襲来①
「ハァ、6月ってジメジメしてて、気分まで滅入ってくるよねぇ・・」
「ヒカルさんはまだマシですわ
私なんて、髪が湿気を吸って重くなって困りますもの」
「それだけ長くて、量も多いと大変じゃないの?」
「お手入れは・・もう慣れましたわ
でも、ここでは自分でしないといけませんもの
ヒカルさんには春日さんがいらっしゃって、正直羨ましいですわ」
「あー、ゴメン
これは鷹峯家が悪いよね・・
ゴメン、ホントにゴメン」
「気になさらないで
旧宮家の令嬢であれば当然の事ですもの
ヒカルさんが断っても強引に人を付けられる様が目に見えるようですわ
でも、鷹峯家といえども、流石に天候までは自由に出来ませんもの
自然の力は偉大ですわね」
「ハハッ、ウチの吉村さんなら人工降雨のミサイルとかを入手して来そうで怖いけどね」
「・・・」
「いや、清香ちゃん、ココ笑う所だよ」
「イエ、本当にありそうなお話だったもので・・・」
「・・・」
「おj・・・ヒカル先輩、ジメジメした気分を吹き飛ばすためにミントティーはいかがですか?」
「うーん、それじゃあ頂こうかな」
「はい、直ぐに淹れてまいります」
コンコン
「ん?美優かな?」
「何かあったのかしら」
「生徒会長の立花ですわ、お入り下さい、ありがとう
ごきげんよう、鷹峯様、清香さん」
「・・・ごきげんよう、麗様」
「あら、いやぁね、ワタクシと清香さんの仲ですのに
ワタクシの事は、お・ね・え・さ・ま、でよくってよ」
「そうは参りませんわ
建前とは言うものの、学園の外の関係を持ち込まないというルールですから
生徒会長たる者、生徒の見本となって行動する必要がありますもの
あら、失礼しました、こんな話は聡明な麗様は当然わかっていらっしゃいますもの・・ね?」
「と、当然ですわ
もちろんわかっておりましたわ、おりましたとも」
「そうですか、それはようございました
それで、本日はどういったご用件で?」
「そうでしたわ、ワタクシとしたことが・・・
先日、生徒会の前役員の皆様との引き継ぎが終わりましたの
最後に新旧の役員一同が揃って学園長先生にご挨拶に伺ったのですが
学園長先生が仰るには「貴女の好きなようになさい、但し、法に触れる様な事や学生として相応しくない事は理事会の方でストップをかける場合があります
それと、くれぐれも姫様のお気に障る事はなさらないで下さいね、一度ご挨拶に伺った方が良いかもしれませんね」とのことでしたの」
「それで、今日いらっしゃったと」
「ええ、手土産と言ってはなんですが
これをどうぞ」
「本?ですか?」
「ええ、梅雨空の無聊をお慰めできますようにと・・・
これは、昨年の文芸部の作品集ですの
高等部にしか配布しないそうなのでお持ちでないかと思いまして」
「ありがとうございます」
うわぁ、小説ってヤツ?
ボクは文字ばかりの本は苦手なんだよね
漫画なら読むんだけどなぁ
とりあえず読んだフリだけしておかないとね




