじゃない。料金所の先の交差点は車やガラクタで塞がれている。完全に誘導されている。それに、ゾンビも少ない。……いや、それはド田舎だからか。


「誘導されているね」

「これが話にあった子供たちの仕業じゃなければいいけど」

「フラグ立てんなよ」


 外を見まわすが、よくあるド田舎のインターチェンジ付近の光景だ。ゾンビも五本指で足りるほどしかいない。道なりに進むと、小さな住宅街に出た。建物はどれも古いものばかりだ。その中には団地らしい建物も見える。相変わらず人の気配はない。その代わりにゾンビが少しだけ増えた気がする。


「また塞がれているよ」


 目の前に大型バスが道路に横付けされていて2車線ある道路を完全に塞いでいる。でも、今までと何かが違う。


「これ、バスの後ろにかなり大きな空き地があるよ。これってバスを下げることが出来れば通れるようになるんじゃない?」

「本当だ。運転席は逆側にあるから民家の塀を超えないといけないけど、鍵さえ刺さっていれば動かせそう。……と、いうわけで一。頼んだ」

「なんで俺なんだよ」

「いや、この三人の中で一番援護する能力が低いから」

「……何も言い返すことが出来ません」


 車から降りて、散弾銃を持ってバスの運転席へと向かう。その間に、近づいてきたゾンビがイザベラが拳銃で仕留めた。さすが一発か。

 民家の塀の向こう側の庭を覗くが誰もいない。庭は雑草が生い茂っている。うわぁ。虫がいっぱい飛んでる。また後ろで銃声が聞こえた。今度は中村か。


「よいしょっ」


 塀を超えて庭に入る。庭はやっぱり手入れされてないせいで雑草が伸び放題になっている。雑草をかき分けるたびに名前もわからないような虫が飛ぶ。民家の方を見ると、カーテンは完全に閉められているがカーテンの下の方が赤く染まっている。あぁ。この家も襲われた後か。

 今度はバス側の塀か。塀の向こう側を見ると、麦わら帽子をかぶったおばあちゃんゾンビが徘徊している。幸いなことに、こっちの存在には気が付いてないようだ。……待てよ。銃声にも気が付いてないってことか。どんだけ耳が悪いんだよ。


 塀を超えておばあちゃんゾンビに散弾銃の銃口を向ける。周辺にはこいつしかいないけど念のために倒しておくか。

 引き金を引くと、散弾銃の反動が全身に伝わった。こんなに威力高かったけ?おばあちゃんゾンビはその場に仰向けに倒れた。あとはバスを移動させるだけだ。


「そっちは大丈夫?」


 イザベラの声が聞こえてきた。


「今からバスを動かしてみる」

「よろしく」


 確か観光バスタイプは扉の横に開閉スイッチが隠されているはず……あった。扉横付近のカバーを開けて中のスイッチを押すと扉が開いた。まだ、バッテリーは生きてるみたいだ。バスに乗り込んで運転席に座ると、カギは刺さったままになっている。これなら簡単に退かせそうだ。


「動くな」


 突然後頭部に何か固い棒状のものが当てられた。それにこの声は誰だ?運転席からイザベラと中村の方を見ると、数人の子供に銃を突きつけられて手を上げている。あぁ、これは罠だったか。


「ゆっくり手を上げてバスから降りろ」


 バスから降りると、数人の武装した子供たちがこっちに銃口を向けている。そのうちの一人が近づいてきて棒状の何かを押し当てたと思ったら全身に電流が流れた。

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