247.第一回Etranger大会-4-
朱禁の聖域を守り、主に仕える聖域の守護兵。
そして聖域の主たる、祈りの巫女。
場に存在し続ける限り、莫大なアドバンテージを生み出し続ける布陣を完成させたヘンリエッタ。
「私のターン、ドロー。リカバリーステップ、メインステップ。カードをマナゾーンにセット、疲弊させ青マナ6を得ます」
それを迎え撃つ、サンドラのターン。
保有しているマナが、11。
もう何でも発動出来るじゃねえか。
「青マナ2を支払って、手札から呪文カード、製氷を発動。雨ざらしアザラシを手札に加えるよ」
名称:製氷
分類:呪文
プレイコスト:青◯
文明:青
カテゴリ:
マナシンボル:青
1:【起動】【効果】デッキからプレイコスト3以下の青文明ユニットを1体選び、手札に加える。
雨ざらしアザラシを引き込む為のサーチ札。
多分4投してるだろう、このサーチ込みで雨ざらしアザラシ8枚体勢を取っている形だ。
「青マナ1を支払い、雨ざらしアザラシを召喚」
再び現れる、雨ざらしアザラシ。
サンドラの場にある永続呪文、逆流の効果によってデッキ内のアザラシ残弾は変わっていない。
何度でも引き込んで、何度でも場に出て来る、アザラシの群れ。
それがこのデッキのコンセプトだ。
「青マナ2を支払い、手札から呪文カード、水中からの奇襲を発動。雨ざらしアザラシを破壊して、祈りの巫女のパワーをダウンさせ、そのまま墓地へ送るよ」
名称:水中からの奇襲
分類:呪文
プレイコスト:青○
文明:青
カテゴリ:
マナシンボル:青
1:【起動】【効果】自分フィールドの種族:水棲ユニット1体を選択し、破壊する。その後、相手フィールドのユニット1体を選択し、パワーを3000ダウンする。この効果でパワーが0になった場合、そのユニットは墓地へ送られる。
水中から飛び出して来た雨ざらしアザラシは、祈りの巫女を水中へと引きずり込み、共に消えた。
ヘンリエッタの場に居る聖域の守護兵は、攻撃からしか祈りの巫女を守れない。
呪文による除去は素通りするという事だ。
「永続呪文、逆流の効果で今破壊された雨ざらしアザラシはデッキに戻るよ。そして青マナ3を支払い、手札から呪文カード、釣果良好を発動。このターン、雨ざらしアザラシが墓地へ送られてるので、デッキから雨ざらしアザラシを召喚するよ」
名称:釣果良好
分類:呪文
プレイコスト:青◯○
文明:青
カテゴリ:
マナシンボル:青
1:【速攻】【条件】自分の青文明ユニットがフィールドから墓地へ送られたターン
【効果】このターン自分の墓地に送られた青文明ユニットと同じカード名のユニットをデッキから1体選択し、自分フィールドに召喚する。
しつこい位何度でも、雨ざらしアザラシを連打するサンドラ。
墓地に行くと仕事する効果を持ってる奴は、ボロ雑巾の如き扱いになるのはどのカードも一緒である。
くたびれてやつれていく雨ざらしアザラシの姿が脳内をよぎった。
多分終電じゃなくて始発で帰るタイプのアザラシだと思う。
「これでターンエンドだよ、雨ざらしアザラシのパワーが2000アップし、カウンターを乗せるよ」
「このエンドステップ、朱禁の聖域の維持コストとして、私はライフを2000支払います」
ヘンリエッタ LP:6000→4000
……んー。
絶対潰さなきゃいけない祈りの巫女の除去は成し遂げた。
だけど、何か動き弱くないか?
マナ数は未だにサンドラ側が有利だが……
サンドラの手札、もう1枚しか残ってないぞ。
マナは豊富なのだから、デッキを掘り進めてこの状況を打破するカードをドローしたい。
そんなのは、サンドラだって分かってる筈。
ドロー系カードを使わない……いや、使えないのか。
引けて、ないのか。
マナがどれだけあろうとも、それを使う先の手札が枯渇していては何の意味も無い。
盾に複数埋没でもしたのか?
「私のターン、ドロー。リカバリーステップ、メインステップ。カードをマナゾーンにセット、疲弊させ白マナ6を得ます」
マナを重視したサンドラと、手札を重視したヘンリエッタ。
戦況は、ヘンリエッタの方へと傾いて行く。
「白マナ4を支払い、手札から祈りの巫女を召喚します」
サンドラがやっとこさ除去した祈りの巫女が、易々と再展開される。
聖域の霊鳥が引き上げてくれた手札の質が、ここに来て輝き始める。
「祈りの巫女の効果発動、デッキの上から3枚を確認し、1枚を手札に加え、1枚をマナゾーンへ、残りの1枚を墓地へ送ります」
――この瞬間。
サンドラのマナゾーンは6枚、ヘンリエッタのマナゾーンは7枚。
遂に、マナ数の優位すらサンドラから失われた。
「白マナ1を支払い、手札から聖域の霊鳥を召喚して、これでターンエンドです」
ヘンリエッタの場には、祈りの巫女、聖域の霊鳥、そして聖域の守護兵が2体。
そして攻撃を咎める置き物である朱禁の聖域。
対してサンドラは雨ざらしアザラシ1体のみ。
手札に至ってはサンドラが1枚、ヘンリエッタは4枚。
「私のターン、ドロー。リカバリーステップ、メインステップ。疲弊させ青マナ6を得ます」
このままでは、サンドラが押し潰されて負ける。
このターンが、分水嶺。
「――待ってたよ! 青マナ6を支払い、緊急増版を発動!」
名称:緊急増版
分類:呪文
プレイコスト:×
文明:青
カテゴリ:
マナシンボル:青
この呪文のプレイコストは青マナでしか支払えず、任意のマナ数を支払って発動できる
1:【起動】【効果】このカードをプレイする際に支払ったマナ数と同じ枚数、デッキからドローする。
ここに来て、ようやくサンドラのデッキトップが光った。
「6マナ使用したので、デッキから6枚ドロー!」
正に、恵みの雨と言うべきか。
サンドラが喉から手が出る程に欲していた、手札増強カードを遂に引き当てた。
手札枯渇に喘いでいたサンドラの手中が、大幅に膨れ上がる。
「カードをマナゾーンにセット、疲弊させ青マナ1を得ます」
マナゾーンにカードを埋める前に緊急増版を発動したのも、細かいが偉いポイントだ。
マナゾーンにカードを置けるのは、自分のメインステップに1度だが、必ず最初に置かなければならない、という訳では無いのだ。
ドローした6枚の中から、現状不要と判断した1枚をマナに埋め込む。
そして、6枚もドローすれば。
「青マナ4を支払い、手札から呪文カード、タイダルウェイブを発動! フィールドに存在するプレイコスト4以下のカードを全て破壊する!」
名称:タイダルウェイブ
分類:呪文
プレイコスト:×
文明:青
カテゴリ:
マナシンボル:青
この呪文のプレイコストは青マナでのみ支払える
1:【起動】【効果】このカードをプレイする際に支払ったマナ数以下のプレイコストを持つフィールド上のカードを全て破壊する
この状況を打破する、必殺のカードを引き込むのも納得だ。
青文明の誇る、大量除去呪文。
その破壊力は、支払ったマナ数に応じて変動する。
軽いマナコストで雑魚を一掃するも、多大なコストを払う代わりにフィールド全てを薙ぎ払うも、自由自在。
今回サンドラは、後者を選んだ。
今、お互いの場にあるカードは全て、プレイコスト4以下のカードである。
つまり4マナ支払って発動したタイダルウェイブは、フィールドを更地にするリセット呪文となるのだ。
「聖域の霊鳥は他に白文明カードが存在するので、1度だけ破壊されません」
だがその津波を、大空に飛翔し耐える聖域の霊鳥。
他の全てを見捨てながらも、聖域の霊鳥だけはこの大破壊を耐え抜いた。
「だけどそれ以外のカードは全て破壊! 雨ざらしアザラシも破壊されたので青マナ1を得るよ!」
フィールドが更地になるのは、サンドラ側も同じだ。
膨大な水量に押し流され、雨ざらしアザラシもヘンリエッタの布陣と道連れに、墓地へと送られる。
だが雨ざらしアザラシは最低限、マナをその場に残して破壊された。
「青マナ1を支払い、雨ざらしアザラシを召喚して、これでターンエンドだよ。雨ざらしアザラシのパワーを1000アップし、カウンターを乗せる」
残された青マナを使用し、再び現れる雨ざらしアザラシ。
途切れぬアザラシ大進撃。
「エンドステップに聖域の霊鳥の効果発動、1枚ドローします」
攻防を繰り広げた結果、最後に残ったのは雨ざらしアザラシと聖域の霊鳥のみ。
まるで最初のターンに逆戻りしたかのようである。
唯一違うのは――もう互いに、マナゾーンが完全に伸びきっているという事だ。




