19-2.セーリュー市の悲劇
※このお話の『』で括った会話は、サトゥーには理解できない「●●●●」こんな感じのセリフです。全部それにすると、読むのがストレスになるので、『』内のセリフは普通の文字にしておきました。サトゥーには理解不能の言葉という事でご理解ください。
「おっ、人工物だ」
丘の向こうに、石造りの塔みたいなのが見えた。
戦士の砦を出発して一日半、思ったよりも早く人里に辿り着けそうだ。
「――ん?」
足早に進むと、レーダーの端に無数の白点が映った。
白点は敵でも味方でもない中立のユニット――この場合は人間を示す。
その白点が、歩を進めるごとにどんどん増えていく。
「何かのパレードとかお祭りとかかな?」
都市からものすごい人の列が流れ出てる。
マラソン大会でもあるのかと思ったけど、それにしては移動速度が遅い。
それに他にも気になる事がある。
こっちを目指した目印にした立ち上る黒煙が、一本じゃない事に気付いたのだ。
火事でも起きているのかと思ったけど、山火事かけっこう大きな災害が発生しているのかもしれない。
丘の頂上まであがると、外壁に守られた城塞都市らしきものと、そこから流れ出る群衆の列が見えた。
「避難しているのかな?」
もしかして、戦争とか?
オレが作っていたゲームはSLGとMMO-RPGの二つだった。
前者の要素が濃い夢なら、戦争というのも状況の一つとしてあると思う。
この時、オレはまだ現状が「オレの見ているゲーム世界の夢」だと思い込もうとしていた。
ここ何日かの放浪生活で、夢にしてはリアル過ぎると気付いていたが、丁度良いタイミングで何者かが手助けしてくれたかのように食料や水や防寒具が手に入ったせいで、現実だと断言できずにいたのだ。
「危なそうならUターンしよう」
オレは保身を第一に考え、様子が詳しく見られる場所に向かう。
ここからだと遠すぎて、よく見えないんだよね。
「やっぱ、都市から逃げ出しているみたいだな……」
街道らしき場所から一番近い丘まで来た。
ここからなら避難している人達の姿がよく見える。
彼らの服装は、ファンタジーゲームで出てきそうなモブ・ファッションだ。
大きな荷車を押す人や大八車を曳く人、子供の手を引く親、道ばたに座り込む老人――どう見ても軍隊やパレードじゃない。
護衛なのか監視なのか、四人から六人くらいの兵士っぽい服装の人達が、騎馬で群衆の列を見回っているようだ。
「――あっ」
目が合った。
馬に乗った数人がこっちを指さし、馬頭を巡らせてこっちに向かってくる。
逃げた方がいいのかもしれないけれど、土地勘のないこんな開けた場所で、騎馬から逃げ切れるわけがないので、おとなしくその場で待つ事にした。
驚いた事に、馬に乗った四人の兵士は全員女性のようだ。
『そこのお前! 何者だ!!』
近くまで来ると、先頭の赤毛の女兵士が知らない言葉で何か言った。
知らない言葉だ。何を言っているのかまったく分からない。
赤毛さんは石弩っぽい武器をオレに向けて油断なく構えている。
オレは荷物を地面に降ろし、両手を上げて戦闘の意思がない事を示す。
『何者だ! 名を名乗れ!』
何語だろう?
喋れるのは日本語と英語くらいだけど、学生時代に貧乏旅行で海外をうろうろした成果か、メジャーな言葉なら何語かくらいは分かる。
だが、そんなオレでも彼女の言葉が何語か、さっぱり分からない。
ちらりとログに目を走らせると、「シガ国語」スキルを取得していたので、この未知の言語はシガ国語というものなのだろう。
スキルポイントを割り振っていないせいか、「シガ国語」スキルはグレーアウトしたままだ。
どうせなら、スキルを取得した時点で喋れるようにしてほしい。
『聞いているのか! 名を名乗れ!』
「すみません、何を言っているかわかりません」
『何語だ? 知らない言葉で煙に巻こうっていうの?』
『リリオ、何まどろっこしい事をしてるんだ。一発殴ってやれば素直になるだろ』
オレがとぼけていると思っているのか、小柄な石弩の子が不機嫌そうな顔で怒鳴り、大柄な女性が指をポキポキと鳴らしながら威圧的な顔で近づいてくる。
『ルウ、待って。暴力は最後の手段です』
お日様色の髪をした可愛い系の女の子が大柄な女性を止める。
『ゼナさん、この少年は他国の間者かもしれませんよ?』
一番綺麗な金髪美女が、背中から大剣を抜いてオレの眼前に突きつけてくる。
『間者でないなら、名乗りなさい!』
何を言っているか分からないけど、なんとなく名前を言えとか何者かとか聞いている雰囲気だ。
「オレは――サトゥーだ」
鈴木一郎と本名を言いかけて、メニューに記載されていた名前が「サトゥー」だと思い出して、そう名乗った。
一度では伝わっていないようだったので、自分を指さして何度も「サトゥー」と繰り返す。
『サトゥー? なんだか身軽そうな名前ですね』
お日様色の髪をした女性兵士が言う。
『ゼナさん? 何を言って――それよりも、この少年をどうしますか?』
金髪美女がお日様色の髪の子に尋ねる。
どうやら、このお日様色の髪の子が隊長らしい。
『そうですね……。そうだ、リリオ! 誰か術理魔法が得意な人を呼んできて』
『分かった! 門のあたりに行けば、誰かいると思う!』
隊長さんに言われて、石弩の子が隊を離れて城塞都市の方に向かう。
『私達も街道の方に向かいましょう』
金髪美女が大剣を背中の鞘に収めたと思ったら、流れるような手つきであっという間に縛り上げられてしまった。
そのまま彼女の馬に荷物のように乗せられて、難民達の隊列がある方へと向かう。
馬って、思ったよりも上下の振幅や馬が地面を蹴った時の衝撃がある。
端的に言えば乗り心地が非常に悪い。お腹が圧迫されて吐きそう。
『ゼナっちー!』
難民達の歩く道まであと少しというところで、石弩の子が戻ってきた。
一緒にいるのはロバを連れた緑髪の少年と知的美女の二人組だ。少年の方は髪色と同じ緑を基調にした妖精っぽい服装をしている。頭に三角帽子を被っているからか、余計に妖精ぽく見える。
『リリオと一緒にいるのは、なんでも屋のナディさんと店長さんですね』
『たしか、店長さんは術理魔法が使えるって、ナディさんから聞いた事があります』
金髪美女と隊長さんが何か言葉を交わしている。
『ご足労を掛けて申し訳ありません、ユサラトーヤ様。こちらの方に「翻訳」の魔法を掛けていただけないでしょうか?』
『分かった。■■……』
隊長さんと話した後、少年が音声データの超高速再生みたいな音を発する。
どこから声を出したら、あんな風に音を出せるのやら。
『……■ 翻訳』
最後に、魔法使いみたいな捻れた木の杖を向けて、何かキラキラ光る光の粉をオレに振りかけた。
「分かる?」
少年がオレに分かる言葉で話した。
「分からない?」
「わ、分かります!」
少年の話す言葉は、日本語じゃないのに何故か分かる。
さっきのキラキラが言葉が通じるようにする魔法だったのだろうか?
「これで質問ができますね。店長さん、ありがとうございます」
「ん」
隊長さんがお礼を言うと、少年が鷹揚な感じで頷いた。
「どこから来たの?」
さっそく、金髪美女がオレを尋問する。
「『戦士の砦』の方からです」
嘘は言っていない。
正直に最終マップっぽい「竜の谷」から来たと言わなかったのは、そう言ったら尋問が長引く予感がしたからだ。
「戦士の砦? 自殺志願者なの?」
自殺の名所だったのかな?
そういえば、砦の裏手に墓標がいっぱいあったっけ。
「いえ、鱗を拾っていたんです」
肩掛け鞄に入れておいた小さめの竜の鱗を見せる。
大部分の鱗はストレージの中だけど、何枚かは肩掛け鞄に入れておいたのだ。
「「「竜の鱗!」」」
兵士さん達や店長さん達が、すごい勢いで鱗を凝視した。
予想外の反応にびっくりしてしまう。
「なるほど、命知らずの山師でしたか」
金髪美女がそう言って頷いた。
まあ、鱗があるって事は、鱗の主である巨大生物が近くにいるって事だもんね。
「とりあえず、他国の間者ではなさそうですし――」
「その判断は少し早くありませんか?」
「間者なら、こんなに目立つ格好をしませんよ」
隊長さんの判断でオレは拘束状態を脱する事ができた。
「鱗、売って」
言葉少なに言うのは店長さんだ。
「それは構いませんが――」
「金貨二〇枚」
店長さんがズバリと言う。
貨幣価値は分からないけど、けっこう良い値で売れるみたいだ。
「売ります」
それが適正価格かは分からないけど、無一文状態は早めに脱したい。
「ナディ」
「そんな大金はありません。何でも屋は赤貧なんですから」
店長さんが知的美人に手を差し出すも、彼女はぴしゃりと店長さんの手を叩いて拒否した。
「困った」
なんのお店の店長さんか知らないけど、知的美人が日々フォローして回っているのはなんとなく察せられた。
「交換」
店長さんが指輪を外してオレに差し出す。
木製の指輪だ。
「店長! それってボルエナンの森から持ってきた大切な指輪じゃないですか!」
「問題ない」
いや、問題あるでしょ。
「さすがに大切な物と交換というのは――」
「必要」
「この鱗が、ですか?」
「そう。でも、違う」
どういう事だ?
「翻訳指輪」
――翻訳?
さっきオレに掛けてくれた魔法と同じ効果って事か?
なるほど、さっき店長さんが口にした「必要」っていうのは、オレに必要な装備っていう意味だったらしい。
指輪の傍にポップアップするAR表示でも、その指輪が「翻訳指輪」なのは間違いないようだ。
「ぜひ、交換してください」
「ん、成立」
指輪と鱗を交換する。
オレの指には、ちょっと小さいかな――。
「――おおっ?」
指の太さに合わせて指輪が伸縮してぴったりサイズになった。
ファンタジーというか、ゲームちっくだ。
「そうだ。鱗はまだありますけど、一枚でいいんですか?」
指輪の対価が一枚だと悪いから、もう二枚ほど付けよう。
「まだ、あるんですか?」
隊長さんが追加で出した鱗を見て驚く。
「十分」
「えっと?」
「店長は一枚で十分って言ってます」
短文な店長さんの言葉を、知的美人が翻訳してくれた。
店長さんの連れた馬が「ぶるん」と鼻を鳴らした。
「行く」
「分かりました。皆さん、私達はこれでお暇します」
「幸運を」
店長さんが不思議な仕草で別れの挨拶をし、知的美人と一緒に去っていった。
◇
「そうだ!」
店長さん達を見送っていると、隊長さんが何かを思いついた顔になった。
「リリオ、宮廷魔法使いか魔法屋のウルスラ様を見つけてこれる?」
「任せて! 氷婆はどこか分からないけど、宮廷魔法使いなら正門の封印をやっているのが何人かいるはず」
石弩娘が馬を走らせて城塞都市の方に向かう。
「ゼナさん?」
金髪美女が隊長の意図を尋ねる。
「竜の鱗はこれからのセーリュー伯爵領に必要な素材です。私達には払える対価がありませんけど、ウルスラ様や宮廷魔法使い達なら払えるはずです」
店長さん達の態度で竜の鱗が貴重な品だというのは察していたけど、そこまで重要な素材だとは思わなかった。
「あの? 竜の鱗って何に使うんですか?」
石弩娘が戻ってくるまで暇なので、隊長さんに尋ねてみた。
「知らないんですか?」
「あいにく不勉強で」
「結界なんかに使うんです。とくに魔族除けや聖別に最適なので、どんなに高くても伯爵家が買い取ってくれますよ」
へー、そうなのか。
それなら値崩れしない程度に買い取ってもらおう。
「ゼナっちー!」
石弩娘が早くも戻ってきた。
彼女の後ろには、ロバに跨がる白髪のお婆さんがいる。
「氷婆がいたからつれてきたよー!」
石弩娘が「氷婆」と口にした瞬間、お婆さんが木の杖で石弩娘の頭をポカリと叩いた。
どうやら、あの名前は口にしてはいけないらしい。
「ウルスラ様、ご足労――」
「挨拶はいいよ。竜の鱗を持っているのは、その小僧かい? 早いとこ見せな」
せっかちなお婆さんに促されて、鱗を見せる。
「小ぶりだが間違いなく成竜の鱗だね。何枚ある?」
「五枚です」
肩掛け鞄には二枚しか入ってなかったけど、こっそりとストレージから鞄の中に出して数を増やしてみた。
「どれも成竜の鱗だ。赤と黒の鱗って事は、成竜になったばかりの年若い赤竜と黒竜が喧嘩した時に落としたんだろうね。まあ、そんな事はどうでも良い事だ。それよりも――」
お婆さんはそんな風に言った後、話を取り引きに戻した。
「金貨の持ち合わせが少なくてね。大部分は宝石で買い取る事になるよ。宝物庫スキルや魔法の鞄を持ってないなら、その方が良いだろう?」
「はい、助かります」
ストレージがあるから金貨でもいいんだけど、無理に金貨にこだわる事もないだろう。
金貨二〇枚と金貨一〇〇枚相当の宝石を対価として受け取る。金貨二枚分は銀貨や銅貨などの細かい貨幣だった。重くなって悪いと言われたが、オレとしては細かいお金が欲しかったのでむしろ感謝したいくらいだ。
「これだけ成竜の鱗があれば、魔族を封じるために残ったセーリュー伯を早めに解放できるよ!」
「本当ですか?!」
「ああ、あたしが保証するよ。あんたらの功績もちゃんと上の人間に伝えておくからね」
お婆さんが嬉しそうに語る。
セーリュー伯って事は、このセーリュー伯爵領の一番偉い人だと思うけど、魔族とやらを封じるために何かしているみたいだ。
「そうだ。あんた、そのレベルなら旅をするのも不安だろう」
お婆さんがそう言って、ロバの背に積んだ荷物の中から、二本の巻物と数本の小瓶を取り出してオレに渡してきた。
彼女は他人のレベルを見る事ができるらしい。
「護身用のスクロールとポーションだ。スクロールは狼や盗賊を怯ませる程度の効果しかないけど、逃げる時間くらいは稼げるはずさ」
巻物や小瓶の横にAR表示がポップアップした。
巻物は「放電網」や「短気絶弾」という魔法が篭められたスクロールで、小瓶の方は怪我を治す下級の体力回復ポーションらしい。
「ありがとうございます、助かります」
対価を払おうと思ったら、それはオマケだからいらないと言われた。
なんて親切なお婆さんだ。思わず拝みそうになる。
「それはこっちの台詞だよ。セーリュー伯爵領が落ち着いたら、顔を出しな。伯爵様から褒美が出るからね」
お婆さんはそう言って颯爽と走り去る。
「ゼナさん、私達も任務に戻らないと」
「そうですね」
金髪美女に促された隊長さんが、馬首を巡らせる。
「サトゥーさん、良かったら、これを」
隊長さんが懐から取り出した紙片に何かを書き連ねてオレに差し出してきた。
「簡単な身分証明書です。セーリュー伯爵領の街へ入る時に使ってください。他の国では通じませんけど、シガ王国内なら領境を越える時にも使えるはずです」
おおっ、それは助かる。
店長さんに貰った翻訳指輪は文字も読めるようにしてくれるらしく、隊長さんがくれた身分証明書の内容が読めた。
署名によると、隊長さんは領軍魔法分隊の隊長でゼナ・マリエンテールという名前らしい。
「マリエンテール様、ご厚意感謝いたします」
AR表示によると彼女は士爵家令嬢という貴族階級らしいので、丁寧な口調でお礼を告げる。
「私達もそろそろ行きます。セーリュー市は封鎖されているので、避難民の人達と一緒に鉱山都市に行くか、隣のカゲゥス伯爵領に近いサビレの街に行くと良いと思います」
「じゃあな。食いもんが欲しくなったら、商人から買えよ。盗みなんてしたら、あたしらの仕事が増えるからな!」
「ルウさん、失礼ですよ」
マリエンテール嬢達が賑やかに去っていく。
なんとなくメニュー画面を確認したら、彼女達と会ってからの短い期間に「シガ国語」だけじゃなく「術理魔法」「弁明」「交渉」なんかのスキルをゲットしていた。ご多分に漏れず、グレーアウトしていたので、早めにレベルアップなりなんなりをしてスキルポイントをゲットしたい。
このゲームみたいな世界は戦闘をしなくても経験値が溜まるみたいで、すでに次のレベルまで三分の二まで来ていた。
レベルアップが今から楽しみだ。
難民達に交ざって日が暮れるまで歩くと、街道の分岐点で人々が夜営をしていた。
商人らしき人達が有料で炊き出しをしていたので、銅貨数枚を払って食事を分けてもらう。
戦士の砦で手に入れた鞄に入っていたのと同じカチカチの黒パンと、薄ら白濁した野菜スープが今日の夕飯だ。
「少年! こっちに来て火に当たれ」
そう言ってオレを焚き火に誘ってくれたのは商人らしき男性だった。
食事しながら話していると、商人達は王都から北回りでセーリュー市まで行商に来ていたのだと教えてくれた。
「そういえば、セーリュー市で何があったんですか? 兵士さん達は魔族がどうとか話されてましたけど――」
会話がこなれてきたタイミングで、気になっていた事を尋ねてみた。
「そうだ。魔族だ。それも下級や小魔族じゃない。中級以上のヤバい魔族が現れたんだ」
商人の一人が青い顔で教えてくれた。
その強大な魔族は、眷属らしき魔族達を次々に召喚し、闇の炎と雷でセーリュー市を半壊させたらしい。
「まさか都市のどまんなかに魔族が現れるとは思わなかったよな」
「まったくだ! 生きた心地がしなかったぜ」
「ああ、まさに地獄だった……」
商人達は運良く無事だったが、商談相手は目の前で闇の炎に焼かれて、一瞬で灰になってしまったそうだ。
「ハッサン卿、貴族のあんたは、内壁の内側で戦いの一部始終を見たんだろ?」
「ああ、見た。領内最強のキゴーリ卿や老師様が捨て身で上級魔族を押さえ込んでいる間に、伯爵閣下が領主の力を使って、魔族達を石の柱に閉じ込めたんだ」
ハッサン卿と声を掛けられたのは、最初に青い顔で話してくれた人物だ。
商人かと思ったら、貴族さんだったらしい。
「今も伯爵閣下は『奥の間』で魔族達の封印を続けている。私達がこうして無事に逃げられるのも、閣下や犠牲になったキゴーリ卿や老師様のお陰だ」
ハッサン卿がセーリュー市のある方を見つめて祈りを捧げる。
この辺の話は竜の鱗を買い取ってくれたお婆さんの話とも符合する。
ゲームとかだったら、シナリオが進んだら魔族が復活して大騒動が起こるパターンだろう。
彼らと話した感じ、魔族っていうのは悪魔みたいなヤバヤバなモンスターみたいだし、間違っても戦う事がないようにしたい。
「皆さんは鉱山都市に行かれるんですか?」
「いや、俺達はカゲゥス伯爵領を通って、北のヨウォーク王国あたりに足を延ばすよ。ハッサン卿は他の貴族みたいに鉱山都市に行くのか?」
「私はカゲゥス伯爵領にいる妻の実家を頼る」
「そうか、それがいい。魔族から少しでも離れた方がいいからな」
オレはどっちに行くか迷っていたけど、商人達に勧められてカゲゥス伯爵領の方に足を延ばす事にした。
この決断が、あの子達の出会いに繋がったと思うと、なかなか感慨深い。
その日は、質素ながらも久々の温かい食事に満足しつつ、毛皮に包まって眠った。
今回はゼナ隊の皆さんと店長さん&ナディさんの登場でした。
サトゥーの到着が遅かったので、彼が到着した時には黒の上級魔族がセーリュー市で暴れた後だったみたいですね(「1-8.悪魔と騎士と魔法使い」あたりを読むとどんな事が起きていたのか思い出せます)。
※デスマ29巻が 本日(2024/2/9)発売です! 詳しくは活動報告の記事をご覧ください。







