学園祭2日目①
「おじいちゃ~ん」
「おお、ヒカル、元気にやってるか?」
「うん、お勉強も(なんとか)付いていってるよ」
「そうか、しかしな、高等部卒業までに追いつけばいいんだ、慌ててもロクな事にならん」
「あれ?おじいちゃん、急に白髪増えた?
そういえば吉村も・・・白髪染めるの止めたの?」
「ああ、コレか?今までは染めていたんだが
還暦も過ぎてる事だし、染めるのを止めたんだが
吉村も付き合うと言ってな」
「旦那様が染めない以上、私が染める訳には参りません」
あーコレ、ボクの白髪に気を使ってるね
二人ともわかり易いなぁ
「ねぇユキさん、この二人こんな事言ってるけど・・・」
「はい、お嬢様の想像の通りです
お二人共、素直じゃないだけです」
「だね(笑)」
「旦那様、色々見て回るのも結構ですが、お嬢様は少々お疲れかと・・・」
「そうか、よし、ちょうどいい所に喫茶店があるな
模擬店だが、構わんだろう
ここで休憩にしよう」
「ねぇ、美優、ボクの記憶が正しければ、この喫茶店ってアレだよね」
「うん・・・」
「お帰りなさいませ、ご主人様」
はい、そうです
お約束の・・・
メイド喫茶ですね
百歩譲ってメイド喫茶は・・・仕方がない
定番だしね
ただ
なぜ、ケモノ耳標準装備なんですか・・・沙月お姉さま!!
「なんだ、この喫茶店は・・・」
「旦那様、おそらくメイド喫茶というモノだと思われます」
「メイド喫茶?」
「私も詳しくは無いのですが、春日さん分かりますか?」
「イエ、こういうモノは若い方の方が詳しいのでは?」
「ボクもよく知らないけど、美優なら・・・美優、おじいちゃんに説明してあげて」
「はい
メイド喫茶とは、一般庶民が上流階級の気分を味わう為の場所です
ウェイトレスにメイドのコスプ・・・扮装をさせて、客は主人になったつもりで振る舞います
もちろん本物のメイドとは違って、ヲタク趣味の人間の妄想内のメイドです
この模擬店のメイド喫茶はさらに上位バージョンのケモノ耳メイド喫茶です
ごらんのように彼女たちは色々な動物の耳が付いたカチューシャを付けて接客します」
「そ、そうか、まぁいい、ヒカルが休憩できれば構わんだろう
またせたな、それでは5人だ」
「はい、お席にご案内いたします」
「あの~、そちらの方3人もお席にどうぞ」
「いえ、我々は使用人ですから、主と同じ席に着く訳にはいきません」
「吉村、今はお前も客だ、座りなさい」
「・・・畏まりました」
「あ、美優はボクの隣ね」
「は~い」
「ユキさんもたまには給仕してもらったら?
でも、模擬店だからメイドにダメだししちゃダメだよ?」
「ところで、ヒカル、昨日の迷子の件なんだが」
「!!、あ、あれはスマホの電源入れるの忘れてたんだ・・・ごめんなさい」
「そうか・・・しかし、防犯の面で課題が残るな」
「旦那様、一つ提案が」
「ん?言ってみろ」
「はい
お嬢様に専属の護衛を付けてはいかがでしょうか?
外出時や今回のように部外者が学園内に立ち入る場合はお側にて護衛し
普段は学園の警備員として常駐すれば無駄がありません」
「しかし、そうそう都合の良い人材はいるのか?
ヒカルの護衛である以上は男は却下だぞ」
「はい、一人心当たりがございます」
「そうか、それなら手配してくれ」
「畏まりました」
「・・・あんまり息苦しいのはイヤなんだけどなぁ」
「ある程度の距離を保って警護させますのでご安心下さい」
「う、うん
そうだ、週末にね、寮のハロウィンイベントがあってね、仮装をするんだって
それで、ボクは雪女でもやろうかなって思ったんだけど衣装が無くて
それで、何とかならないかなぁって」
「吉村、すぐに手配を」
「畏まりました」
吉村さんは席を外して・・・5分で戻ってきたよ
いくらなんでも速すぎるでしょ
「お待たせいたしました、明日中に寮の方に届きます」
「あ、ありがとう」
有能すぎるね、我が家のスタッフは・・・
ケモノ耳メイド
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後悔はしていない




