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58話 意外な才能

 走って扉の前に行く。部屋の中は真っ暗になっていてよく見えない。


「ライトが必要だね」

「どこかに落ちてないかな?」

「……待ってて。とってくる」


 イザベラがすぐ近くに乗り捨てられている車に向かっていった。あ、発煙筒か。そんなので明るくなるのか?イザベラが返ってきた。そして、発煙筒に火を点けると真っ暗の部屋の中に放り込んだ。部屋の中は散らかってはいたが、床にざまざまな種類の銃弾が散らばっている。相当慌てていたんだろう。


「どれが持っている銃に合うんだろう?」


 中村が床に落ちている銃弾を拾った。


「それは拳銃の弾だね。あとはその隣の奴は散弾。緑の奴はスラッグ弾だね」

「スラッグ弾?」

「散弾って小さい弾を複数飛ばすけど、スラッグ弾は大きめの弾を一つ飛ばすの。威力はなかなかなものだよ」


 威力あるみたいだけど、当てれる自身がないな。結局、集めれたのは散弾、スラッグ弾5発、拳銃の弾18発を手に入れることができた。小銃の弾も落ちていたが、小銃自体がないからあきらめることにした。


「小銃が落ちていても拾わないからね。あんなの一般人の私たちじゃ扱いきれないから」

「そんなのわかんないだろ」

「……まぁ、拾ったら試し打ちしてみたらいいと思うよ。言葉の意味が分かると思うから」

「ねぇ。これ何?」


 中村が手に持っているものを見せてきた。円柱じょうの物にピンが付いている。何だこれ?もしかしてゲームとかによく出てくるフラッシュバンってやつか?よく見るとピンの下らへんに英語でスタングレネードって書いてある。


「それ、使えそうだね」

「一つしかないし、自分たちにも被害が出そうだからなるべく使わないでおこう」


 回収した弾を持って外に出ると、ゾンビが数体うろついていた。どれも自衛隊の装備を身に着けている。相手にするだけ無駄だろう。


「あの自衛隊の人、小銃ぶら下げてない?」

「ほんとだ。どうする?」

「……せっかくだから倒そうよ」

「どうやって?あいつ装備ガチガチだけど」

「イザベラさんお願い」

「は?なんで私なの!?」

「一撃で首の骨を折ることのできるのはイザベラさんしかいないからね」

「……援護は頼んだよ」

「わかった」


 イザベラが散弾をゾンビに向けて撃った。ゾンビがのけぞって仰向けに倒れた。散弾じゃない。スラッグ弾か。すごい威力だな。防弾ヘルメットを貫通したぞ。だが、他のゾンビがこっちを見てる。


「建物の中に逃げるよ!」

「あそこの扉、開いてる!」


 中村が指さす先には校舎みたいな建物がある。比較的見える範囲ではゾンビの姿はない。ゾンビがぶら下げいていた小銃をイザベラが回収して建物に向かう。建物内にはゾンビの姿見える限りない。みんな逃げたのか、それともゾンビになって外に人を襲いに行ったのか……。

 最後に入ったイザベラが扉を閉めて鍵を閉めた。これで入ってこれないだろ。


「とりあえず、ここで今日は寝ない?さすがに疲れた」

「それもありだね。でも、一度、建物の安全を確保しとかないと」


 まずは、1階を探索する。トイレや備品倉庫があるくらいで人がいる気配はなかった。次は2階だ。どうやら2階は宿舎になっているようだ。一つの部屋に血だまりができて荒らされていたが、人の姿はなかった。


「もしかしたらゾンビ、いるかもしれないね」

「小銃試してみれば?」

「……遠くにいるようなら試してみる」


 3階に上がると、廊下の向こう側にフラフラ歩いている人影が見える。しかも、左腕がなくなっている。あれは確実のゾンビだな。


「試しに小銃で撃ってみれば?」


 イザベラが小銃を渡してきた。もう引き金を引けば撃てるのか?小銃を構えてゾンビの頭を狙って引き金を引いた。


カチッ


「あれ?」

「安全装置外してないよ」

「安全装置ってどこにあるんだよ」

「この横。アのところは安全装置が聞いている状態。タは単発、3は3点バースト、レは連射だね。単発でいいんじゃないかな?連射しても反動制御できないと思うし」


 横にある安全装置のレバーをタの位置に切り替えてもう一度狙いを定めて引き金を引いた。銃声とともに小銃が跳ね上がった。狙ったゾンビを見ると、銃声に反応してこっちに歩いてきている。当たってなかったのか。


「私に貸して」


 中村が小銃を奪い取った。そして、狙いを定めて撃つ。


「上手いね」


 ゾンビがその場で崩れるように倒れた。ってことは、頭に1発で当てたのか。素直にすごい。ただ、今の試し撃ちで外のゾンビもこっちに気がついてのか数体のゾンビがこの建物に向かってきている。しっかり窓は閉まっているし、相当な数が押し寄せない限り大丈夫だろ。


「小銃は中村が持ってて」

「俺も何かでかい銃が欲しいな」

「拳銃で我慢して。一は散弾銃や小銃よりは拳銃のほうが、まだ扱えるみたいだし」

「まだ扱える……って、なかなか酷いこと言うな」

「しょうがないじゃん。使えない武器持っていても荷物になるだけでしょ」

「まぁ……そうだけど」


 何も言い返せない。


「とにかく、寝るところを準備しよ」


ベットの上に畳まれている布団を広げて寝る準備をする。廊下の窓から下の階を見ると、数体のゾンビが建物の周囲をうろうろしている。一応、見張りをつけておいて、侵入してくるようなら逃げるか。外も暗くなってきたし、最初に見張りをするやつを決めるか。


「最初に見張りするよ」

「珍しいな」


 中村が手を挙げた。お言葉に甘えて寝るか。


「暑いし、窓開けるぞ」


 窓を開けても3階ならゾンビが入ってくることもないだろ。窓を開けると、涼しい風が部屋に入ってくる。今年の夏は結構涼しい気がする。布団に入って横になると、すんなりと眠ることができた。




「起きて。順番だよ」


 イザベラが散弾銃でつついてくる。危ないだろ。


「特に1階の外にいるゾンビはうろうろしているだけで、大きい音を立てない限り大丈夫だと思う。まぁ、2階で待機してたまに見回りする程度でいいんじゃない?」


 拳銃を持って2階へと行くと、階段近くにパイプ椅子が置いてあった。ここで見張ってればいいのか。パイプ椅子に座ると、パイプ椅子がきしむ音が響き渡る。

 それにしても、武器が拳銃ってのもなんか不安だな。弾の数だけはそれなりにあるけど、弾倉が無いから一度撃ち切ると弾倉に弾を込めなおさないといけないのが、めんどくさいな。拳銃を眺めていると、急に辺りが暗くなった。窓に近寄って空を見ると、空には分厚い雲が広がっている。これのせいで暗くなったのか。完全に周辺が真っ暗になった。自分の手すら見えない状態だ。これはヤバいな。ライトでもないと、周囲の状態が全く分からない。こんな状態でゾンビが窓を破ったら……。

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