7-幕間3:ポチの秘密
サトゥー視点ではありません。
※8/12 誤字修正しました。
ポチは忘れない。
あの日、名前を付けてもらえた日の事を。
◇
「姫、お迎えに参上しました」
月明かりに佇むのは銀色の服を着た犬人族に似た姿の男性2人。優しそうな長髪の男性が私に話しかける。
「私は、この星を去る気はありません」
「ですが、姫様!」
「待ちなさいドーベル。まずは姫の話を聞いてからです」
「しかし、シヴァ!」
私に詰め寄ろうとする赤毛の男性を長髪の方が押しとどめています。
「理由をお聞かせください。故郷の星より、この未開の星の方が大切なのですか?」
「私には大切な伴侶が居るのです。このお腹の子の為にも、この星を離れる事はできません」
椅子に腰掛けたまま、外からは目立たないお腹を摩ります。
「ばかな、偉大なラ・アヌビスの巫女が、下等生物と子を成すなど!」
「ほ、本当なのですか姫さま?」
慌てる2人に、私は、こくりと頷きました。
◇
ポチは忘れない。
初めて食べた干し肉の味を。みんなで囲んだ焼肉祭りの楽しさを。
決して忘れない。
◇
「どうしても行くの?」
「はい、私はラ・アヌビスの巫女ではなく、ポチ・ペンドラゴンなのです」
そう、この身は大切な、あの人と共に。
彼が鍛えてくれた、この2振りの聖魔剣がある限り、魔王なんかに好き勝手させるわけにはいかないのです。
「私達も一緒に行きますわよ?」
「一連托生~?」
出発しようとした私の前に立ちふさがるのはカリナと、タマでした。
昔のように2人とハイタッチを交わして戦場へと赴きます。
さあ、ミーアが用意してくれた世界樹の船に乗って魔界へ乗り込みましょう!
リザ、星の彼方で見ていてください。あなたの敵はきっととります。
◇
「ほう? 私は死んだ事になっているのですか?」
「あう、見ちゃダメなのです。禁止なのです」
アリサと一緒に書いていたソウサク小説をリザに見られてしまったのです。
「ポチだって死なせるつもりはなかったのです。でも、でも、アリサが」
「そうですか、ポチはアリサのせいにするのですね」
「あう、あう、違うのです、違うのです~」
誰かが死んだ事にした方が話が盛り上がると言われてついやっちゃったのです。反省しているから許してほしいのです。
今日は、晩御飯から肉が消えているのを覚悟したけれど、リザはちゃんといつもどおり入れてくれてたのです。
リザはやっぱり優しいのです。
こんどお話の中で殺すときはアリサにするのです。きっとアリサなら笑って許してくれるはずなのです。許してくれるですよね?
ジョーク回です。
本当の幕間は、いつも通りの時間に配信します。
七夕スペシャルのつもりで書いていましたが、七夕とかぐや姫には何の関係もないのに書き終わってから気が付きました。
活動報告に、お遊びのポチSSをこっそり書いてあるので、ポチ好きの方は、よろしかったら、そちらもどうぞ。







