修学旅行2日目③
「仕方ありませんわね、このブラウスでよろしいですわ」
「スカートも制服と似たようなデザインがありました、なんとかごまかせそうですね」
「でもさあ、こんな何処にでもありそうなブラウスとスカートで12万円って・・・
それこそヒカルか清香ちゃんじゃないと手が出ないよ」
「何いってるのよ、美里も美紀も十分お嬢様じゃない
買えないのは私ぐらいよ・・・って
・・・あれ?」
「やはり、美咲は気付いたみたいですね」
「美紀、どういうこと?
ひょっとして、理解出来てないのはボクと美里だけ?」
「ちょっと、ヒカル、決め付けないでよね
・・・間違いじゃないけど」
「 ハイハイ、それでどういう意味なの?」
「修学旅行のお小遣いは10万円までだから、誰も買えないって事よ」
「あ!そうか、そうだよね
でもこの場合は仕方ないよね?」
「ええ、問題ありませんわ
私、現金”は”10万円しか持って来ておりません」
「え??足りないし・・・
よし、ココはみんなで2万円づつカンパだよ!!」
「いえ、ヒカルさん、そういう意味ではありませんわ
念のためカードと電子マネーも用意しておりますもの」
「そうそう、”現金は”10万円よ
暗黙の了解ってヤツよ」
「・・・そ、そうなんだ
ボク、入院してたから・・・
小学校の修学旅行も行けなかったから・・・
そういう常識を知らなくて・・・
ゴメン」
「気にしなくていいよ
ヒカルには私が憑いてるから・・・」
「そうですわ
私ですら普段は執事に任せておりますもの」
「それはそうと、清香ちゃんクラスになると、汚れた時の着替ですら12万って・・・
私だったら・・・部活で汗をかいたら、ジャージだね」
「鳥羽家の娘として恥ずかしくない程度の装いはいたしませんと・・
値段はたまたまですわ
これはイギリス製だったかしら?」
「へー、じゃあタグにメイド・イン・イギリスって書いてあるんだね」
「「「・・・・」」」
「美里・・・それはいくらなんでも惨いよ」
「ネタ・・ですわよね?」
「へ?
何かおかしかった?」
「実際にタグを見てみたらいいわよ」
「えーと・・・英国製って漢字で書いてあるよ
イギリス製なんでしょ?どうして?美咲」
「そのタグの裏側はどうなってる?」
「メイド・イン・イングランド?」
「そう、だったらその服は所謂イギリスと呼ばれる国のイングランド地方で作られた製品になるわね
イギリスって呼ぶのは日本ぐらいなのよね
美里でもわかるように言うと
サッカーのワールドカップにはイギリス代表って無いでしょ?」
「そういえば、イングランド代表とかスコットランド代表だ」
「イギリスっていうのは、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの連合王国なのよ
今の女王様のエリザベス2世はイングランドの女王で、スコットランドの女王でもあり、さらにウェールズと北アイルランドの女王でもあるのよ、つまり同君連合ね
省略する時はUKがいいと思うわ」
「UK?」
「ユナイテッド・キングダム、連合王国よ
ついでに漢字のタグは日本向けの輸出専用の製品よ
日本の輸入業者が付けさせたのね」
「なるほど〜
頭を使ったらお腹が空いてきたね」
「美里の腹時計は正確だね
じゃあさ、ボクが大好きなカレーのお店があるから食べに行こうよ」
「えー、奈良に来てまでカレー?
ホントにヒカルはカレーが好きだね」
「どこでも食べられるチェーン店じゃなくて、ここでしか味わえないカレーだよ
まあ、騙されたと思って付いてきてよ」
ふっふっふ
普通の観光客では見つけられない所へ案内してあげよう
さて、そろそろ四天王(笑)に見せ場を作ってあげましょうかねぇ




