卒業式って泣かないといけないんですか?③
「小梅先輩、ご卒業おめでとうございます」
「あら、花束ね、ありがとう、ヒカル、美優
英会話部をたのんだわよ」
「咲良先輩が居るから大丈夫ですよ、ボク達はオマケです」
「咲良も舵取りが大変でしょうからね
あの子も受験生になるから両立は大変なのよね」
「小梅先輩も進学組でしたよね?
12月まで部活があったから大変だったんじゃないんですか?」
「そうでもなかったわ
日本の大学とは違って入試の方が卒業するより難しいなんて事は無いからね」
「え?」
「あれ?言ってなかったっかな
私、大学はフォックスオードに通うのよ
向こうの友人に会うのも久しぶりだから楽しみだわ」
「そうなんですか・・・イギリスは遠いですよね」
「ヒカル、そんな顔しないで
昔と違って飛行機でスグじゃない
なにも一生会えなくなる訳じゃないんだから
ホラ、涙を拭いて」
美優が横からスッとハンカチを渡してくれました
「え??あれ、ボク泣いて・・・
おかしいな、笑顔で見送らないと」
なんだよ、コレ、涙が勝手に溢れてくる
ボクってこんなに涙腺が緩かったっけ?
「ごめんなさい、湿っぽくなっちゃって
それにしても、小梅先輩って頭が良かったんですね
ボクはてっきり英語しか出来ないものだとばかり思ってました」
「あら、苦手な科目もあるけどそこそこは出来るわよ
それに、フォックスオードはそんなに難しくないわよ
日本の大学入試に比べたら楽なものよ」
「そうなんですか?世界的に有名な大学じゃないですか?」
「有名だけど得点至上主義のソードブリッジに比べたら簡単よ
ペーパーテストだけじゃなくて人物や家柄も考慮されるから
外交官の娘ならこっちだと推薦入試くらいのレベルよ
ヒカルだと家柄の加点が大きいからまず不合格はありえないでしょうね」
「大学入試にまで家柄だなんて・・・露骨ですね」
「日本の皇室でも海外留学はフォックスオードがほとんどでしょ?
他の国の王室からも留学を受け入れているわね
逆に、ソードブリッジはそういったモノは一切考慮しないで実力だけなのよ
”○○王家の○○王子がソードブリッジ留学”っていう場合は本当に優秀って証拠よ」
「そうなんだ・・・うちのおじいちゃんって大学はどこなんだろう?」
「旦那様は学修院よ
あそこは現在も皇族が通う学校になってるからね
皇族だけじゃなくて旧皇族や旧華族も大抵はあそこに通うわね」
「あれ?だったらボクは?」
「悪い虫が付かないように全寮制で旦那様の意向でなんとでもなるこの学校になったのよ
旧華族でも全寮制の女子校を選ぶならここに来るわね
家から通うなら学修院って感じで棲み分けができてるわね
それに、ここは大学は無いからどうしても全寮制って方以外は学修院が主流よ」
「そういえば、高等部の1年生に旧華族のお嬢様が一人いらっしゃるわね
我が儘すぎて矯正の為に放り込まれたって噂だけどね」
我が儘お嬢様か・・・
気を付けよう




