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227.情欲の温泉宿-3-

きんくり。

「浴場で欲情、なんちゃって! 随分とお楽しみでしたねえ」 


 アルトリウスとの気持ちを確かめ合った後、一緒に脱衣所に戻ると、随分と軽い口調で馴れ馴れしい謎の美女がそこに居た。

 ここは貸し切りだから、関係者以外は入れない筈なんだが。

 長い黒髪に泣きぼくろが印象的な垂れ目、ぷっくりと膨らんだ柔らかそうな唇、傷もシミも一つとしてない白く美しい顔には、男を誘うような蠱惑的な笑みを浮かんでいる。

 バックリと胸元の開いた大胆な黒のドレスから、零れ落ちそうな豊満な胸が見え隠れしている。

 最早キャバ嬢通り越して娼婦の格好である。

 そして明言こそされていないが、恐らく設定上はそうなのだろう。

 自分の見た目に自信が無ければ到底出来ないような、身体のシルエットが露骨に出る薄着だが、女としての色香と身体つきを極限まで磨き上げた美貌故に、その衣装を成立させている。

 そして彼女の足元を這い回る、一匹の蛇。


 見覚えが――ある!


「情欲の化身 アスモデウス、か」

「せいかぁ~い。ちゃんと覚えててくれたんだね愛人(マスター)


 口元に指を添えながら、前屈みになりつつニッコリと笑うアスモデウス。

 屈んだ時に、ドレスの切れ目から見事な谷間がチラリと見えた。


 情欲の化身 アスモデウス。

 七つの大罪の一つ、『色欲』を司る存在にして、ソロモン72の悪魔の一体。

 その元ネタの為か、エトランゼにおいて彼女は72魔将と七罪(セブンスシンズ)の二つのカテゴリに属していて、その両方の恩恵を受けられる。

 効果は結構トリッキーな感じなのだが、カード効果以上に、その見た目に惹かれた人は多い。

 この見た目だ。

 率直に言って、ただただエロい。

 対象年齢的に小学生でもプレイ可能なのに、こんなカードを小学生に渡したら性癖歪んじゃうよ。


 俺?

 アルトリウスが居なかったら危なかったかもしれない。

 見た目はかなり好みである。


「こうしてやーっと愛人(マスター)の下に戻って来る事が出来たんだしぃ~? 再会の記念に是非とも愛人(マスター)と一発××××××××(ズキューン)でもしようかと」

「出て来て早々――そのジェスチャーやめろ」


 指で輪っかを作り、その中央に人差し指を出し入れするアスモデウス。

 それは一体何を意味したジェスチャーだ。


「折角人が気持ち良く余韻に浸っていたものを――斬られたいのか?」

「斬るんじゃなくて××(ズキューン)たいのよぉ~。いやある意味斬ってはいる? でも××(バキューン)する状況じゃないしなあ。それはそうと愛人(マスター)××(バキューン)を独占なんてズルいじゃない。私の××××(ドキューン)にも××××(ババババ)××××(チュドーン)してくれなきゃ不公平じゃなあい!」


 わあ! 大変だ!

 アスモデウスお前素でそんな口調かよ!

 表に出せねえぞコイツ!?


「それにぃ~? 一番大切なのは愛人(マスター)の気持ちでしょぉ? ねえ愛人(マスター)? 私と×(パーン)×(パーン)×(ドーン)したいでしょ?」


 媚びるような甘ったるい口調で、その胸を俺の腕に押し付けるようにしながら、耳元で語り掛けるアスモデウス。

 この見た目、この美貌。

 男の衆目を釘付けにする、見事なスタイル。

 そんな女性に誘われたならば、行かねば男が廃るというもの。


「……うーん、じゃあこう言い換えましょうか。私は、愛人(マスター)とシたいです。えっちしよ?」

「それがお前の望みなら」

旦那様(マスター)……?」


 カード達が在りのままであるのに必要ならば。

 可能な限り叶えるのが俺の役目だ。

 それを望むならちょっ、アルトリウスさん手握り締めるのちょっと強いって。

 あと何か声色が怖い。


「あれれ? アルトリウスってばもしかして妬いてる? だいじょーぶだってー。愛人(マスター)の本妻の立場盗る気なんか更々無いからさー。ちょっと開いた時間に愛人(マスター)×××(チュドーン)貸してくれるだけで良いから」

「駄目に決まってるだろう!?」

「束縛する女はモテないゾ♪」

「私は旦那様(マスター)にだけ振り向いて貰えれば他の男なんぞどうでも良い」


 ギャーギャーと喚きながら、口論をし出すアルトリウスとアスモデウス。

 取り敢えず、風邪引くからさっさと服を着るか。

 ロッカーに仕舞っていた衣服を取り出そうとしたその瞬間――


 何か、急に視点が下がった。

 俺の荷物を入れていたロッカーの位置が、高くなった。


 水を打ったように、急に静まり返る脱衣所内。

 横を見ると、取っ組み合った状態で、驚愕の表情を浮かべているアルトリウスとアスモデウスの二人が居た。

 何か、とんでもないモノを見たかのようだ。


「何だよ、一体何――」


 ん?

 んん???


 おい、今の誰の声だ?

 俺の口から出たぞ?

 咄嗟に喉を押さえて――ん!?

 その違和感に、気付く。


 喉仏が、出てない!?


「あ、あー……」


 間違いない、気のせいじゃない。

 俺の口から、女のような声が出てる。

 よく見れば、俺の手も妙にふんわりとした柔らかい手になっている。

 それに……ふむ。


 ぺたぺた。

 ない。


 ……えーっと。


「アスモデウス、お前、やったな?」

「……てへっ☆」


 てへっ☆

 じゃないんだわ。



 突然ですが俺、女になりました。

 原因は明らかに、目の前のアイツ(アスモデウス)です。

『結果』だけだ!!この世には『結果』だけが残る!!

時間が消し飛んだ世界では『-2-』は全て無意味となるのだッ!

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