表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
252/268

234.メガフロートVer.2.0

 温泉街 サトミハラでの休暇は、あっという間に過ぎていった。

 各々親睦を深めつつ、ルビスの突撃から逃れたり、忍び寄って来るトラブルの種を事前にカード達が粉砕したり。

 勇者様(女)の存在感をアピールして、今回の勇者は女である事を強調したり。

 楽しい一週間が過ぎて、いよいよ帰る日がやって来た。

 誰一人欠ける事無く、増える事無く、無事一週間を満喫出来たようだ。


 そしてこれから帰路に付く訳だが、三十人も居るとなると、お土産の量も結構な量になった。

 これを普通に持ち帰るのは大変なので、お土産は先に(ヴァンガード)(アサルト)で空輸しておいた。

 空を飛べて大量に荷物を運べるカードっていうならば、既にいくらでも候補が居るのだが。

 周囲を脅かさないようにって条件を加えると、コイツ位しか候補が居なかったのだ。

 迷彩機能を持ってる事がこんな所で役立つとは、そしてこんな使い方をする事になるとは。


 他の皆は馬車でゆっくりと帰るが、俺だけ先んじて空路で当日に帰宅する。

 懐かしの我が家、メガフロートの甲板へと降り立つ。


「来ましたね主任(マスター)! メガフロートの整備は準備万端ですよぉ!」


 怪しい笑みを浮かべながら、俺を出迎える宇宙の(スペース)技術者(エンジニア) マティアス。

 出迎えるような性格じゃないのにわざわざ出張ってきた辺り、相当ハイテンションになっているようだ。


「変わったように見えないけど、何を弄ったんだ?」


 大規模アップデートをすると言って、一人ここに残ってたようだが。

 パッと見、何も変わったように見えない。


「外観は弄る必要性が無かったですからね。まあ、ちょっと甲板は整備しましたけどね。中はバッチリ弄りましたよ!」


 何でも、この離着陸場は少し整備したらしい。

 天気の良い日中じゃないと外部からの来訪が困難な状態だったらしいが、外縁部にライトを設置したり、誘導灯でこの甲板を光らせられるようだ。

 これで天気の悪い日や、夜間でも飛行機の離着陸が可能になったらしい。

 また、船で乗り入れる際の出入口も整備して行き来し易くしたようだ。


 甲板を通って室内に入ると――ん?

 こんな所に壁あったか?

 何だか色々内装が変わっているようだ。

 

「最初に有り合わせの素材で急ピッチ建造した頃と違って、今なら資源を増殖させた後ですからねぇ! 作れず仕舞いだったモノをありったけ作ってやりましたよぉ!」


 このメガフロートは、超時空戦艦 アサルトホライゾンのパーツを流用している。

 その影響で、例え破損しても一定時間で"巻き戻る"性質を持っている。

 この破損は意図的に起こしたとしても有効で、重要な機関さえ無事であれば、どれ程ボロボロに損壊したとしても、完全元通りに復元されるのだ。

 その際、壊れたパーツがメガフロート外に存在すると、そのパーツを無視して復元する。

 これを悪用する事で、普段から定期的にこのメガフロートを破壊する事で、この船体に使っている金属パーツ等を無限増殖させていたのだ。

 今回、そういう手口で増え続けた物資が、マティアスの手によって設備という形で組み込まれたという事らしい。


「外部から人が来た際、目撃されると困る人物もこのメガフロートに滞在してますからねぇ。不意の遭遇が発生しないようにと、今までは考慮して自室に引きこもったりする必要がありましたが、もうその心配は御無用ッ! ポチッとな」


 マティアスが懐から取り出しましたのは、小さなリモコン。

 そのリモコンのボタンを押すと、重低音を響かせながら、何かが動く音が聞こえる。

 音のする方向へ向けて通路を歩いていると……壁が、動いている。


「隔壁でエリアごとに区切れるようにしました。外部から来訪がある際、隔壁を閉鎖する事で鉢合わせする可能性を無くせます。これでイチイチ配慮した行動をする必要も無くなったという訳ですねぇ」


 離着陸に使う第五層及び四層が、主に外部との接触窓口になっている。

 だが敷地面積の都合で、第四層も普段の生活エリアに含まれていた。

 マティアスの言う通り、外部から来訪があった際、誰かと出くわす危険性があった。

 (ドラゴン)が連れて来た子のような、捜索されているであろう人物が目撃されたら大事になる。

 なので、隔壁で物理的に仕切ってしまうのは良い考えだった。

 また、あった方が便利だが普段解放されていると支障が出そうな場所も数か所、隔壁やら扉やらが設置されていた。


 更には――何だこの格納庫。

 車、バイク、ショベルカーのような重機から更には飛行機まで。

 様々な乗り物が格納されており、俺が乗った事もあるエアフロートボードもここに置いてあった。


「この格納庫は、そこの昇降機で甲板まで移動させられるようになっています。何か乗り回したい時は、ここから好きに持ち出して良いですよ。もうここに置いてあるモノは全て、IEコアのシステムに組み込み済みなので、失ってもどうせ"巻き戻る"ようになってますからねぇ」


 あらゆる乗り物が、実質無限に増殖する状態になっていた。

 何じゃこりゃ。


「さ・ら・にィ! ここからが重要なんですッ!」


 操舵室に移動した途端、突如興奮するマティアス。


「以前打ち上げた人工衛星を足掛かりにして遂にッ! 宇宙へと進出可能にッ! ここからは、宇宙の時代が始まりますよォ!!」


 一週間の間にやりたい放題してるな。

 他には衛星から気象情報やらを得られるらしいので、天気の観測が容易になったとか何とか。

 ぶっちゃけこのメガフロートで生活してると、外の天候が荒れた所で「今日は天気悪いなあ」って思う以上の事は無い。

 その悪天候が内部に影響を与える事が無いので、天気が分かろうが分からなかろうが、だからどうした状態である。

 人工衛星があっても何が凄いのかは分からないが、きっとマティアス的には感じるモノがあるのだろう。

 宇宙の(スペース)技術者(エンジニア) マティアス、って名前だしな。

 何か悪い事がある訳でもないし、好きにさせておくとしよう。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ