211.蘇りし進化の力! Evolution Force!!-1-
Etranger
それはインフレの中で進化したカードゲーム
そこに命を宿す 伝説の力を持つ者達を
人々は
異邦人と呼んだ
※呼びません
カードゲームという世界において、"やる気"は何も変えない。
気合を入れた所で、レアカードをパックから引ける訳ではない。
どれだけ魂を燃やそうが、デッキトップは変わらない。
やる気でレアカードを引けて、やる気で勝敗が変わるなら、カードゲームのプレイヤー達はここまで必死に頭を回転させて確率を計算し、デッキ内のカード配分とにらめっこする事も無いだろう。
故に、どれだけ昴が魂を燃やそうと、プレイングという重要な要素に関与しない限り、それはただの空回りであり、意味はない。
だが、この世界は違う。
やる気によって、新たな出会いによって、新たなカードが舞い戻る。
昴のやる気は、保有カード量という重要な要素に関わる。
この世界では――昴の"やる気"は、勝敗を分かち得る。
再び昴の胸に、闘志の炎が宿った。
心の炎が、燃え盛り、輝き……ただ1枚のカードという、力の結晶へと形を変えていく!
「――覚醒呪文! EF!!」
その腕を勢い良く天へと掲げ、高らかに、咆えるかのように。
蘇ったその力を行使する!
それは、ただ幾何学模様のような円陣――魔法陣がイラストとして描かれているだけのカード。
その魔法陣は、この世界において初めて使うカードであるにも関わらず、圧倒的な既視感を誇る。
一体、その魔法陣を何処で見たのか。
その答えは、昴の手元にある。
昴の持つカード――その、裏面。
カードの裏面に印刷された、統一されたデザインの一部。
エトランゼというカードゲーム、そのフレーバーテキストで語られる物語。
これ無くして、エトランゼは語れない。
物語の根幹を成す、最重要カード!
イラストと同様の魔法陣が、アルトリウスの足元に現れ――迸る紅の閃光は、大地を揺るがしながらアルトリウスを飲み込み、天を穿つ!
エトランゼというカードゲームを象徴する、シンボルとでも言うべきカード、その一枚。
それ程のカードが、そこらのありふれたカードと同じである訳が無い!
このカードは――
「このカードは、自分フィールドのユニット1体を指定し、条件を満たした進化ユニットを超越デッキから1枚選び、上に重ねて進化召喚を行う!」
――世界が、変わる。
魔法陣から吹き上がるは、力の脈動!
何物でもなく、何者にでもなれる、森羅万象の源流。
溢れ出す絶大なエネルギーの余波は制御し切れずに稲妻や風へと形を変え、台風の如く無差別に唸りを上げた!
それは敵対者にとっての滅びの旋律であり、扱う者にとって絶対勝利を齎す凱歌となり響き渡る!
「――それだけはッ、させん!!」
ディードリッドの背に、冷たいものが走った。
何か、ある!
積み重ねた実戦に裏打ちされた、戦士としての勘が叫んでいる!
アレは、絶対に許してはならない!!
反射的に飛び出し、その赤き光へと目掛け、その拳を降り抜く!
その勘は正鵠を射ていた。
EF――それこそが正に、昴に眠っていた真の力、その象徴。
過去の勇者達を鑑みて、勇者は追い詰められると窮鼠ではなく竜になると、ディードリッドは危惧していた。
勇者の力を侮らず、何かしらの札を隠していると、土壇場で足掻きという表現が生温い、猛攻を仕掛けてくると、予測していたからこそ。
その動きには一切の淀みなく、最速で放たれた!
術式に介入し、その術を妨害。
ありとあらゆる超常の力を打ち消す能力、それこそが"烙印"のディードリッドという男が持つ力。
"最強"に至る為に渇望し、堕ちた先で得た、人の道を外れた異能。
昴の使用するあらゆる呪文カードもまた、その力によって効力を喪失させられていた。
「――無粋な妨害」
だが、しかし。
「踏み潰す!!」
万象の物語、その分岐点と成り得る、運命と理を改竄する究極の力は、そんなケチな事象など路傍の石の如く蹴散らしていく!
「EFは! 無効にならない!!」
名称:EF
分類:覚醒呪文
プレイコスト:○
文明:無
カテゴリ:EF/魔法陣
マナシンボル:虹
このカード効果は相手のカード効果で無効にならない
1:【速攻】【コスト】ライフを半分支払う
【効果】自分フィールドのユニット1体を選択する。そのユニットの召喚コストより1つ大きい召喚コスト・同じ種族を持つ進化ユニットを超越デッキから1体選択し、そのユニットの上に重ね進化召喚を行う。
LP:625→313
敵の妨害を、跳ね除ける!
その力は、予測を超える!
予想を超えた、運命を捻じ曲げる、可能性の波濤!
来ると分かっていても尚、止められない!
それはカードゲームにおいてたびたび発生する、不条理、理不尽!
カードゲーマーはそれを、ぶっ壊れカードと呼ぶ!
普段から使っているデッキケースではない。
第二のデッキケースが腕に現れる。
まるでそれが当然のように、昴はそのデッキケースからカードを引き抜く!
昴の胸中で、思いの丈が反響する。
――お前達は、そこに居た。
見えないだけで、ずっと、俺と共に在り続けていたんだ。
無論、選ぶのは決まっている!
感じる――そこに居るんだな。
"アルトリウス"!!
もう一つのデッキから現れた、太陽を紙片に落とし込んだかのような、白く眩い輝きを放つ、そのカードを引き抜く。
カードの筈なのに、そこからまるで血潮の如き熱さが伝わる。
その熱さは昴の身体へと伝わり、その白い輝きが、昴の瞳から、闇を焼き払っていく。
――昴の眼に、炎が宿る。
最早ここに、異世界に流れ着いた頃の昴の姿は無い。
地へと打ち付けられていた杭は引き抜かれ、背負う翼は天へと伸びた。
望んだ空へ、飛翔する時が来たのだ。
まどろみの時間は終わりを告げ――
「明暗流転! 英雄は闇夜の帳を破り、蒼穹駆ける白き天翼と至る!」
EvolutionForceは、解き放たれた。
その進化は、世界を塗り潰す。
呪いに侵され、地の底に堕ち、闇に蝕まれしかつての英雄。
肉体は滅び去れど、心は死せず。
闇の中でも尚、その心は輝き続けた。
その心の輝きを、力へと変える。
EF。
それは、カードの持つ真の力を解き放ち、蘇らせる導きの力。
夢を、
願いを、
希望を、
理想を、
可能性を、
在りし日の姿を。
今、この時こそが、己が生涯の全盛期!
己の描く、"最強の自分"を我が物とするカード!
不幸と悲劇で塗り潰された今を、幸福と希望の未来へと書き換える。
ある種のご都合主義と呼ばれるような、絶対的な"進化の力"!
吹き抜ける突風。
光差さぬ筈の暗雲と呪いの雨が支配する、死の大地。
無数の白き光芒が暗雲を引き裂き、朝日を背に受けた白き一柱がこの世界に降臨した。
まるで太陽の如き輝きを宿した、白き羽根が周囲へと舞い散る。
光のヴェール纏いし、彼女が姿を現す。
「進化召喚!!」
闇に堕ち、その身にへばり付いた全ての汚濁を打ち破り。
黒を基調としたゴシック調の衣服も、その艶やかな黒髪も。
その全てが白に染まり上がり、その背からは天使の如き白翼が伸びる。
宗教画のような、荘厳さを宿した、見る者全てを圧倒する美麗な姿。
その姿は、まるで――
「聖天戦女神 アルトリウス!!」
――神話に謳われる、戦女神のようであった。
名称:聖天戦女神 アルトリウス
分類:進化ユニット
プレイコスト:白○○○○○
文明:白
性別:女
種族:人間/天使
カテゴリ:円卓の騎士/神性
マナシンボル:虹
パワー:1
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