英会話部の夏合宿④
なんだろう、この疎外感・・・
『キャー、ダメよ!
包丁なんて、指を切ったらどうするの!』
『危ないです!!油が跳ねたら火傷しちゃいます!』
『あ、今日はサフランライスにするから、私に任せてね』
うー、先輩の指示には従わないとね
『そうだ、ヒカルちゃんにはサラダの準備をお願いしようかな?』
おぉ、ボクにも手伝わせてくれるんだ
さすがは、大江先輩
過保護よりは目の届く範囲でチャレンジさせる方法を選ぶ・・・それでこそお料理マスターだよ
『はい、任せてください、野菜を切ればいいですか?』
『まず、そこのレタスを食べ易い大きさにちぎってくれる?』
『え?切るんじゃなくてちぎるんですか?』
『そうよ、レタスは金属の包丁で切るより、手でちぎった方が美味しいのよね
食物繊維も切るよりちぎる方が壊れにくいからお通じにもいいの
みんなの健康はヒカルちゃんに懸かってるの・・・任せたわよ』
『なるほど〜、ボク頑張ります!』
ボクがお料理を任される日が来るなんて・・・カンドー物だね
おっと思わず鼻歌が出るところだった・・危ない危ない、気を付けないとね
これでよしっと
『大江先輩、できました!』
『早いわね、さすがヒカルちゃんね
それじゃあ・・・次はドレッシングをお願いしようかしら』
『ドレッシングまで手作りですか!
さすがは大江先輩
英会話部の女子力ナンバー1は伊達ではないですね』
『おだてても何も出ないわよ
それじゃあサラダ油とお酢を200㎖づつ、それと塩を大さじ1杯、グラニュー糖を大さじ2杯に胡椒を少々、ボウルでひたすら混ぜて混ぜて混ぜまくってちょうだい』
『はい』
よ~し、やるぞー!!
『さぁみんな座って〜
カレーを食べる前に、明日の予定を確認しておくわね
起床は7:30だから、夜更かしはほどほどにしておいてね
朝食は8:00で、午前中は9:00から会議をします
学園祭の英語劇について、色々と決めてしまいます
午後はここのプールであそんで、夕方からバーベキューの準備ね』
『えー、外出しないの?』
『外出は明後日の予定だから、明日は大人しくしておいてね・・・とくに由香里』
『ハイハイ、わかってるって
それより、カレーの匂いを嗅がせておいて、お預けは惨いよ〜』
『それもそうね、それじゃあ早速いただきましょう』
『『いっただっきま〜す』』
『美味しいです!』
『さすがは大江先輩です』
『でも、去年のカレーよりも美味しいです』
『ふっふっふ、腕が違うのよ!・・・って言いたいんだけど、素材が違うのよ
去年までは予算との闘いに明け暮れていたけど、今年は豊富に用意された食材を使い放題なのよね
お肉も、牛肉よ、ビーフカレーなのよ!』
『??
カレーは普通、牛肉ですよね?』
『ヒカルちゃん・・・やっぱりお嬢様ねー
庶民は牛肉は高いから豚肉を使うのよ
シーフードカレーやチキンカレーの場合もあるけど、基本はポークカレーね』
『咲良先輩、それは違います
地域によって違うんです
私の父の実家はビーフカレーが基本です
東京ではメニューにカレーの表示ならポークカレー、牛肉を使うとビーフカレーと表示されるんですけど、向こうでは逆なんです
メニューにカレーの表示だとビーフカレーで、ポークカレーは販売していない所がほとんどなんです』
『仁美のところは・・・関西出身だったっけ?
・・・関西に産まれたかった』
『ちょっと咲良、今日のビーフカレーは特別なんだから、味の次元が違うだけだから』
『そ、そうよね
せっかくの高級食材を使ったカレーなんだから、無心で味合わないと損よね』
『そうそう、サラダなんてヒカルちゃんの手作りよ』
『おー・・・うん、美味しいよ
ドレッシングも絶品』
ボクの作ったサラダは好評でした
ボクだって、やれは出来るんだよ
ヒカルだって、(指示通りに)やれば、(美味しく)出来るんです




