体力作りをしましょう①
「ねぇ、ユキさん、ボクって運動音痴なのかな?」
「どうしてそう思われるのですか?」
「だって、学校のマラソン大会でさ、ビリだったんだ・・・」
「私はお嬢様の運動会でのご様子を拝見いたしましたが
これといって運動神経が鈍いようには思えません
基本的な体力が不足しているのではないでしょうか?」
「基礎体力かぁ・・・入院以来、運動してないもんね」
「それでしたら、何か運動をされてはいかがでしょう
適度な運動は心身の発育に良いといわれております
ただし、急に強い運動は避けていただきますが・・・」
「適度な運動ねぇ・・・そうだ、おじいちゃんは何かスポーツしてるの?」
「旦那様は若い頃から護身用として剣道・柔道・弓道を嗜んでおられます」
「護身用か・・・ボクも何かやっておいた方がいいのかなぁ?」
「基本的には護衛が付き従いますが、やっておいて損はございません
屋敷内にも武道場が設置されておりますので、一度見学されてはいかがですか?」
「とりあえず、見るだけ見てみようかな?」
「それではご案内いたします」
「え?いきなりなの?」
「はい、抜き打ちの視察にいたしましょう
当家の護衛達の普段からの鍛錬をご覧いただきます」
「お忍びってヤツ?なんだか楽しそうだね
そうだ、スグにボクだってバレないように変装して行こうか?」
「それは面白そうですね
では、お嬢様の黒髪ウィッグとカラーコンタクトを使うとして
お召し物は・・・メイド用のエプロンドレスにいたしましょう
ファンデーションでお肌の色も誤魔化して・・・うふふ、腕が鳴ります」
ふぁんでーしょんってお化粧!?
ちょっ、心の準備が・・・
「できました、これで、スグにはバレないハズです
ただ、体格が小さくて、メイドとしては不自然に映るので
そのあたりから不審に思われてバレる事も考えられます」
「・・・あ、アリガトウゆきサン」
「それでは参りましょう」
「結構な距離があるんだね」
「そうですね、毎日歩くだけでも多少の体力強化になりますね」
「ウォーキングってヤツだね
それぐらいなら寮生活でも続けられそうかも」
「見えてまいりました、あの建物が武道場です」
「へぇ、結構本格的な道場みたい
大きさはそれほどじゃないのかな?」
「そうですね、柔道や剣道の試合をするスペースがなんとか確保できるぐらいですね
個人の武道場としてはそこそこ、学校などの武道場としては小さい感じでしょうか」
あれは、休憩してるのかな?
男の人が数人たむろしてるね・・・って、上半身裸じゃないか
ぼ、ボクの目のやり場に困るでしょう
・・・
・・
あれ?
男の上半身裸ぐらいでどうしたんだ、ボクは・・・
あんなの海やプールでいくらでも見られるじゃない
それに、ボクは男の子だったんだよ
だったんだよ・・・ね




