215.計算尽くの奇跡-2-
聖天戦女神 アルトリウスの全体無効化効果によって、"烙印"のディードリッド、及び、"冒涜"のアルティミシアの効果を完全無力化、及びそのテキストを完全に丸裸にし、アルティミシアに関しては撃破した。
だが、廃絶の狂信者に関しては、まだそのテキストを隠蔽しようという抵抗の様子が見られる。
まだ、全てのテキストが読み取れた訳ではないが――ここまで読み取れれば、もう推測は出来る!
止まらない、止まる気は無い。
退路なんぞそもそも残ってない、このターンで……叩き潰す!!
一度二度で死なぬなら、三度四度殺してやる。
そして同じ光景の焼き直し、破壊した筈の廃絶の狂信者が、再びフィールドに舞い戻る。
灰色の光が点灯し、また俺のライフを直接削り取ろうとする。
――行ける! ならここだ!
「湖の聖剣-カリバーンの第4効果発動!」
4:【速攻】【条件】自分の盾ゾーンのカードが2枚以下、1ターンに1度、呪文またはこのカードを装備したユニットのパワー以下のユニットの効果が発動した時
【効果】その発動と効果を無効にする
「俺のライフを半減させる効果、その発動と効果を無効にする!」
最早瞬間移動の如き速度で廃絶の狂信者の懐に潜り込むアルトリウス。
「旦那様に触れるな、下郎!!」
カリバーンを泥の塊に向けて叩き付けると、巨大な質量をモノともせず、アルトリウスは廃絶の狂信者の効果、その射線を強引に捻じ曲げる!
その灰色の閃光は俺に届く事無く、空に目掛けて放たれて、不発に終わった。
湖の聖剣-カリバーンの第4効果は、呪文及びユニットの効果を無効にする、制圧妨害効果!
丁度、そこに居るディードリッドと似たタイプの効果だ。
しかし、カリバーンはアルトリウスよりパワーが上のユニットの効果は無効に出来ない。
聖天戦女神 アルトリウスのパワーは1だ、これでは大半のユニットの効果は反応しようがない。
だが――効果でパワーが変動するのは分かり切っているが、少なくとも今この瞬間、廃絶の狂信者のパワーは、0だ。
だったら、潰せる!
「俺のライフを1000支払い、更に効果発動!」
LP:9000→8000
「「 断 罪 一 閃 ! ! 」」
白熱の閃光が、廃絶の狂信者を消し飛ばした。
その余波は空に昇り、雲を蒸発させながら彼方へと消えていった。
「さあ、これで三度殺したぞ」
だが、蘇る。
そして、俺のライフを削り取ろうと、灰色の光が――
「その効果に連鎖して、俺のライフを1000支払い、効果発動!」
LP:8000→7000
「「 断 罪 一 閃 ! ! 」」
――白き必殺の剣と、灰色の波動が交差する。
両者の放った攻撃は、互いに一切干渉する事無く、互いが互いを焼き払う!
「それはライフで受ける!」
LP:7000→3500
「旦那様!」
「構うな! 俺のライフを1000支払い、効果発動!」
LP:3500→2500
何度でも、何度でも。
俺のライフを糧として、敵戦場を焼き払う!
だが、その都度何度も蘇り、俺のライフを削り取ろうとする。
「だったら、どうした! その効果に連鎖して、再度効果発動だ!」
LP:2500→1500
ライフなんぞ、1残ればそれで良い!
一発でも多く! 焼き払う!
そして、蘇る。
更に俺の命を、削り取っていく。
LP:1500→750
ライフを度外視した、聖天戦女神 アルトリウスの効果連射によって、既に俺のライフは風前の灯火。
もうアルトリウスの効果起動コストは残っていない。
だから。
「――今はまだ、バトルステップだ。アルトリウスにはまだ、攻撃権利が残ってる!」
これ程までの絶対的な破壊を叩き付けた後で悪いが。
アルトリウスはまだ、攻撃宣言を行っていない。
ここからが、本命。
「聖天戦女神 アルトリウスで――"廃絶の狂信者"を攻撃!」
「蝨ィ繧九∋縺榊ァソ縺ク縲?縺昴l縺薙◎縺御クサ縺ョ譛帙∩」
朝日に照らし出された、全身を黒い泥で練り上げたような怪物が、咆哮した。
何かを叫び、訴えるかのように。
ディードリッドを模した姿で、巨大な大剣を振るう。
そのパワーは――15000!
対する聖天戦女神 アルトリウスのパワーは、たったの1。
このままぶつかれば、勝敗は火を見るより明らか。
だが――
「効果発動!!」
――このパワー1は、神をも斬り裂く!!
「聖天戦女神 アルトリウスの第4効果! このカードのバトル時、デッキの上から10枚を墓地に送る!」
デッキ枚数:10→0
黒き大剣と、カリバーンが衝突する!
その際に放たれた衝撃波が、吹き抜ける風となって俺を通り抜けていく。
打ち合う事敵わぬ筈の絶望的なパワー差があるというのに。
絶対的な差に、アルトリウスが肉薄する。
追い付き、そして――上回る!
「そしてバトルする相手のパワーと同じ数値を、聖天戦女神 アルトリウスのパワーに加算する!!」
4:【速攻】【条件】このユニットが相手ユニットとバトルする時【コスト】デッキの上から10枚を墓地へ送る
【効果】そのユニットのパワーと同じ数値を自身のパワーに加える
――元々、英雄女王は防御的な挙動をする黒文明という珍しいカードだが、聖天戦女神に転じた時、天地は逆転する。
黒文明から白文明へと転じ、周りの被害すら省みず、デッキもライフも投げ捨てて!
極限まで命を削る代償として、その圧倒的破壊力で盤面をひっくり返す!
進化前よりも圧倒的に黒文明をやっている白文明カードという、進化して尚珍しい挙動をするカード。
それが、アルトリウスの進化形態!
聖天戦女神 アルトリウス:パワー 1→15001
"廃絶の狂信者"と、アルトリウスの剣が、真正面からぶつかる。
ただ、剣で打ち合っているだけだというのに、鍔迫り合う際に生じた轟音が大気を、大地を揺るがす。
体躯では圧倒的に敗北している筈の、アルトリウスが黒き大剣を上へと弾き。
「天舞――」
がら空きの胴体、そこ目掛けて踏み込む。
「聖連斬ッ!!」
最早目で追う事すら出来ぬ、一瞬の斬撃。
相手のパワーを参照し、それを上回る、必ず殺す剣。
瞬き一つの間に閃いた、いくつもの光の軌跡と、両断された斬撃跡のみが、攻撃したという事実を示すのみ。
だが……まだだ。
大地から湧き上がる、黒い泥。
墓地のコストを消費する事によって、何度でも蘇る。
過去の勇者が、討伐を断念して封印するに至った、"廃絶の狂信者"の持つ、不死身の如き効果の正体。
そして、そのコストとやらを前もって溜め込んだ上で、ディードリッドは俺に"廃絶の狂信者"を差し向けた。
これだけあれば、俺達を殺し切れるだろう、と。
だったら、それを上回るだけだ。
「これで倒れてくれればそれで良し、だったが……そう甘くは無いってか?」
そして、蘇った"廃絶の狂信者"の召喚時効果によって、俺のライフが灰色の光と共に焼かれていく。
LP:750→375
「これで聖天戦女神 アルトリウスの攻撃は終了だ」
一回目はなァ!
「追撃行くぞ! 聖天戦女神 アルトリウス! 第5効果発動!!」




